「アレコレ言いたい!2000年の演劇界」えびす組座談会
Part1

ヘ: それでは、これより座談会を始めさせていただきます。皆それぞれ得意分野がありそうですね。メジャーから小劇場に絞っていくと、コンスタンツェからマーガレットかな。話題性のある、商業演劇を含む大きい劇場からといえば…。
コ: チャコと私が多いかな。
ヘ: ビアトリスは新劇系?
ビ: どうしてもそっちに行っちゃう。
ヘ: 生まれと育ちが?
ビ: 演劇歴が出ますね。
チ: 私の場合、昨年は単にあまり見る時間がなかったのでメジャーなものしか見ていないというか、これだけはどうしても見たいというのだけ見たというか…。
へ: では、それぞれのベスト作品について語っていただき、2000年の総括をしていただきましょう。そのあと、なんだかんだと話をしましょうか。
一同: ハイ!

◆チャコのベスト1◆
ヘ: それでは、大きい劇場に行った人から語ってもらいましょう。チャコからどうぞ。
チ: ベスト1の『ノートルダム・ド・パリ』は、歌とダンスが個々に際立っていて、純粋なミュージカルとは違った分野でとらえた方がいいかも、と思える作品でした。ダンスの舞台ではないのだけれど、ダンスだけでも成り立ってしまう程高度な踊りもあって。そんな中で、エスメラルダを演じたオーストラリアのアイドル、ティナ・アリーナの歌がとにかく良かった、という印象が強いです。
ヘ: 有名な作品なんですか?
チ: パリで1998年から上演されましたが、公演日が近いチケットは2年連続で買えなくて見逃しました。でも現地のテレビで、いつもドキュメンタリーや関連した番組を目にしていたんですよね。
ヘ: どこの劇団で?
チ: う〜ん、劇団ではなく、話題の人物を起用しているような。商業演劇のプロジェクトという感じかな。フランス産で初めて当たったミュージカルと言われているんですね。今までは『レ・ミゼラブル』のようにフランスが舞台の作品でありながら、当たっても結局はイギリス発のミュージカルだったりしてね。
コ: ロンドンでご覧になっていますが、歌詞は英語なんですか?
チ: ええ、ロンドンでは英語で上演されています。でも、パリではフランス語で上演されていました。パリで購入したCDを聴きましたが、歌詞はフランス語なんです。
コ: ロンドンには、フランスと同じ人は出演していないんですか?
チ: それが、同じ役者、オリジナルキャストが出演しているんですよ!フランス語の話せるカナダのケベック出身の役者です。まず主演のカジモドはガロウだし、司祭も、ストーリーテラーのグレンゴリーも、その他にも初演時の役者がロンドンにも出演しています。エスメラルダは違うんですけど。
ヘ: ディズニー映画のあれとは違うの?
チ: 違います。ビクトル・ユーゴーの原作は同じでも、作品としては『美女と野獣』や『ライオンキング』のようなアニメ映画の舞台版とは違います。ただ映画を見ていれば、十分内容は理解できるとは思いますが…。
ヘ: 日本ではまだ上演されていないんですよね。
チ: まだですね。
ヘ: どうせ、どっかが持って来るんでしょうね。
コ: どっかって言ったら、あそこしかないでしょう。
チ: でもあそこがやったら、ちょっと世間が狭いかな。
コ: 『壁抜け男』もフランスのミュージカルですよね。
チ: また言葉の問題が出て来ますねー。ロンドンでのプログラムには、英語版の歌詞を担当した方も大きく紹介されていました。(注1)
コ: そこから日本語に翻訳すると、フランス語から更に遠くなっちゃいますね。

(注1)プログラムによると、英語版の歌詞を担当したのは、セリーヌ・ディオンが歌って世界的に大ヒットした『タイタニック』の愛のテーマ『MY HEART WILL GO ON』を書いたWILL JENNINGSでした。どうりで大きく紹介されていたはずです。『ノートルダム・ド・パリ』は、ロンドンに来るまでに、モントリオールやラスベガスでも成功を収めています。

