ドクターちゃびんの活動 講演2005〜2006年

[医療も福祉も金しだい!! 痛みを強いる小泉改革] 第52回福山市母親大会第4分科会〔介護と医療〕の助言者として 2006年7月9日(樹徳小学校)(福山)
「死への準備教育」 ビハーラ安芸主催2005年度「いのちをみつめる連続研修会」2006年3月1日(本願寺広島別院)(広島)→講演内容

「避けられない死―安楽死と尊厳死」 びんご・生と死を考える会定例講演会 2005年11月26日(福山) →講演内容
「輝いて今を生きる」 私学年金連広島県親和会講演会 2005年11月2日(水)(広島ガーデンパレス)(広島)
「納得・安心・満足の医療への道案内」 びわの葉の会第9回例会 2005年4月24日(日)(広島市中区地域福祉センター)(広島)

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[医療も福祉も金しだい!! 痛みを強いる小泉改革]
第52回福山市母親大会 第4分科会〔介護と医療〕の助言者として2006年7月9日 於:樹徳小学校

戦後の日本の政治と経済が、悪政と垂れ流し財政で長年かけて溜め込んだ巨額の借金を、企業の付けと一緒に国民に押し付けている。アメリカ政府が毎年日本政府に出す規制改革要望書の筋書き通りに、日本政府は郵政、医療、さらに教育にも改革に名を借りた市場原理を導入し、アメリカと大企業のために国民を犠牲にしようとしている。まさにアメリカのかいらい政権と言える小泉内閣の政治を、アメリカ政府は絶賛しているのである。

アメリカでは市場原理を導入して経済優先の医療を押し進めた結果、アメリカの医療はマネージド・ケアという経済的統制による手法で、全米の主な医療施設の経営を独占して、巨額の利益をあげている病院経営会社や、HMO(健康維持組織)というネットワークを利用した民間医療保険を提供することにより巨額の利益を上げている保険会社によって完全に支配されている。

日本政府の内閣府の規制改革・民間開放推進会議議長の宮内義彦氏は才リックスの総帥だが、オリックスは保険業を大々的に営んでいる。リースが本業で融資する場合に、オリックス保険会社のがん保険への加入を条件にする。民間の医療保険のマーケットが自動的に増えるのが、今回の医療改革に含まれている混合診療の解禁なのである。自分の企業が潤う立場の人が、混合診療の解禁を推進している。高知医療センターは県立病院と市立病院を合同させPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)で設立されたが、医療の本体以外のすべて、病院の建物の建設、医療機器のリース、何から何までオリックスが仕切っている。そういった立場の人が株式会社の病院経営を認めると言っており、このようなことを許してはならない。

初代の議長代理でセコム総帥の飯田亮氏も、日本中で病院を買収している。非常に恐ろしいことが進行している。日本の医療は、ビジネスチャンスの創出と、公的医療費の抑制という二大政策で動かされようとしているが、これは間違っている。医療のあるべき姿を基本にすえて政策を考えるべきだ。日本の政府は国民に、どのような国を目指すのかという将来ビジョンをまったく示さずに、国会審議をないがしろにして、説明義務をはたさないまま、ただアメリカと大企業追随の政策を国会での数的優位を盾にして、押し通そうとしている。常に犠牲になるのは、物言わぬ弱者・国民なのである。

参考:記念講演
「命に国境はない」〜報道の見えない壁の向こうで、イラクでは何が起きていたのか?〜
高遠菜徳子さん

講師プロフィール
1970年1月14日北海道千歳市出身。
30歳を機に仕事を辞め、インド、タイ、カンボジアでの福祉活動に携わる。
2004年4月、4回目のイラク入国の際にファルージヤ近郊でイラクの抵抗勢力に拘束される。
現在は、バグダッドで薬物依存に走り始めた路上生活の子どもたちに
「子ども自立支援ブロミジェクト」として就職斡旋と職業訓練、またファルージャでは
破壊された学校を再建する「ファルージャ再建プロジェクト」をイラク人と共に進めている。
著書「戦争と平和それでもイラク人を嫌いになれない」ほか

