(K15)ジェネカバ受信機 0.5-30MHz 

Up-dated 2021.07.12 Rev1/21.09.04 Rev2/21.09.23 Rev3/21.10.23

●(K15)ジェネカバ受信機 0.5-30MHz/AM, SSB, ナローFM

思いの他、感度もよく、自作TXリグの受信機として使用できるジェネカバ受信機を製作しました。基板サイズは、100mmx100mmで、これに 別基板LM386アンプと 30MHz-180MHzを 0-30MHz受信帯に変換するコンバータ(OPTION-15)を同じケース内(タカチMB12-5-18)に組み込みました。

パネル面には、チューニング用のエンコーダ、AFボリューム、FM/SSB/AMを切り替える中点OFF 6PトグルSW, 3つの押し釦は、エンコーダStep切替(50Hz,500Hz,10kHz), Bandステップ切替(3.5,7,10・・・28MHz)、電源OFF後もその周波数に戻れるようなMem釦の三つです。
  (K15)ジェネカバ受信機0.5-30MHzキットとして 頒布◇PICの頒布

正面パネルの左半分がジェネカバ受信機。 右半分は、25M, 50M, 75M, 100M, 150MHzの局発を具備した 30-180MHzをジェネカバ帯0-30MHzに -6dBcで変換するRFダウン・コンバータ(OPTION-15)です。

 右側のケース内面写真では、右半分がジェネカバ受信機基板、左半分がRFダウン・コンバータ基板(OPTION-15)。

 ジェネカバ受信機基板は、100x100mmへのAll-In-Oneにこだわったので、部品密集度は高い。

2nd Version(K15)ジェネカバ受信機 0.5-30Mz/2ndIF;市販455kHzセラミック・フィルタ使用へスキップ(本ページ後半)2021.12.29追加



ブロックダイアグラムを下図に示しますが、1st_IF=45.158NHz, 2nd_IF=444kHz(世羅多フィルター)のダブルスーパーです。 第一局発は、PLL2重ループの45.66MHz〜76.8MHzOSCで、PLL-1(TC9256P)は、10kHzステップで、周波数を切替え、そのPLL-1の比較周波数8MHzVXOを PLL-2(TC9256P)で AD9833(1999.51〜19999.18kHz)により制御しています。 周波数安定度・精度は、AD9833のクロック 10MHzX'talOSCで一義的に決定されます。

2nd_IF=444kHzを軽く増幅した後、SSB,CWは、NE602のプロダクト検波で復調、AMは、汎用TR 2N2222AでAM検波、FMは、第2変換ICに FM用のMC3361を使ったので、おまけ的に追加しています。トップフィルター45.158MHzの帯域が広くできず、6kHz帯域なので、スーパーナローFM対応です。

2nd_IF=444kHz(世羅多フィルター)は、試作機では、6kHz帯域としており、SSB受信時は、両側波帯分が通過するので、プロダクト検波BFOは、6kHz帯域の中心の周波数として、混信は気になりますが、LSBにも USBにも対応できるようにしています。 キット製作者の意向で、世羅多の段間コンデンサ容量を変更すれば、3kHz帯域も、1kHz帯域にもできます。

周波数表示は、変則的I2Cプロトコルの TM1637で 6桁7セグLEDを駆動しています。


●(K15) 回路図Circuit

PCB基板100mmx100mmの半分に配置した PLL局発の回路を以下に示します。
局発は、三つのVCOで構成され、周波数帯により、自動的に該当FETのソースが選択接地され、切り替えられます。

PLL-1(Q10 TC9256P)の比較周波数クロックの"8MHz-Δα"の Δαを動かすことにより、10kHzをカバーし、10kHzごとにTC9256Pの分周比を変更し、全域をカバーします。 クロックの8MHzに DDSを直接入力信号としないのは、DDSには、スプリアスを多く含み、VCO信号のジッター悪化につながるためで、一度水晶発振8MHzをかませることで、VCO純度を高めています。