◆チャコの別役体験◆
ヘ: 観劇リストを見ると、文学座が多いよね。文学座とt.p.t.の会員ですか?
チ: t.p.t.は会員を辞めてしまいました。チケットの値段と会費のバランスの関係で…。最近はチケットが取りやすくなったしね。そうしたら見る回数が減ってしまいました。文学座はお得ですよ。
ヘ: 文学座は何本見たの?
チ: 『峠の雲』以外は全部見ました。7本です。その中で、ベスト2にあげた『最後の晩餐』が印象に残りました。私は学生時代から別役作品を見始めたんですが、初めて見たのが多分再演の『天才バカボンのパパなのだ』で、内容は全然理解できなかったんですね。喜劇というものの笑えなくて、ストーリーも筋が通っていないのかななんていう感じで。とにかく最初は毛嫌いしてしまいました。
コ: 私も若い頃に別役を見ましたが、面白さがわからなかったですね。
チ: その後、1984年に文学座アトリエ公演の『ハイキング』を見たんですが、このあたりから別役作品を見るのが癖になってきたというか。でも1997年の『雨が空から降れば』は、1幕目はセリフもテンポも面白く見たんですけど、2幕目はストーリーをなぞるように進んで、不条理のひねったところがないなと思いました。劇評のレクチャー(注2)でも『優しい別役』なんて言われていましたよね。
ビ: そうですね。
チ: それで少々がっかりしていたら、この『最後の晩餐』で挽回したというか。
ヘ: 演出は誰?
チ: 藤原新平です。『バカボン』『ハイキング』『雨が…』もそうです。
コ: 誰が出演していたのでしょう。
チ: 最後の晩餐というとキリストを中心にして座っている絵画を思い出しますよね。
コ: ええ。
チ: だからといってキリスト役の関輝雄が主役というわけじゃないんです。別役作品でお馴染みの田村勝彦、アトリエ公演の『髪をかきあげる』以来私が注目している藤川三郎など、舞台経験豊富な役者陣が出演していました。見る側も別役作品に対して「2000年だから」と気負っていたのかもしれませんが、この作品では不条理をストーリーだけでなく、視覚的にも表現している!と思いました。机と人が登場したり引っ込んだりと、よく動く舞台でした。ストーリーとそのモノの動きを含めて、作品が一体化していました。その昔、別役作品に抱いた感情が、また私に蘇ってきたことが嬉しくてベスト2にあげたんです。

(注2)世田谷パブリックシアター主催の、劇評を書くレクチャー。5人は、そのレクチャーで知りあいました。

◆黒柳徹子 in 銀座セゾン劇場◆
チ: 黒柳徹子主演の『レティスとラベッジ』(ピーター・シェーファー原作)は、何も考えないで見て楽しめた舞台、ということでベスト3に選びました。私が何度も訪れたイギリスが舞台だったので、入り込みやすかったということもあるのですが…。かなり素人っぽい推薦の仕方ですね。
コ: これは再演物ですか?
チ: そうです。初演は1989年で、ロッテを山岡久乃、刑事には高原駿雄が扮していたそうですが、今回は高畑淳子と加藤武がそれぞれ演じていました。セゾン劇場(現・ル テアトル銀座)で上演された黒柳徹子主演作品は、『レティスとラベッジ』の初演以外、私は全て見ていましたね。
ヘ: どれが一番良かったですか?
チ: 初期の頃に上演されていた飯沢匡演出の作品が特に好きです。1995年の『シャンブル・マンダリン』なんか良かった。最初に見たのは1990年の『口から耳へ、耳から口へ』ですが、結構衝撃的でした。それまで外国の喜劇の舞台を見たことがなかったので、なんというか…おかしいことを言って笑わせるというのでもなく、それが作る側としては喜劇の難しいところかもしれないけれど、自然に出てくる笑いというか、とにかく私のイメージしていた喜劇とも違うし、芝居としての作品だし、驚きました。その後も黒柳徹子&飯沢匡のコンビでフランス喜劇をよく上演していたんですけど、飯沢匡は『シャンブル・マンダリン』の演出を最後に、初演を待たずに亡くなりました。そこからセゾン劇場での作品の路線が変わっていったようで…。『マスター・クラス』はそれから2本後の作品です。
ヘ: 飯沢匡も昔、黒柳徹子に作品を書いていましたよね。
チ: セゾン劇場での作品は、全て翻訳劇でした。初期の作品が好きなので、最初に上演された『レティスとラベッジ』が、私にとって面白く思えたのかもしれませんね。

