食中毒に気を付けよう

――よく手を洗い、生食避けて――

しんぶん赤旗2004年6月11日付け“梅雨をさわやかに”に掲載に加筆

 日本で最も多く発生していた食中毒は、腸炎ビブリオによるものです。海水温度が20℃を超すと大量に発生し、魚介類の付着します。30℃くらいで急激に増えるので、魚介類の温度管理が悪い場合に多く発生します。98年に最も多く発生しましたが、現在は刺身などに生食である旨の表示が義務付けられ、4℃以下に保管して販売することが決められたことより、発生が減っています。

 次の多かったのは黄色ブドウ球菌です。傷口などについている菌で、気温が25℃から35℃くらいなると、食品中で大量に増殖します。菌が増殖する際に毒素(エンテロトキシン)を作ります。この毒素のついたおにぎりや弁当類などを食べて多くの食中毒が引き起こされていました。

 現在でも、気温が上がるこれからの季節、これらの菌による食中毒に注意が必要です。

◇わずかな菌でも

 最近の特徴は、わずかな数の菌やウイルスを摂取しただけで、中毒を起こす例が増えていることです。

 カンピロバクターは、鶏肉についている菌です。食鳥処理場では羽を抜くために熱湯をかけますが、羽を抜いた後、水槽で冷やしますが、水槽がカンピロバクターに汚染されて鶏肉を汚染する場合があります。最近は、鶏レバー、鶏刺し、鶏タタキなど、鶏を生や生に近い状態で食べる機会が増えたことも感染増につながっています。

 ノロウイルスは冬に多く発生し二枚貝に多くついています。特に生ガキを食べることで被害が増えています。

 ノロウイルスは十数個で、カンピロバクターは数百個から数千個で食中毒を起こすといわれています。腸炎ビブリオは十万から一千万個で起こすといわれますので、違いがお分かりでしょう。

◇卵の中に入り…

 卵についているサルモネラ菌についても注意が必要です。以前も卵に付いていましたが、表面についていただけで洗えば除去できました。しかし、1988年にイギリスで卵の中に入った状態で確認された後、世界中に広がり、サルモネラによる食中毒が爆発的に増えました。日本では99年に発生件数が最高になりましたが、同年11月から卵の賞味期限がつけられたこともあり、減少に転じています。

 卵の賞味期限は,卵の黄身がしっかりしている期間をさします。サルモネラ菌が入る割合は3000個から5000個に1個といわれていますが、卵の中では白身の部分に存在します。日数を経る中で、卵黄膜が弱体化し、菌の増殖に必要な卵黄成分(鉄、脂質など)が、卵白に移動するなどして急激に増殖します。

◇O157は今

 157などの腸管出血性大腸菌は、96年に大阪・堺市で大問題になり、その後、学校給食・保育園給食・社会福祉施設などの集団給食施設での対策が強化されました。しかし、その後も引き続き感染者は多く出ており下火になったとはいえません。散発患者や食品を介さないで感染する例を含めると、感染者はサルモネラに次いで多いのです。今年は3月から西日本方面で多く発生しており、菌型も一致していることが判明しました。まだ感染源は判明していませんが、何か同一の感染源があるのではないかと推定されています。

◇熱湯を流し殺菌を

 家庭での予防は第1に、せっけんを使った手洗いです。とくにトイレの後や調理の前、食事の前にはよく洗いましょう。下痢の時は特に入念に洗い、アルコールスプレーや逆性せっけんで殺菌します。

 牛、豚、鶏などの肉や内臓などの生食は避けましょう。

台所で使ったまな板は、よく洗って、熱湯を流して殺菌しておきます。まな板の表面が65℃以上になればよいので、沸騰したお湯か、湯沸し器の温度を最高にして流せばよいでしょう。できれば野菜用と肉用とまな板を分けて使いましょう。

 卵は冷蔵庫に保存して、賞味期限内に食べます。期限が切れたものやひびの入った卵、割って長く置いた卵は必ず加熱して食べます。自家製マヨネーズは、早めに食べきることが大切です。

 肉や魚などの生ものは、買ったら長く持ち歩かず、帰宅後すぐに冷蔵庫に入れて早めに食べます。食べ残した食品は、冷蔵庫に保管して、食べるときは温める程度でなく、最初から煮直すつもりで加熱します。冷蔵庫を過信しないで、買ったら早めに食べきるようにしましょう。

 

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