[政治家の発言]

[麻生首相また失言「貧乏人は結婚するな」] 2009年8月23日
[医療費不適切発言、首相「おわびする」]  読売新聞 2008年11月27日
[年金公約違反めぐる発言 首相「誤解を招いた」支持率の急落受け陳謝] 中国新聞 2007年12月18日
[「法相冤罪発言」仏の顔も三度だ] 朝日新聞 社説 2008年2月15日
[鳩山法相のアルカイダ発言首相擁護「おもしろい」] 朝日新聞 2007年12月15日
[首相、年金公約「頭に浮かばず」] 朝日新聞 2007年12月14日
[政界で「迷言」が頻発、政治家の言い逃れ] 朝日新聞 「天声人語」 2007年12月13日
[「公約違反ほど大げさか」 年金名寄せ難航 首相が批判に反論] 中国新聞 2007年12月13日
[都台が悪くなると急に鈍る与党政治家の記憶] 中国新聞 「天風録」 2007年12月12日
[厚労相 責任回避に躍起] 厚生労働相の主な発言 中国新聞 2007年12月12日
[守屋前防衛次官の逮捕、福田首相「極めて遺憾」] 11月28日22時13分配信読売新聞
[我々は「アイヌの血引く蛮族」] 朝日新聞 2007年11月1日
[「鳩山法相」軽率すぎて話しにならぬ] 朝日新聞 社説 2007年10月31日
[「友の友、アルカイダ バリ・テロで助言も」鳩山法相が「放言」 直後に修正] 朝日新聞 2007年10月30日
[アルツハイマーでも分かる] 麻生大臣発言撤回
 2007年7月20日
[安倍首相の「慚愧に耐えない」発言(要旨)] 朝日新聞2007年5月29日
「慚愧(ざんき)に耐えない思いです」 2007年5月28日
[「産む機械」発言]見識を疑うしかない 沖縄タイムス 社説 2007年1月30日
[経済格差悪くない、小泉首相が答弁=「ねたむ風潮慎むべき」−参院予算委] 時事通信 2006年2月1日
[私たちこそ理解できぬ] 首相年頭会見 朝日新聞 社説 2006年1月5日
[国民本位とは名ばかり、常識・良識からかけ離れた首相の言動] 朝日新聞「天声人語」2001年3月13日
[森首相の「詭弁」] 朝日新聞「天声人語」2000年11月2日
[天皇を中心としている神の国という発言] 朝日新聞「天声人語」2000年5月26日

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[麻生首相また失言「貧乏人は結婚するな」]
2009年8月24日

 衆院選(30日投開票)の公示以降、最初の日曜日にしてラストサンデーとなった23日、与野党各党首は午前中はテレビ討論番組にはしご出演し、午後は各地で街頭演説するハードスケジュールをこなした。麻生首相は「民主党300議席超」という大手メディアの選挙情勢調査にも強気の姿勢を崩さずにいるが、問題発言をぶちかました。学生主催の集会でメ貧乏人は結婚するなモとやってしまったのである。

 問題発言が飛び出したのは23日夜、東京都台東区内の区立施設で開かれた学生主催イベント「ちょっと聞いていい会」でのこと。学生が首相にさまざまな質問をぶつけるスタイルで進行する中、少子化問題の根源に言及した男子学生がいた。「結婚資金がなかなか貯まらず婚期が遅れ、ひいては少子化を招いているのではないか。」景気低迷に伴う非正規雇用問題などが深刻化する折、就職を控えた学生にとっては身近で切実なテーマといえる。

 ところが首相は「金がないなら結婚しないほうがいい」とズバリ。その根拠を「オレは金がないほうではなかったが、43歳で結婚した。稼ぎが全然なくて(結婚相手として)尊敬の対象になるかというと、なかなか難しい感じがする」と経験則を踏まえて述べた。 リアリティーある回答に会場に集まった約50人の学生は静まり返るしかなかった。通常、人生の先輩方はメ若いのに金の心配をするなモとかメ苦難を一緒に乗り越えてこそ夫婦モなどと結婚に前向きな意見を述べるものだが、国のリーダーから「まず金を貯めろ」と言われては不安にならないほうがおかしい。

 さすがの首相もそんな空気を読み取り、「金があるから(結婚)する、ないからしないというものでもない。人それぞれだからうかつには言えないところ」とまとめた。祖父・吉田茂首相の側近だった池田勇人蔵相の「貧乏人は麦飯を食え」を想起させる発言だった。

