標準信号発生器SG 1kHz-250MHz



Up-dated 2004.2.10

●標準信号発生器SG 1kHz-250MHz

AFから250MHzまで+15dBmレベルの信号の発生器です。
・1kHz-16.3MHzは、秋月DDSの信号を増幅し、出力。
・16.3MHz-250MHzは、DDS信号を比較周波数としたVCO-PLL信号を出力。

・パネル右側は、◇7セグLEDx6桁の周波数カウンタです。
 VCOをマニュアルVRで操作するときに周波数を確認します。

ケースの内部です。
内部サブケースは、タカチのMB-11(80x150x55H)で VCO基板を収容し、信号の外部への不要輻射を減らしています。
MB-11は、絶縁スタッドM3x20mmL 4本で 本体ケースへ取りつけています。不要輻射RF信号の迷走流れを遮断するためです。

仕様
・1kHz〜16.3MHz ;DDS出力直接増幅
・16.3 MHz〜250MHz ;VCOx 5個切替え出力
・周波数ステップ 10Hz、0.1kHz、1kHz、10kHz、100kHz、500kHz
・出力レンジ -75〜+10dBm(10MHz時)
・変調  AM 800Hz
・ケース  リードPS4(190Wx85Hx150D)

電源トランスは、内部収容スペースがなくなり、裏面パネル外側へビス止めしています。
内部サブケースMB-11の下側に20mm高さのスペースがあるので、そこに薄型電源(15Vx500mA、23Vx20mA)を組みこめれば、全て収まる。

アイデアでしかないが、秋月の小型SW電源15Vx800mAのプラスチックケース蓋をはずし、薄くすれば20mm高さにできそうな気がする。23V電源はTL497ACN でインバータ電源回路を組み上げる。


・内部サブケースのカバーを取り外し、VCO PCB基板を見たところです。
・右上の4個のトロイダルコアは、右側より VCO1,VCO2,VCO3,VCO4です。
・その左側の 四角小さなケースがVCO5;;POS-200です。
・左側のICがPLL TC9256Pで、中央下部がμPC1677C、右下がログアンプAD8307です。

・TC9256Pの裏側に シールド用1tアルミ板50mmx70mmをはさんで、DDS基板を背中合わせにビス止めしています。
・初心者には、製作は少し難しいかもしれませんが、プリント基板パターンを起こしていますので再現性はあると思います。



●ブロックダイアグラム Block diagram

・100-250MHzは、ミニサーキットのVCO;POS-200を使用。
・16.3-100MHzは、アミドンのトロイダルコアのハートレLC式2SK241VCOを4台使ってカバーしています。
・DDS出力、VCO出力は、約-6dBmですので、その後段に26dBのゲインをもつμPC1677Cで+15dBm(40mW)まで増幅しています。
・出力は、可変ATT(1SV34 x3個)で調整できる。-50dB絞れる予定でしたが、実測では周波数帯にもよりますが、約-35dBとなっています。
・受信機調整の際は更に信号を絞りたいので、抵抗式の-50dBのATTをリレーで追加挿入できるようにしています。
・VCO1〜VCO5は、DDS信号を比較周波数として、PLL-IC TC9256Pで周波数をロックさせています。
・PLLの比較出力信号は、2SK30A+2SC1815のラグリードLPFアンプで増幅され、VCO制御電圧を生成しています。
・ラグリードの定数は、VCOの電圧感度、周波数、分周比によって最適値が異なりますが、下図の表のような組み合わせで、なるべく一定値で全てのVCOをカバーするようにしています。カット&トライの調整が、全てのVCOに関係するのでむずかしく、一部の周波数では、若干FMがかっています。




●回路図Circuit click on large

・以下のVCO発振部は、プリント基板74x140mm上に製作。
・秋月のDDSキットの設定は、シリアルモード設定。チップセレクトはデフォルトのまま(CS0=CS1=CS2=10kΩでプルアップ)




・PIC制御部は、蛇の目基板に製作。


●部品の入手について procurement of parts

・POS-200;以前は秋月で販売していたが、最近は店頭に置いていない。必要な方は、ミニサーキット横浜(http://www.mcl-yokohama.co.jp/)で扱っていると思うので問い合わせてみてください。
・PLL-IC TC9256P、プリスケーラTD7104P; 通販では、敬誠。 秋葉へ行ける人は、千石の店頭(2F)で入手可能。
・DDSキット、μPC1677C、AD8307、2SK125、チップセラコン10μF; 秋月で通販しています。
・トロイダルコアT37-#6、T50-#2 ;斎藤電気商会。
・Sonyバリキャプダイオード1T33、ツェナダイオード;鈴商。
・PINダイオード 1SV34 池田電子。

●広帯域μPC1677Cアンプ 回路図Circuit

DIP8ピンのμPC1677Cを使った10kHz〜300MHzの広帯域アンプの回路です。


同回路の1kHz〜16MHzのGp-f特性を示します。10kHz以上では、25dB+/-1 となっています。
16MHz以上は、測定していませんが、同図に示すメーカ推奨標準回路のゲイン特性より推定して1GHzまでは、ほぼ一定の25dBと思われます。(300MHz以上で使用するときは、異常発振防止用の入出力のバイパスコンデンサ3pFを外します。これは、無くても異常発振はしないと思います。)