・PIC16F819の RB0をGND接地すると、ノンクリックタイプのエンコーダに対応します。使用したエンコーダは、クリックタイプで1回転あたり、24パルスでしたが、分解して内部摺動輪ッカの凸部をドライバーで突いて平らにしてノンクリックとして使っています。 クリックタイプだと エンコーダ1回転で、1.2kHzですが、ノンクリックにすると4.8kHz/回転となります。

・RA0は、22kChip2分割で2.5Vを加えています。2.5Vで IF周波数=45.158MHzとして表示周波数を計算しています。外部より電圧を加え、 2.5V+/-2.5Vに変更することでIF周波数を +/-6.4kHzずらして計算するので、SSB LSB/USBで BFO周波数を変えるときは、同時にRA0電圧を変えることにより、正確な周波数を表示することができます。

・MCR, RB1は、AD9833 クロック10MHzXOの誤差修正用です。特に修正しなくても誤差500Hz以内には収まりますが、それ以上に精度をあげるときに、当該ピンを使います。詳細は製作Manualに記載します。
回路


PCB基板100mmx100mmの残り半分に配置した 受信部の回路を以下に示します。

ANTからの信号は、Q20 J310で50Ω/300Ωインピーダンス変換をし、LPFを通して、Q21 NE602に入力されます。この間、インピーダンス変換のみで、ゲインはほとんどありません。逆に増幅すると、NE602が混変調を起こします。 
 1st_IFは、45.158MHzx3段クリスタルフィルター、通過帯域6kHzで、近接の強信号を減衰させるのと、映像周波数(46.043MHz)信号を阻止します。実測では、少し甘いのですが-45dBcでした。FM用として広帯域にしたかったのですが、3rdOT水晶45.158MHzの特性として、fsとfpの間隔が狭く、広帯域にはなりませんでした。

 SSB/CWは、ごく普通のNE602検波です。AMは、最初UTC7642(3端子ラジオIC)を試したのですが、周囲のノイズを強烈に拾い、いかんともしがたく、あきらめました。PCBパターンは出来上がっていたので、パターンをそのまま使えるように、ピンアサインがEBCとなっている2N222Aを使いました。Trとしては、2SC1815と同等です。

 Q28 2N7000は、BS170と同じようなMOS FETです。AM/SSB/FMを一つのトグルSWで切替できるようNE602からのSSB復調AF信号を ON/OFFします。普通のNPNトランジスタは、一方向にしか電流が流れないので、このようなAF信号ON/OFFに使うと、AF信号が歪ますが、FETは双方向の電流を流すので、AF信号を歪なく通すことができます。


以下の回路図は、プロトタイプ基板の回路図を示す。 その後種々改善を折込、以下回路の下側が最新版回路図。 回路


以下の回路図が最新版回路図。2点鎖線囲み部分が主な改善点。 回路


周波数表示の TM1637-6桁7セグLEDの駆動回路を下図に示します。
使用した7セグLEDは、輝度が低いので、TM1637のダイナミックドライブ巾を最大にしています。それでも暗いので、TM1637の最大定格電圧+7V以内の、6.2Vで駆動しています(78M05の中間端子を 1N4148x2本でかさ上げして)。 回路

●製作の要点・・上記最新版回路図は、以下改善回路折込済み

1)DDS-AD9833周辺。
・AD9833は、3mm角に0.5mmピッチで10本の足付き極小ICです。対角の2つのピンのみ位置決め仮半田づけして、あとは、5本ずつまとめて半田後、はんだ吸い取り線で余分な半田を吸い取る。
 目視での確認は、むずかしいかもしれないが、虫メガネでよくみて、余分なハンダ・ブリッジがないことを確認する。

・このDDSの発振周波数は、1999.18kHz〜1999.51kHzで わずかΔ0.33kHzの範囲でしか使わないが、STEPボタンを押し続けて電源投入すると SGモードで起動し、0〜3.5MHzを50Hzステップで可変できるので、世羅多フィルターの帯域測定、調整に使える。


2) PLL-2 TC9256P VXO可変範囲(Vt=9V〜0V)