◆文学座の『デンティスト』◆
ヘ: あの、ほとんど無駄なことを聞きますが、文学座の『デンティスト』はいかがでしたか?チラシ(歯科医の格好をした江守徹が、治療道具を持って微笑んでいる)だけ見たら、絶対誰も行かないだろうって。
チ: 文学座の忘年パーティで「皆さんはあまり関心がないかもしれないけど、是非とも再演したい作品だ」と、出演者が語っていました。
ヘ: 江守徹が書いたんでしょう?
チ: 作・演出ともにそうです。新年はじまっての第一弾だったし、「江守さん」だし、お客さんのほとんどはきっと支持会員だし、盛り上げなきゃっていう気持ちで拍手したというか…。
ビ: それ、いけないですよね。
コ: とにかく客席は埋まっていたんですね。
チ: そうですね。でも、さっき話に出た藤川三郎が、いつも外部に出演しているのに、久しぶりに文学座の舞台に立った、しかも二枚目の役で出ていたので、嬉しく拝見しました。

◆俳優賞と美術賞◆
ヘ: 印象に残った俳優の中で、椎名桔平を選んだ理由は?
チ: 彼は映像中心に活躍していますが、テレビドラマで見る限り、特にいい俳優だとは思わなかったんですね。ところが『オーファンズ』では、声はよく出ているし、伸び伸びと演技しているし…。
ヘ: 昔、5〜6年前かな、竹中直人の会に出ていましたよね。あまり舞台は出ていないようだけど。
ビ: セリフを覚えないっていうんでね…。
チ: 『オーファンズ』は、昔、劇団四季で見たことがあります。市村正親が演った孤児の兄貴分を、今回椎名桔平が演りました。彼は多分30代半ばだと思うのですが、オーファンズ(孤児)の少年に不思議と見えたんですね。そう感じさせたことと、以前見た時にはわからなかった兄の気持ちも、今回はよくわかったかなというところで俳優賞を。今思い起こしても、この舞台は彼が大変印象に残るほど良かった。キムラ緑子は、NODA・MAPの『ローリング・ストーン』のように、はちゃめちゃな演技しか見ていなかったんですが、『水の記憶』で同世代の女性の心理をじわじわと伝えていて、自然な演技が素晴らしいと思いました。
へ: キムラ緑子は、いい女優ですよね。
チ: 田中明生は、文学座アトリエ公演の『エレファント・マン』で演じた医者の役が良かったです。彼も『髪をかきあげる』に出ていたんですが、ここでは全く違う印象の田中明生を見たと思います。ティナ・アリーナは、歌と表現が上手かった。テレビでシドニーオリンピックの開会式を見ましたが、エスメラルダと印象は全然違いましたね。話が飛びますが、デヴィット・ルヴォーの『背信』に美術賞を。
ビ: ビッキー・モーティマーですか?t.p.t.だとそうでしょう?
チ: そうですね。私は日本では『背信』を見ていなかったんですけど、水を使った場面があって、なんかすごい美しくってびっくりしました。
ビ: それ覚えていないです。
チ: 多分その演出は初めてだったんじゃないかな。で、ジュリエット・ビノシュが今NYでやっています。
ヘ: えっ?舞台をですか?
チ: ええ。『背信』を。

◆コンスタンツェの好みの役者◆
ヘ: それでは、次もメジャー派のコンスタンツェ、どうぞ。
コ: 好きな役者に関連する3本を選びました。私が何をしに劇場へ行くかというと、ミーハーですが、好きな役者を生で見たいということがかなり強いのですが…。歌舞伎座の『義賢最期』は、片岡仁左衛門の当り役です。本当にずっと見たくて、半ばあきらめていたのですが10年以上待ってようやく見ることが出来ました。やっぱりすごいと思いましたね。歌舞伎は毎月毎月上演されていて、同じ役者が毎月出ているようなものなのに、本当に見たい作品にはなかなか巡り会わなくて。大阪などでは演っていたのかもしれないけれど行けないしね。仁左衛門もあまり若くないし、この作品を見るなら今しかないかと、思い入れたっぷりに真っ先に私のベスト1に選ばせていただきました。市川染五郎主演の『阿修羅城の瞳』も、ここまでのめり込んでいいのかという位久しぶりにのめり込みました。要するに格好良かったんですね。染五郎を好きでない人にとっては、あの格好良さはあざといかもしれませんが。
ヘ: 新感線はいつもご覧になるんですか?
コ: 見ないです!(キッパリ)ずっと昔にシアターアプルで1本見ただけでした。その時の印象が悪かったので、『阿修羅城』を見る前に、新感線ってどんなだったっけと確認するために『犬夜叉』を予習として見たんです。(注3)『犬夜叉』は、佐藤アツヒロ主演だったんですが、よく動いていたなという印象と、彼のキャラクターに合っていたようで、新感線は観客が主役にのめり込めれば楽しいんだなーということがわかりました。そして『阿修羅城』は主役にのめり込んで3時間、見ましたよ。
マ: 長かったですね。
コ: 休憩含めて3時間以上。とにかく長かった。ビデオを買いましたが、2本組だったもの。新感線は公演ごとにいつもビデオが出るんですよ。
チ: えーっ!ビデオが?繰り返し何度も見るんですか?
コ: まだ全部見ていないです。ビデオは記念品みたいな感じで。
ヘ: ハハハハ。封を切らないとか。
コ: 一応開けて、少しずつ見ているんですけどね。家で見ると、やっぱり劇場とは違って楽しくないなって。
ヘ: まぁ、そうでしょうね。
コ: 新感線には路線があるようで、これは純愛路線らしいです。主役は格好良くって、恋愛もので。他には、オポンチ路線とかいうのがあって。それはひたすら笑えて、くだらないだけ、みたいな。純愛路線の場合は、観客が主役にのめり込まなければ面白くないんじゃないかと思いますね。