2004年4月の拘束事件の際には、大変ご心配とご迷惑をおかけいたしました。また、こうしてイラク報告ができるのも一つしかない「命」あってのものです。それもみな皆様のご尽力のおかげです。また、このような機会を私に与えていただきまして、ありがとうございます。心より感謝いたします。

私にはお伝えしたいことがあります。それは、報道の見えない壁の向こうでイラクでは何が起きていたか、ということです。私は「事実」を持っていきます。あえて「真実」とは言いません。いろいろな事実を「戦争と平和」を考える材料にしていただければと思っています。どちらが残酷か、または善悪の判断をするのではなくて、人間として自分は何をすべきかを考えるきっかけとしていただければと思います。お会いできますことを楽しみにしております。

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ビハーラ安芸主催 2005(平成17)年度 「いのちをみつめる連続研修会」
第10回 特別講義 2006年3月1日 於:本願寺広島別院
「死への準備教育」 →講演内容
ちょう外科医院院長 びんご・生と死を考える会会長 数野 博(かずの ひろし)

(1) はじめに
「死の淵より」(高見 順 詩集)
自己紹介と「びんご・生と死を考える会」の活動
2005年度の年間テーマ「死への準備教育」

(2) 「死」を通して学ぶ「いのち」
「いのちとは、使える時間があるということ」(日野原重明)
一人称の死、二人称の死、三人称の死
肉体的な死(生物としての活動の停止)、心理的な死、社会的な死、文化的な死

(3) 忘れてはいけない「いのち」
自死と「命の電話」「自死遺族ケア団体全国ネット」
「犠牲サクリファイス―わが息子・脳死の11日」「『犠牲サクリファイス』への手紙」(柳田邦男)
人工妊娠中絶と「円ブリオ基金」

(4) さまざまな死
「避けられる死」と「避けられない死」
「避けられるかも知れない死」と「創られた死」
「安楽死」と「尊厳死」
「高瀬舟」(森鴎外)、「海を飛ぶ夢」(2004年 スペイン・フランス)、
「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年 アメリカ)

(5) 日本人と死
ひとの生き方を決めるもの=人生観、死生観、宗教観、家族観
日本人独特の宗教観と四季、死無意識の死生観
過去の想い出と未来への希望
願わくは 花の下にて 春死なん その如月の 望月のころ(西行)

(6) いのちと医療
「往きの医療」と「還りの医療」
「ホスピスケア」と「緩和ケア」
「がんの痛みからの開放、WHO方式がん疼痛治療法」(1989年)

(7) おわりに
「雨ニモマケズ」(宮沢 賢治)

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「避けられない死―安楽死と尊厳死」→講演内容
びんご・生と死を考える会 定例講演会 2005年11月26日 於:福山市民参画センター
ちょう外科医院院長 びんご・生と死を考える会会長 数野 博(かずの ひろし)
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(1) はじめに
びんご・生と死を考える会の活動
2005年度の年間テーマ「死への準備教育」
「人生論ノート」(三木 清)

(2) あらためて「死」とは
肉体的な死(生物としての活動の停止)、心理的な死、社会的な死、文化的な死
延命医療を拒否した人たち:老人ホームで、在宅で、医師として
一人称の死、二人称の死、三人称の死

(3) さまざまな死
三大死因、伝染病(インフルエンザやエイズ)、自死、事故や災害、犯罪や戦争
「避けられる死」と「避けられない死」
「創られた死」と臓器移植

(4) 忘れてはいけない命
自死と「命の電話」「自死遺族ケア団体全国ネット」
「犠牲サクリファイス―わが息子・脳死の11日」「『犠牲サクリファイス』への手紙」(柳田邦男)
人工妊娠中絶と「円ブリオ基金」

(5) 安楽死と尊厳死: すべての死は尊厳死であるべき
尊厳死とリビングウイル(日本尊厳死協会)
自発的(本人の意思による)消極的(死ぬに任せる)安楽死=末期患者の尊厳死
延命医療の中止はどこまで認められるか