8MHzVXOの使用周波数範囲は、7,998.04kHz〜7.996.2kHzであるが、
この間をフル・ステップ変化するときに、30%位オーバシュートするので、
VXOをフリーランでVt=0V〜9V変化させたときには、7,999.0kHz/0V〜7,992.4kHz/9Vを確保していることを確認しておくこと。

 VXO周波数を TC9256P-Pin2にカウンターをつなぎ、周波数を確認しながら、T_VXOコアで調整する。(PICを差し込み、TC9256Pに書き込みをしてWake-Upさせないと、Pin2に出力されないので注意。 TC1637も接続すること。TC1637がないと、I2Cのアンサーバックがないので、PICプログラムは渋滞停止する)

T1の8MHz同調も、Pin2の出力最大にコアを合わせる。


2-1) PLL 2SK246ソース抵抗(330Ω+1kVR)の調整


2-2) PLL VCO 発振信号純度の調整

バラックテストでは、あまり気にならなかったが、ケースに組み込むと、OSCの信号音がノイジーで、その波形スペクトラムを FFTで観察してみると、下図のとおりであった。ピーク値から、-30dBc以下で測波帯が発生し、RXで受信(52.208MHz)してみると、すそ野が無数のビートで混濁している状態であった。

 数日かけて、この原因を探したところ、この雑音源は、TM1637のLEDダイナミックドライブに起因するノイズであった。 このノイズのPLL系への影響経路は、大きく二つあり、1つ目は、電源B+12V経由侵入するもの。二つ目は、TM1637の周辺で発生しているノイズ電界により、PLL TC9256PのPin15の高インピーダンス結線経路(数十MΩか)が、AM変調されてしまうもの、がある。

 一つ目の要因(B+12電源経由)は、51Ω+220uFのデカップリング回路と、PLL回路の 2SC1815リップルフィルターで、かなり抑えられていると思われる。

 左図の状態は、二つ目の要因(TM1637の周辺の電界)が主要因であった。TM1637のAVR(78M05)の入力側へデカップリング(51Ω+220uF)を挿入するために、AVR入力側配線を50mmくらい、PLL基板の裏側で引きずりまわしていたが、この配線が、TC9256Pからの距離が、30mm程度であったので、このケーブルから、ノイズを輻射していたようだ。 


左図は、PLL基板をそのまま30mm持ち上げて、結果として、
AVR(78M05)入力側配線(経路長50mm)の
TC9256P間との距離、30mmを 約2倍の60mmにしたもの。

 上図と比較すると、-30dBc付近で発生している測波帯が、大きく減少していることがわかる。

以上の試行から、以下の対策とした。
AVR入力側配線をできるだけ短くするために、下左側のTM1637基板写真のように、この基板内にデカップリング(51Ω+220uF)を組み込んだ。 写真のように、51Ωは、B+端子〜AVR間に橋渡し配線、220uFは、22uFチップとパラに半田付けした。
 その結果の OSC波形が、下右図である。ノイズの測波帯が-45dBc付近まで減少している。 



さらに、追加の対策として、下写真のように、PLL基板の TC9256Pの裏面に、生基板(20mmx52mm)で、遮蔽シールド板を追加した。 その結果の OSCスペクトラムが下右写真のとおり。
 なお、6kHzの2倍、3倍高調波が見えるが、これは、FFT-PC内で発生しているもので、52.208MHz近辺で発生しているものではない。

 


2-3) PLL LPF定数の調整/最適化
R17=6.8k、R18=4.7k、C1=1uFからなる LPFの時定数を変える場合の値の計算は、添付XLSを参照ください。
  ◇ダウンロード PLL_LPFの時定数xlsファイル


2-4) PLL VCO チャピリ (Cheep) 改善
Q21 NE602にRF信号の入力があったときに、Pin6の状態が変化し、それが、VCOのコイルを引き込み、VCO発振周波数のチャピリを生じていることがわかった。
 NE602のPin6にはバッファアンプが内蔵されているので、ほとんど影響はないと思っていたが、RF信号として -70dBm(S9+)をいれると、VCO周波数が50Hz位引き込まれることがわかった。