このICの通常の使用標準回路は、左図のとおりです。絶対最大定格電圧Vccは6VですのでVccには、安定化電圧5Vを与え、Vcc と出力ピン間にL(RFC)を接続するのが通常の使い方です。
このサンプル回路ですと、RFCは 0.1μH程度でf=10MHzにおけるリアクタンスは、5Ωにしかなりませんので、10MHz以下は、ほとんどゲインが無くなります。本機SGのようなAF域から250MHz用のアンプとしては不向きですので、RFCの代わりに抵抗110Ωを負荷とする使い方をしました。但し、これは、メーカ推奨の回路から逸脱していますので、使用者の責任で使うことになります。



このICの等価回路です。B+5VでのVcc、OUTピンの流れ込み電流の実測値は、20mA、60mAでした。
等価回路はバイポーラトランジスタで構成され、特に12Vで問題になるような耐圧部品は見当たりません。最大定格の6Vは、全損失750mWを守るためだけの制限と思われます。
したがって、VccはB+5Vにして、OUT端子は、B+12Vから抵抗負荷110Ωによる電圧ドロップを考慮して、端子印加電圧が5Vになるようにしました。
これにより全周波数帯域において110Ω以上のインピーダンス負荷となり、10kHzにおいてもゲインが得られることになります。
μPC1677Cは、マイクロデスク型アンプのMAV-3,ERA-2等よりもゲインも大きく、最大100mWも得られ、放熱も十分で丈夫な感じがしますので実験用にはお勧めです。
またIN端子のTRのベースに800Hz信号を入れ、AM変調ができます。


本機では、プリント基板上に実装されているので、発振の問題はありませんが、蛇の目基板上に不用意に製作すると間違いなく異常発振を起こします。
このアンプを単独で製作する場合は、左の写真のように生基板上にカッターナイフでパターンを作り、実装します。発振防止の要点は、GRDピン2,3,4,6,7を最短距離で、かつ同電位で接続する幅広のパターンを確保することにあります。
この写真の基板には、右下に 1SV34のATTも実装しています。これは、本機とは別に作ったRFアンプの写真です。

●プログラムソース及び基板

PIC16F84-20Pは、PLL・DDS制御用1個 とAD8307電圧出力のdBm変換用1個 の計2個使用しています。
それらのプログラムは、次からダウンロードしてください。
 ◇ダウンロード SG.asm & SG.hex,,,SGvm.asm & SGvm.hex 自己解凍.EXE
asmコードのアセンブルには、秋月のAKI-PICプログラマーCDに付属しているPa.exeが必要です。

プリント基板パターンSGver1.pcb は、PCBEソフト(CQ誌99年6月号、2000年6月号付録CD-ROM)を使っています。
CD-ROMをお持ちでない方の◇PCBEソフトダウンロードサイト

 ◇"SGver1.pcbe" 基板パターンのダウンロード自己解凍.EXE(112kB)


・レイヤー1、2、7外形、8孔 を選んで「版下印刷」で裏面配線パターンの部品面からの透視図。(右側)
・レイヤー2、3、4、5、6、、7外形、8孔 を選んで「版下印刷」で表面部品配置図。(左側)
・基板は、サンハヤトの片面感光基板43K ガラスコンポジット1tx100x150を使用した。できあがり寸法は76mmx140mm


 ◇"P_PS_mW_SGpanel.pcbe" ケースPS4のパネル面機器配置のダウンロード自己解凍.EXE(45kB)
・これを透明粘着シートに印刷して ケースPS4のパネルに貼るとパネルレタリングが不要になります。 

●操作方法

PLL-ManSWをPLL側に倒し、
・初めて電源を投入するとデフォルト値14,100kHzを出力します。これは、DDSの出力です。
・エンコーダステップのデフォルト値は、500kHzで、エンコーダをまわすと0-250MHzまで変化します。
・周波数の変化に合わせて 自動的に DDS→VCO1→VCO2→VCO3→VCO4→VCO5 の切替えがなされます。
・PB1(STEP)を押すたびにステップは、500kHz,100kHz,10kHz,1kHz,100Hz,10Hz,→500kHzに循環変化します。このステップ切替え時に その時の出力周波数が、EEPROMに書きこまれますので、次回電源投入時は、この周波数を出力します。


PLL-ManSWをMan側に倒すと、
・VCO1(16.3-26MHz)を出力します。この周波数は、マニュアルVRで変化させます。
・写真は17.441MHzが出力されています。
・PB1(STEP)を押すたびに VCO1→VCO2→VCO3→VCO4→VCO5→VCO1 の循環切替えがなされます。この切替えの際にそのときの選択VCOが、EEPROMに書きこまれますので、次回電源投入時は、このVCOを出力します

・192.198MHzが出力されています。VCOは、100-250MHzのPOS-200が選択されています。
・このVCOは、定格仕様は 100MHz-200MHzですが、VCO制御電圧を最大20Vにすると実測では 95-255MHzまで変化しました。
・fmax/fmin=2.6 このように大きく変化するVCOは、自作ではたぶん製作できないでしょう。


・PB2(SCAN)を押しながら、電源投入すると,EEPROMを強制リセットしますので、初期値(14,100kHz)に戻ります。
・またこのSWは将来の機能追加時の操作用SWですが、今時点では、このルーチンプログラムは空です。




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