(6) 日本人と死 : 無意識の死生観
ひとの生き方を決めるもの=人生観、死生観、宗教観、家族観
日本人独特の宗教観と四季
願わくは 花の下にて 春死なん その如月の 望月のころ(西行)

(7) 今を生きる: 過去の想い出と未来への希望
「高瀬舟」(森鴎外)
「海を飛ぶ夢」(2004年 スペイン・フランス)
「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年 アメリカ)

(8) おわりに
「生きる」(谷川俊太郎)

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「輝いて今を生きる」

ちょう外科医院院長/びんご・生と死を考える会会長 数野 博(かずの ひろし)
私学年金連広島県親和会 講演会、2005年11月2日、於:広島ガーデンパレス

(1) 自己紹介

「がん患者の心支える」 中国新聞「団塊SQUARE」2005年5月29日
「ばんざ〜い!人間」 わらじ医者・早川一光先生との出会い
「ドクターちゃびんのがんと医療何でも相談室」

(2) びんご・生と死を考える会

「支え合い、分かち合い、共に歩む」
がん患者・家族への援助、死への準備教育、ホスピス運動、死別体験者への援助
「避けられる死」と「避けられない死」:救急医療とホスピス

(3) 患者中心の医療

医療は医師と患者の協同作品
インフォームド・コンセントとセカンド・オピニオン
セカンド・オピニオン:東京新聞2003年1月NHKテレビ2004年4月、

(4) 医療制度

医療の3要素:消費者、提供者、制度
医療制度の3要素:利用法、質と安全、費用

(5) 三大疾患への備え

「癌を語る」寛仁親王、国立がんセンター主治医団(主婦の友社出版)
「やっと名医をつかまえた、脳外科手術までの七十七日」下田治美(新潮文庫)
「心臓病棟の60日」平澤正夫(新潮社)
「ガン医療のスキマ30の可能性」伊丹仁朗(三五館)

(6) 一人で悩むより患者会

活発に活動する乳がん患者会:虹の会、ソレイユ、イデアフォー、あけぼの会
がんを明るく前向きに語る「金つなぎの会」(代表:広野光子さん)
ガンの克服支援活動で成果をあげる「いずみの会」(代表:中山武さん)
元気印の闘病法「生きがい療法実践会」(代表:伊丹仁朗さん)

(7) 第三の人生とだれにも訪れる死への課題

手放す心(執着を絶つ)、許しと和解(心のケアの大切さ)、感謝の表明
さよならを告げる、遺言状の作成、自分なりの葬儀を考える

(8) おわりに

よく生き よく笑い よき死と出会う(アルフォンス・デーケン、新潮社)

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びわの葉の会(広島赤十字原爆病院患者会)第9回例会 2005年4月24日(日)於:広島市中区地域福祉センター
「納得・安心・満足の医療への道案内」
びんご・生と死を考える会・会長 数野 博

(1) 自己紹介
広島県東部の医療事情と「びんご・生と死を考える会」の生い立ち
「ドクターちゃびんのがんと医療何でも相談室」インターネットでの医療相談
「保険でよい医療を!」 「さわやか山の会」 「福山市民オンブズマン会議」

(2) 医療の原則
「だれでも・いつでも・どこでも」「質の良い安全な医療を」「少ない費用で」

(3) 危険な医療、その1
医療は危険なもの・病院は危険なところ、自分の健康・自分の命は自分で守る
@ 医療の質は看板ではわからない [間違った骨折治療で障害が残った60才・男性]
■ 病院や医者を選ぶ時に、総合病院とか専門病院とか専門医とかの看板はあてにならない
■ いつでも何でも相談できる「かかりつけの医者」をつくっておいて紹介してもらう
A 肺ガン検診の危険性 [検診で3回誤診されて入院後4ヵ月で亡くなった54才・男性]
■ 検診で異常を指摘されたら、精密検査はヘリカルCTで!
■ 肺ガンの早期発見は大変難しい、検診もCTで行うべきだとの意見もある
■ 乳ガン検診は産婦人科で受けてはいけない、乳腺専門の外来(外科医)で!