 この対策として、基板パターンカットにより、右図のとおり、1kΩChipを2個追加した。これで、チャピリはほとんど解消した。 ただし、わずか周波数変動はあるので、これでも不足と思われる方は、LoをOption Amp 2SK192Y の出力側からとることをお薦めする。


3) VCO 周波数可変範囲


各VCOは、基板部品面に 1kΩを接続する2ピンがあるので、そこで、TC9256Pからの制御を切り離し、Vt電圧を仮設VR等から VCOに与えて、左図のとおり所定の周波数範囲をカバーしていることを確認する。

 VCOは、順番にソース側GND部を接地して、1個ずつ確認していく。まずVt=1.5Vを与え、回路図指定の周波数を発振するように10Kコアを調整する。 そして Vtを9Vまで変化させて、概ね左図の周波数範囲であることを確認する。


3-1) VCO 周波数可変範囲 C5,C6の最適化
VCO_A; 45.66MHz/1.5V〜 53.76MHz以上/8.0V
VCO_B; 53.76MHz/1.5V〜 64.00MHz以上/8.0V
VCO_C; 64.00MHz/1.5V〜 76.80MHz以上/8.0V

各VCOの 可変範囲は、Vt=1.5V〜8Vで 上記範囲をカバーするように調整するが、部品のバラつきで、VCO_B, _Cで、この範囲を得られない、との指摘があった。

 試作2号機VCOで確認すると、Vt=1.5Vで所定周波数にコア調整し、Vt=8Vにしたときに、上限が所定周波数まで伸びなかった。

 左図の示すように、同調コンデンサー、C5, C6は、10pFに代えて 7pFにする必要があった。 10pFのままとするならば、Vt=1.5Vで下限周波数にコア調整するのではなく、Vt=1.0Vで 所定周波数のコア調整する。ただし、Vtが下がりすぎると OSCの発振波形が汚くなる。


4) ハイフレ・トップフィルターの調整

左写真は、試作1号機目の45.158MHzx3段の水晶フィルタの通過特性で、横軸は45,152kHz〜45,162kHzの10kHzスパンです。
前後のT10, T11トランスのコア位置が微妙に効いてくるが、水晶呼び周波数45.158MHzでピークのコア位置調整でこのようになる。 SGがあれば、45.158MHzを入力すればよいが、ない場合は、予備の水晶発振子で OT発振回路を組み、カウンターで45.158MHzであることを確認して、Q21 NE602のPin6に微小信号を入力すればよい。 Pin1には、10kΩで仮接地して NE602のバランスを崩すと、出力側に 45.158MHzが出力される。


4-1) クリスタルフィルターの通過特性の改善

左図は、クリスタルフィルターの通過特性の改善経緯を示す。
T11の同調コンデンサーは、15pFであったが、試作2号機では、45.158MHzに同調させると、コアがほとんど最下点で抜けてしまった。
 MC3361のPin16の浮遊容量が予想以上に多いようで、同調コンデンサは、10pFに変更した。(初号機は、モトローラMC3361、2号機は、UTCのMC3361。サプライヤーの相違の関係性は不明)。

また、T11は、コア調整がクリチカルで、ちょっとずれると、通過特性も大きく変わってしまうので、T11のリンクコイル側に 1.2kΩチップのダンプ抵抗を付けた。 T10側は、NE602の出力ピン4,5には、内部の1.5k抵抗でダンプされているので、チューニングはクリチカルではない。

下左写真は、試作2号機の水晶フィルタの通過特性で、上図4)と比較すると、通過水平域が大きく傾斜していて、バンド内で8dBの差がある。 
 少し気になるので、これが改善できないかと、試行錯誤をした。 結果として、上図のように、3段目の水晶に、45.158MHz水晶を並列に接続すると、下右写真のように、この水平部傾斜が緩和された。



4-2) クリスタルフィルターの通過特性測定

左は、ハイフレ・トップィルターの特性測定/調整の結線状態を示している。

 信号源(45.158MHzスキャン信号)は、Q21 NE602の Pin6に入れる。 そのままでは、DBMバランスで出力されないので、Pin1は、10kΩで接地して、DBMのバランスを崩す。 そして入力は、-50dBm(50Ω)以下とする。 これ以上だと MC3361が飽和してしまう。