(注3)『犬夜叉』は新感線の本公演ではなく、パルコとのプロデュース公演です。

◆やっぱり歌舞伎役者!◆
ヘ: マーガレットも見ているので、ご意見をお伺いしたいと思いますが。
マ: 染五郎は、格好良かったですよ。着流しが良く似合って。
コ: 新感線は全員、いつも着物にスニーカーなんですよ。
ヘ: へぇーっ!
コ: それぐらい履いていないと動けないから。でも染五郎は1人だけ草履にテープを貼って出ていました。やはり歌舞伎役者として、着物にスニーカーは履けなかったのでしょうね。この作品は、ファン道極めたり!という気分を味わえた芝居で、私にとって夏のイベントでした。芝居と言うより、何度も見に行くともうイベントなんですよね。ノリはコンサートに近いです。『義賢最期』と『阿修羅城の瞳』に関しては、劇評を書くというレベルの話ではなくて、私がなぜ劇場へ行くか、という根本の部分に触れている作品です。3番目にあげた『2.5 Minute Ride』は、「えびす組劇場見聞録」にも書きましたが、振り返ってみて、あれは面白かったと思います。超地味な作品ではありますが、他の役者ではなく篠井英介だったから良かったなと思います。この3本は芝居としての出来というよりも、演っている人と、自分と、舞台、3つの関係がベストトライアングルであったと感じる作品なので、選びました。特に『阿修羅城』は他の人が主演だったら、長いぜっ!と思ったかもね。
チ: 新感線のオリジナルの時は、誰がその役を演ったんですか?
コ: ふふっ、古田新太がまだ痩せていた頃に、演ったそうです。
ビ: まだ二枚目が演れた頃に…
コ: でも、彼が演っていたら違った意味で良かったと思う。
ビ・チ: 彼は二枚目だと思う。
チ: 声に色気がある。
ヘ: 当時は、どの位のスケールの劇場で演っていたんでしょうね?
コ: 小さかったって書いてありましたよ。
ビ: 花道なんて、なかったんでしょうね。でも、新橋演舞場だったら使いたい放題ですものね。
コ: 演出家が「全員で花道を疾走したい」って言っていたんですけど、その通りでした。花道の付け根には小部屋があって、役者が出入りする際に揚げ幕という幕を開け閉めするのですが、走っていく染五郎を目で追いかけていたら、揚げ幕が開いた時に舟木一夫が見えたんです。普通なら何も見えないのに、なんで?と思ったら、それはロビーに貼ってある次回公演のポスターだったんですよ。その小部屋のロビー側のドアが開いてるんですね。ホントに全速力で走って入るから、多分…
ヘ: 止まれない。
コ: あっ、これって滅多にないことなんだろうな、って思って。1度ロビーで見ていたかったですね、帰って来るところを。

