[治癒力ということ]

ホリスティック医学とは?
「自然治癒力」中国新聞夕刊 コラム「でるた]1993年6月4日
「自然治癒力」から「自己治癒力」へ 広島県保険医新聞コラム「路面電車」1995年7月1日(第229号)
[臓器移植]

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ホリスティック医学とは?

Holistic(ホリスティック)という書言葉は、ギリシャ語のholos(全体)を語源としています。
そこから、派生した言葉にwhole, heal, holy,heath・・などがあり、健康一healthという言葉自体がもともと『全体』に根ざしています。
現在、「ホリスティック」(Holistic)という言葉は、
「全体」「関連」「つながり」「バランス」といった意味をすべて包含した言葉として解釈されています。
的確な訳語がないため、そのまま「ホリスティック」という言葉が使われていますが、
意味する内容は決して新しく輸入された考えではなく、もともと東洋に根づいてきた、包括的な考え方に近いものといえます。
日本ホリスティック医学協会では次のように定義しています。

ホリスティック医学の定義
@ホリスティック(全的)な健康観に立脚する。
人間を「体・心・気・霊性」等の有機的統合体ととらえ、社会・目然・宇宙との調和にもとづく包括的、全体的な健康観に立脚する。
A自然治癒力を癒しの原点におく。
生命が本来自らのものとしてもっている「自然治癒力」を癒しの原点におき、この自然治癒力を高め、増強することを治療の基本とする。
B患者が自ら癒し、治療者は援助する。
病気を癒す中心は患者であり、治療者はあくまでも援助者である。治療よりも養生が、他者療法よりも自己療法が基本であり、
ライフスタイルを改善して患者自身が「自ら癒す」姿勢が治療の基本となる。
C様々な治療法を総合的に組み合わせる。
西洋医学の利点を生かしながら、日本をはじめ、中国、インドなど、各国の伝統医学、
心理療法、自然療法、栄養療法、食事療法、運動療法、民間療法などの種々の療法を
総合的、体系的に組み合わせて、最も適切な治療を行う。
D病いへの気づきから自己実現へ。
病気を自分への「警告」ととらえ、人生のプロセスの中で、病気をたえず「気づき」の契機として、
より高い自己成長・自己実現をめざしていく。

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「自然治癒力」
中国新聞夕刊 1993年6月4日 コラム「でるた]

わたしたち日本人の8割は宗教を聞かれると無宗教と答えるそうだ。しかし、決してそうではなく、またそう答えてはいけない。宗教を持たない人は人間ではない、というのが国際的常識である。

正月には初詣にお宮に行き、クリスマスを祝い、結婚式は神前で葬式は仏式、家には神棚と仏壇がある。本来われわれは多神教なのである。ルーツはアイヌ民族らしい。自然と共に生きた時代の人の宗教とも言える。

八百万の神を祭り、苦しいときには神頼みをし、それでもだめなら神も仏もないとうそぶく。結局われわれは多神教でありながら人間しか信じない人間主義なのである。どんなことがあっても神を信じる神様主義の人達から見ればきわめて特異な存在なのである。

ところで、最近、新しい医学の一分野として人間本来の自然治癒力を高めてガンでも治してしまおうという方法が注目されている。全人医療(ホリスティック・メディスン)という。

それは決してある特定の薬を飲むとか特定の治療法を受けるということではなく、心の問題であるらしい。どんな病気でも自分で治すのだという信念をもって、人間が本来持っている自然治癒力を高める治療や訓練をして、病気という人生のハードルの一つをうまく飛び越えようという試みである。精神神経免疫学という学問的裏付けもある。

自分で治すという信念と自然治癒力に基づいた治療こそ、人間主義の日本人にとって、病気を克服するための最も適した方法ではないかと思う。


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「自然治癒力」から「自己治癒力」へ
広島県保険医新聞コラム「路面電車」 1995年7月1日(第229号)

風邪という病名から直ちに死を連想する人はいない。風邪は自然に治ると言うことを誰もが知っており、また自然に治ることを信じているからである。風邪をひいたことのない人はいないと思うし、多い人は一年に何回も風邪をひく。

ここに癌という病気がある。この病気も三人に一人は罹るというありふれた病気である。それにもかかわらず、癌の場合は風邪とは全く異なり、癌すなわち死というイメージがある。癌の診断、告知、治療のあらゆる面でこの悪いイメージが付きまとい、知らないあいだにマインドコントロールされてしまうことが多い。

「癌」という文字からしてすでにイメージが悪いので、「がん」とか「ガン」としたり、果ては病名を変えようという話さえある。しかし、癌も治るのである。なぜ病気になるのか、なぜ病気が治るのか、を考えれば分かることであり、まずそれを信じることである。

この冬は風邪が大流行した。来る日も来る日も風邪の患者様ばかりであった。喘息の人が一人だけ肺炎になって入院したが、全ての人が治癒した。病気と自然治癒力の力関係だ。治療は対症療法と生活指導(休養、水分・ビタミン・栄養の補給、入浴の禁止、うがいなど)だけだった。風邪の大流行が予想されたときから、私は絶対に風邪をひかないと決めて、徹底したうがいの実行と摂生とでついにこの冬は風邪をひかなかった。これは自己治癒力の勝利である。

癌の場合も全く同じだと思う。ただ、癌の場合には病気そのものが風邪よりも少し手強いので、それなりの方法を考えなければならない。要点は三つある。心の持ち方、生活習慣(特に食生活)それに自然治癒力である。手術、放射線療法、化学療法の近代医学の手法だけでは癌を治すことができないという事実はもはや明白である。同じ癌、同じ進行度で、同じ治療をしても、治る人と治らない人がいる。さらに、進行癌であっても、近代医学の治療を受けることなく、癌が治ったり、癌を治したりした人は少なくない。

癌になったことに感謝し、癌は治ると信じて、癌と闘うことである。自分の癌は自分で作ったものであるから、まずその原因となった心の持ち方と生活習慣を変えなければならない。もちろん必要に応じて近代医学の治療を適切に行なうことも大切である。そして、自然治癒力を高める治療を行なうことである。自ら目覚め、実行し、自然治癒力を高めることができれば、それは強力な「自己治癒力」となって、癌を克服することができるのである。

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[臓器移植]

(相談)福山の医師1998.4.19
町内会の人から、臓器移植についてきかれました。角膜移植、や腎移植を希望する時、どのような手続きが必要でしょうか?書類などは何処に聞き合わせれば良いのでしょうか?分かっていることがあれば、お教えください。今度、町内会で説明するように頼まれました。

(答え)1998.4.19
今のところ角膜と腎臓の提供の場合の方法は二つあるようです。
一つは、従来からのアイバンクと腎バンクに登録しておく方法です。各県にアイバンクと腎バンクがあります。ほとんど共通のバンクのようで、略して「アイ・腎」バンクと言います(これは冗談)。
広島県の場合には、
ひろしま角膜・腎バンク
広島市南区霞1-2-3 広仁会館内(ここは広島大学医学部の同窓会館です。)(別のリストでは、広島県医師会館内082-232-9314となっていましたが?)
もう一つの方法は、臓器提供意志表示カード(いわゆるドナーカード)に記入しておく方法です。必要であれば当方にもあります。
いずれにしても、本人のはっきりした意思表示があることが、前提条件となります。そして、提供者が亡くなった場合に、臓器摘出に関する家族の同意とすみやかな届け出が必要です。実際に臓器を摘出する場合には協力病院の医師が行うことになります。では、とりあえずこれくらいで。

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