局発(CR426 45.605MHz)の調整は、
まず、T12のコアを回して、 45.602MHzの発振を確認する。 そして発振した時点より、コアは少し反時計方向に回し、安定した発振状態とする。  
 そして、T13のコアを回して、所定の周波数に合わせる。 (所定周波数=45.158MHz +440k BFO周波数)

45.158MHzスキャン信号出力は、Q23 J310ソースから取り出すが、FM B+に12Vを加え、Q23を活性状態にする。 同時に、世羅多フィルターのセラロックの影響がでないように、セラロック入口を 接地GNDする。


5)世羅多フィルター(セラロック・フィルター)

左写真は、試作1号機の通過特性で、横軸は、440kHz〜450kHz。中心周波数の 444.3kHzを プロダクト検波のBFO周波数とした。
この通過特性は、セラロックのばらつきにより大きく変わると思うので、実際の通過特性を測定する。PICには、「STEPボタン押し続け・電源投入でAD9833がSGモードで起動」する機能を組み込んであり、0〜3.5MHzを50Hzステップで可変できるので、世羅多フィルターの帯域測定、調整に使える。

実際のBFO周波数に合わせ、ゼロビートが、45,158kHzになるように、第2局発の45.602.3MHzを調整する(試作機では、45,158+444.3=45,602.3kHz)。 T13のコア位置により、45.587〜45.603MHzまで可変できた。
 45.603MHz以上の周波数にする場合は、T13をカットし、代わりにコンデンサーを直列に接続すれば、45.607MHzまで調整できる。


5-1) 世羅多フィルターの 通過凹凸の改善
 この世羅多フィルターは、通過特性に かなりの凹凸(3-6dB)があり、受信信号の音質低下をきたすので、これが改善できないかと 試行錯誤をした。
 このキットを同時に製作されている方から、「外部で入出力を 300Ωに整合した状態で測定したものは、特性は改善される。 ただラジオに組み込むと、よい特性が再現されない」というヒントをもらった。

 それならば、ということで、出力側を 左図のとおり、100Ωチップを介してT16のリンクコイルに接続する方法に変更した。  T16は、140t:8tのコイルで 以前7MHz Radioのときの 1kHz BWフィルター(Z=数十Ωか)の場合は、このリンクコイルで良好な結果が得られていたが、この5.5kHz BWでは、さすが、数十Ωは低すぎるだろうとのことで 330pFで同調コイル側から、接続することを選んでいた。
 入力側の T15は、MC3361の内部1.8kΩがぶら下がっており、一次コイル側のインピーダンスも低いので、リンクコイル接続にすると、ゲインが大幅に下がってしまうこともあり、オリジナル回路のままとした。 
 下左側の写真は、試作2号機の世羅多フィルターの 改善前回路での通過特性である。凹凸があり、すそ野が広い。
 横軸は、左写真;439kHz〜449kHz、 右写真;440kHz〜450kHzの10kHzスパン。
 右写真は、改善後の通過特性。 水平部の凹凸、左側(周波数が低い側)のすそ野が改善されている。



これは、トップフィルター(45.158MHz)と 世羅多フィルター(440kHz)の二つを通した、最終的なフィルター特性である。
 横軸は、45.152MHz-45.162MHzの10kHzスパン。
 水平部の傾斜は、トップフィルターの 特性が残っているので、止む無し。 


5-2) 世羅多フィルター(セラロックフィルター)の帯域特性の測定

  フィルターの帯域特性の調整には、下図のように、一目できるような測定器がないと、難しい。FRMSのようなもの。

 T15は、SG源(50Ω)を 2.2kΩを介して接続。フィルター通過後は、T17の共振コンデンサーを 330pF+0.001uF直列とし、コンデンサで 1:4タップダウンした状態で 50Ω系AD8307dBm計に接続する。AGCはOFF。 