◆テントと砦と倉庫◆
へ: 『法界坊』の劇場(平成中村座)ってのはどんなだったんですか?
コ: あれは、テント小屋でしたね。三角テントじゃなくて、大きなカマボコ型テント。
ヘ: テント芝居?
コ: いえ、中は木で作ってあって、とても立派です。きちんとした花道もあります。
ビ: 昔の芝居小屋みたいな感じ。
コ: 横長の歌舞伎座とは逆で、舞台に比べると客席が細長いんです。前の方が座布団席で、椅子席があって、2階席もある。私は椅子席だったのですが、段差がなくて、とっても!見づらかったです。
マ: 前の人の頭が…。
コ: 椅子席は木のベンチなのですが幅が狭いので、前の人の隙間から舞台を覗こうとすると自分の横の人が邪魔になる。あれで1万何がしは高いです!!
ヘ: 1回でバラシなんでしょ?
コ: 持ち運びができるんで、勘九郎はニューヨークでやりたい、とか言ってます。とにかく早く減価償却して頂いて…。
ヘ: じゃ、ワクワクして行った割には、劇場の出来上がりに余り感心しなかった?
コ: いや、あれはあれでいいんでしょうし、雰囲気が楽しい、っていう人も絶対いたと思います。でも、私にとっては舞台が見えにくいというのはつらいかなという感じです。
ヘ: 『法界坊』っていうのは、この同じタイトルで歌舞伎の演目があるんですか?
コ: ええ、あります。本当は『隅田川続俤』というタイトルなんですけど。
へ: 歌舞伎座でご覧になったことはありますか?
コ: あります。
ビ: 吉右衛門で見ましたね。97年の。
コ: 今回の演出は串田和美で、現代風な小ネタを入れたり、歌舞伎座ではやらないようなちょっとエグい場面を入れたりしていますが、そんなに斬新に演出を変えてはいません。私が気が付かないだけかもしれないけれど、歌舞伎を見てる人が見て、「これは歌舞伎じゃない」って思っちゃうような歌舞伎では絶対ないですね。
ヘ: コクーン歌舞伎と比べてどうですか?より「歌舞伎」ですか?
コ: コクーン歌舞伎もそれほど歌舞伎を崩していないから…。
へ: そうですね。
コ: ノリは同じだと思いますね。ただ今回は劇場が特別だったという感じで。
ヘ: 中村座のことを伺ったのは、梁山泊が去年アトリエを開いて…。
コ: 満天星?
へ: ええ、「芝居砦満天星」。そのネーミングもさることながら、何か久しぶりにこう、面白い劇場って感じなんですよ。
ビ: 半地下みたいなところで?
ヘ: イヤ、もう、すごい地下で。
マ: 満天星なのに。
へ: 階段は地下2階までなんだけど、坂に建ってるから窓からは1階、みたいな。周りはお墓で、すごいロケーションなんですよ。築30年位のマンションで、やっぱりすごく窮屈で狭くって、そこで唐十郎がテントでやってたようなのをやってるんですよ。久しぶりに劇場へ行くのが面白かったですね。だから、劇場へ通うという面白さを盛んに勘九郎が宣伝してたじゃないですか。
コ: (中村座へ)行くこと自体は面白いと思うんですけど。機会があれば皆さんも是非1度は。でも、劇場へ行くという目的だけだったら1度でいいかな。
ヘ: そこへいくと、『雨の塔』はいかがでした?古くて使わなくなった倉庫を劇場に作り替えて、公演をしたんですよね。
コ: アレはそんなに見づらくなかったですよね?ちゃんと傾斜がついてて。
マ: 見やすかったです。
コ: 駅から近いし。
へ: あの倉庫良かったですよね。
マ: 良かったですよね。ホントに皆でトンカチ持って何ヶ月もかかって手作りした、というような感じ。
へ: 本水で雨降らしてましたし。僕見に行った時、どしゃぶりだったんですよ。
ビ: その日はどしゃぶりにしてたの?
ヤ: イヤ、違う違う、帰る時がどしゃぶりで…。
ビ: それいいですね、でも。
マ: 外も中も。
へ: そういう凝ってるロケーションは結構良かった。
ビ: 第七病棟は、そこを選ぶ所から始まっちゃいますものね。
コ: 第七病棟、3本か4本見てるんですけど、見る環境的にはあの倉庫が1番良かった様な気がする。
へ: 三茶の映画館もありましたね。
コ: あ、あれは暑かった。2階のてっぺんで。
ヤ: 僕も2階だったな。『羊たちの沈黙』。
コ: 山崎哲の作品でしたっけ?
へ: そうそう、あの映画より前だった。
マ: え、そうなんですか?
チ: 内容は?
コ: 映画が絡んでたけど…。
へ: 絡んでましたっけ?
コ: 映画女優じゃなかったでしたっけ、緑魔子って。
へ: 喫茶店でしたよね。
コ: 喫茶店でしたねぇ…???…(沈黙)。
Part2ヘ続く

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