(4) 危険な医療、その2
民間病院での夜間の緊急手術の危険性
@ 脳専門病院で [軽い脳硬塞で入院し緊急手術の結果半身不随になった66才・男性]
■納得できなければ「ちょっと待って」とか「いやだ」と言える
■専門病院でも主治医が専門外のこともあり腕のよい医者ばかりではない
A 心臓専門病院で [狭心症で入院し緊急手術を受けたが良くならなかった74才・男性]
■診断が正しいとは限らないので「ちょっと待って」とか「いやだ」と言える
■専門病院でも病院の能力や医者の能力には限界がある
■危険性が高い検査や治療を受ける時には高度に専門的な病院に移ることもできる

(5)危険な医療、その3
誤診はどこでも起きる、開業医での例
@「あなたの胃はきれいなものだ」と言われたが手遅れの胃ガンだった54才・女性
■検査で異常がないと言われても、治療を受けても、調子が悪ければ診断を疑おう
A胸に水が溜まって肺結核と言われたが手遅れの肺ガンだった50才・女性
■良くならなかったら医者をかわるか、専門病院へ紹介して欲しいと申し出る

(6)危険な医療、その4
公的な総合病院といえども危険
[伝達ミスで輸血が遅れて危篤状態になった88才・女性(ドクターちゃびんの母)]
■病院内での情報伝達はあてにならない
■医師から看護師、看護師から医師へ、情報は伝わらないと思わなければいけない
■病院の医師や看護師の知識は結構いいかげんで、間違えても絶対にあやまらない

(7)上手な医者のかかりかた:危ない医療から身を守るための20のアドバイス

01) 治療したら必ずよくなるという幻想を捨てよう
02) 診断基準や治療法は病院や医師によって違うことを知っておこう
03) 医師のうでまえは、ピンからキリまで
04) 情報収集には、医大図書館、インターネットなども利用しよう
05) 医療情報は玉石混交
06) 名医の評判、ランキング本はあてにならない
07) 患者会や市民団体は情報の宝庫。積極的に活用しよう
08) 医師に聞きたいことはあらかじめメモしておこう
09) 複数の治療法の説明を医師に求めよう、治療しないという選択肢も
10) 薬の副作用、手術の後遺症をしっかり聞こう
11) 質問をうるさがる医師は見限ろう
12) 説明をうのみにしないで。医師の誘導に気をつけよう。身内に医者が…
13) セカンドオピニオンは、今日の常識
14) 検査データやレントゲン写真は患者のもの。臆することなく借りだそう
15) 患者として自分の直感を大事にしよう。医師との相性も
16) 不要と思う検査、手術から逃れよう。断る勇気を
17) いきなり5種類以上の薬を出す医師は、要注意
18) 挨拶しない医師、患者の顔を見ない医師、患者を見下す医師はやめよう
19) 入院後、転院するのも「患者の権利」
20) お任せ医療よ、さようなら。自分で治療法を選ぼう

(8)医者選び・病院選び
医者も病院も色々、それぞれの機能と役割がある、参考にならない参考書
患者様のニードも様々、病気の種類や程度も様々、医療に対する期待度も様々
両者のマッチング、道案内と交通整理の役割を担う「かかりつけ医」
医療の地域完結性
患者アドボカシ―、岡山大学の総合患者支援センター
参考書:下田治美著「やっと名医をつかまえた、脳外科手術までの七十七日」

(9)医療制度
医療の3要素:消費者、提供者、制度
医療制度の3要素:利用法、質と安全、費用
外国の医療制度:社会保障、公的保険、民間保険
病院の評価:米国JCAHO(医療施設認定合同委員会)、日本医療機能評価機構JCQHC
医師の評価:医師免許更新(米国1〜2年、英国5年)、日本は終身(賞味期限切れ?)

(10)医療は医師と患者の協同作品
医療行為は、充分なコミュニケーションに基づいて、医師と患者家族が共通の認識をもち、納得と同意が得られた上で、
医学的にも倫理的にも法的にも正しい方法で行われる
医師と患者家族との溝をうめるものは、充分なコミュニケーションに基づいた信頼関係

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