 左上のLCD写真に表示されているものは、上記5)のものとは別の2号機で測定したもので、横軸は、439kHz〜449kHzを1秒間でスキャンしている。

 セラロックは、左から順に、発振周波数=445.2kHz, *4.8k, *4.9k, *5.3kHzを並べたもの。(発振周波数は、BE間0.0027uF, E-GND間0.001uFの無調整発振回路)
 中心周波数=444.2kHz。 -6dB帯域;5kHz。帯域内で 約3dBの凹凸がある。


6)ロータリーエンコーダー ノンクリック化

左写真は、クリックタイプのロータリーエンコーダーの 4つの かしめ爪を外したところ。

写真では見にくいが、ボディーと 回転プラスチック円板との間に 突起のついた ワッカ(黒丸部)が見えるでしょうか?
このワッカの突起を ドライバーに先で押しつぶすと、ノンクリック・タイプとなる。

そしてPIC-RB0をGNDに落とすと、4倍分解能となり、1回転あたり、50Hzx24x4=4.8kHzの偏移が可能になる。

最初からノンクリック型の場合で、回転トルクが大きく(重たく)感じる場合は、4つの カシメ爪を緩めると、回しやすくなる。



7)AM TR(トランジスタ)検波回路

左図は、AM検波回路を示す。
左側は、オリジナル回路であるが、これでは、完全なTR検波となっておらず、小さな信号のときは、歪が多く、AMの復調が困難であった。

大きな音量を得るために、ベース電流をA級増幅まで増やしたが、弱信号では、検波としては使い物にならないことがわかった。
 トランジスタを使った AMのTR検波では、コレクタ電圧を≒1Vとし、ベース電圧は、Thresholdぎりぎりとし、AM高周波信号は、プラス側のみ通し、マイナス側は、TR べース〜エミッター間ダイオードにより阻止するように使うのが、定石でそのようにした。

 基板には、LED取付穴があるので、その場所に、赤色LEDを取り付け、2N2222のベース抵抗は、470k〜1MΩとする。

この変更により、AMの音量は、下がり、SSB検波音量よりも、かなり小さい音となるので、気になる場合は、AM専用の簡単なAFアンプ(2SK30Ax1段 あるいは、2SC1815 Av=10倍x1段)を入れるほうがよい。


8) IC NE602の初期不良

左図は、プロダクト検波回路に 使用し、初期故障していた NE602AN。

いままで IC類は、自作で数百個は、使ってきたと思うが、初期故障していたのは、記憶では、初めてのケースとなる。
プロダクト検波回路のBFO発振が確認できず、NE602の Pin8, Vccの100Ωチップの両端降下電圧をテスターで測ったら、0V。 Pin1,2 Pin4,5電圧も 0V。どうやらVcc Pinが断絶しているようだった。

 同じロットをキットに梱包しているので、もしかすると、他にも初期故障品があるかもしれない。NE602の消費電流は、2mAなので、Pin8, Vccの100Ωチップの両端降下電圧を測って、0.2Vであれば、良品と判断できる。

 もし、キット梱包品NE602で 不良品があった場合は、連絡ください。代替品を送ります。



●プログラムソース

プログラムは、次からダウンロードしてください。
 ◇ダウンロード GRX1.asm & GRX1.hex 圧縮ファイル=AD9833クロック 10.0MHz用
asmコードのアセンブルには、MPLABが必要です。

プログラム修正 GRX→GRX1; BandChage直後、50HzStep見合いのDDS値が更新されていなかったバグ修正。2021.09.25


 ◇ダウンロード GR8X1.asm & GR8X1.hex 圧縮ファイル=AD9833クロック 9.830.4MHz用

プログラム修正 GR8X→GR8X1; 基準周波数1.999.510HzのDDS値が間違えていたバグ修正。2021.12.30

A)表示周波数の補正

・世羅多フィルターの帯域を 3kHzとか1kHzに狭めた時には、USB/LSBに合わせ、BFO周波数を変える必要があり、その場合、上図左のように T18の下のC74を変化させることにより、可能となる。
 並列追加の180pFというのは、試行錯誤で最適容量にする。 そのとき周波数表示がずれるので、それを右側のようにPIC-RA0の電圧を変えることにより補正する。 2.5Vで IF=45.158MHzで引き算をしているが、2.5V +/-2.5V により、IF=45.158MHz +/- 6.4kHzの補正ができる。

********************
********************

●JA5GOJ/田中さんによる 改良プログラム

機能追加・ステップ周波数の精度向上等を図ったPIC改良プログラムのBlog。2022.02.12
この改良プログラムは、キットのHardwareは、変更なしに、そのまま使えます。   
********************

=========================================
=========================================

●ここから下は、第2IFに 市販の455kHzセラミック・フィルターを使ったGRXの製作記です●

基板半分の PLL_VCO部分は、全て上記の製作記事と同じですので、それを参照してください。

受信部分は、第2局発水晶の CR426(45.605MHz)が払底したため、世羅多フィルターに代えて、455kHzセラミック・フィルターとし、第2局発水晶にエジソンプラザで見つけた45.625MHz(VXOにより、45.613MHz発振)を使っています。VXO可変巾を広いので、QRHが少し気になる。

市販455kHzセラミック・フィルタ LT455HUは、帯域+/-3kHz、入出力インピーダンス2kΩの仕様です。入出力は、互換性があるかと思ったのですが、このフィルターは、対称ではないようです。 コンデンサ計で実測したところ、入力側の容量は、83pFで、出力側は、690pFでした。 入力側は、T15の240pFと入力容量83pFで 455kHzに同調させています。

 出力側は、大容量なので、出力側のT16とマッチングをうまくとることができず、T16は省略し、2kΩで終端し、Q24ゲートへ直結としました。 入力側は、Q22 MC3361内部に 1.8kΩがあるのでPin3に直結でも ほぼマッチングしますが、同調トランスを入れたほうが、すそ野の特性が良くなるので、T15をいれました。

 IFを455kHzとしたことで Q27 NE602のBFOも VXOコイルT18は省略し、セラロック455を本来の周波数 455kHzで発振させています。

●(K15) 市販455kHzセラミック・フィルター使用の回路図Circuit

回路

 左写真は、455kHzセラミックフィルターの通過特性。横軸は、MC3361 Pin1に45.153〜45.163MHz(-50dBm)信号を入れた。公称帯域は、+/-3kHz(-6dB)であるが、実測は、+/-3.5kHz(-6dB)でかなりのなで肩である。   右側は、45.150〜45.160MHzの 100kHzスパンでの特性。




これは、トップフィルター(45.158MHz)と セラミックフィルター(455kHz)の二つを通した、最終的なフィルター特性である。
 横軸は、45.153MHz-45.163MHzの10kHzスパン。
 左右の肩の非対称、水平部の傾斜は、トップフィルターの 特性が残っているので、止む無し。 




これは、セラミック・フィルター(455kHz)の取り付けた状態。世羅多フィルターの位置に取り付ける。
写真では、出力側トランスT16も残っているが、配線していない。  




上の写真を貼り付けた時は、
セラミック・フィルター(455kHz)出力側で インピーダンス整合するトランスが見当たらず、やむを得ず、2kΩで終端して、2SK192Aへ接続した。(左図 上側)


その後、秋月の可変インダクタを 改造することにより、30t:119tのトランスが出来上がることがわかった(下段記事参照)。
そのトランスを 左図下側のように接続すると、ステップアップ効果により、利得は+12dB増加し。かつフィルターのすそ野特性も改善され、一石二鳥である。  



左写真は、セラミック・フィルター(455kHz)の後段のT16用として、
秋月の可変インダクタ(13085-119t, 500uH,黄色)に 1次巻き線30tを追加したもの。

このトランスは、底部の爪4本を 極小ドライバーの先でつついて起立させて、上部ツボコアを外して、上部から押すと簡単に分解できる。 

既存の巻き線 119tは、パラフィン固定しているが、パラフィンにハンダ小手先を近づけて、柔らかくしたあとに、その上に UEWφ0.1mmであれば、30t追加して巻くことができる。
 UEWφ0.05であれば、多分70t位巻ける。


◇ホームページ インデックスへ戻る