 首相はこの日の街頭演説で格差拡大の「反省」と景気対策の「実績」を強調。「市場競争原理主義で、皆さんの生活にかなりのしわ寄せがいった。率直に反省し、政策をやり直さねばならない」と陳謝した。テレビ出演では「先週よりは今週、昨日よりは今日と手応えがだんだんよくなっている」とし、「1日、2日あれば全然変わる」と大逆転を予告した。

 一方、民主党の鳩山由紀夫代表は「最後の最後まで気を抜けない」と楽観ムードを警戒。東京都荒川区の商店街では「社会保障をぶった切り、ハコモノ行政を優先する官僚任せの政治が、皆さんの生活を厳しくした」と与党批判を展開した。

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[医療費不適切発言、首相「おわびする」]
読売新聞 2008年11月27日14時19分配信

 麻生首相は27日昼、社会保障費抑制に関し、20日の経済財政諮問会議で、「たらたら飲んで、食べて、何もしない人の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」と発言したことについて、「病にある人の気分を害したなら、その点はおわびする」と陳謝した。

 首相官邸で記者団の質問に答えた。首相は「ふしだらな生活をしないで、(病気の)予防をきちんとすべきだというのが趣旨だ。予防に力を入れることで、医療費全体を抑制できる」と釈明した。

 首相発言に対しては、公明党の太田代表が27日昼、「言われている通りなら不適切だ」と批判。河村官房長官も同日午前の記者会見で、「(病気の人が)心を傷つけられたとしたら、表現が不十分だったと思う」と語った。民主党の鳩山幹事長は同日午前、「このような方が首相にふさわしいのか、首をかしげる。本質的な考え方が我々と違う」と、首相を批判した。


年金公約違反めぐる発言
首相「誤解を招いた」支持率の急落受け陳謝
中国新聞 2007年12月18日

政府は十七日、年金記録問題の全面解決の事実上断念が参院選の「公約違反」と指摘されていることをめぐり、福田康夫首相が「党のビラなんかで誤解を招くような表現があったのは事実」と重ねて陳謝するなど、事態の沈静化に躍起となった。先に首椙が「公約違反というほど大げさなものか」と発言したことが内閣支持率急落につながったことを深刻に受け止めたとみられる。これに対し、自民党の伊吹文明幹事長は記者会見で官邸側の対応を公然と批判。政府、与党間の「不協和音」も拡大した。

首相は十七日夕、官邸で記者団に、自民党が参院選ビラに「すべての統合を完了させる」と明記したことを踏まえ、「誤解を招く表現があったのは事実。おわびを申し上げないといけない」と陳謝。同時に「年金制度を再構築しなければいけない。このままでは崩壊するから、必死の思いで(照合を)やっている」と説明した。町村信孝官房長官も会見で「説明不足」と言明。安倍晋三前首相が参院選で「最後の一人まで支払う」と訴えたことも、表現に問題があったと認めた。ただ、来年三月をめどに照合を完了するなど七月に政府与党が決めた対応策を見直す可能性については「変更する考えはない」と否定した。一方、伊吹氏は会見で、先の首相発言について「公約のようなものだったかな、という言葉が良くない。逃げては駄目だ」と批判した。

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<福田首相>イージス艦事故審議で死亡前提の不適切発言
毎日新聞 2月29日13時7分配信

29日午前に開かれた衆院予算委員会のイージス艦事故集中審議で、行方不明になっているマグロはえ縄漁船「清徳丸」船主の吉清(きちせい)治夫さん(58)と哲大(てつひろ)さん(23)について、福田康夫首相が「治夫さんはまだ50代の働き盛りだった。こういう方を亡くしてしまった」などと、死亡を前提にした発言を繰り返した。福田首相は「大黒柱とこれから家を支えていく息子さんを亡くしてしまったご家族の気持ちを考えると本当に悲しい」とも発言した。午後再開した審議の冒頭で「失礼な言い方があったとすれば陳謝する」と話した。海上自衛隊と海上保安庁は現在も捜索を続けている。石破茂防衛相は答弁で「捜索に全力を挙げる」と強調した。【加藤隆寛】

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「法相冤罪発言」仏の顔も三度だ
朝日新聞 社説 2008年2月15日

【冤罪】罪がないのに、疑われたり罰を受けたりすること。無実の罪。ぬれぬ。「大辞林」にはそう書かれている。選挙で買収したり、買収されたりしたとして住民らを次々に逮捕し、最長1年1ヵ月も拘束して、うその自白を迫る。関連の捜査では、「早く正直なじいちゃんになってください」と孫の名前で書いた紙を無理やり踏ませる。こんな乱暴な捜査で起訴された12人全員が無罪判決を受けた鹿児島県議選の選挙違反は、事件そのものが鹿児島県警によるでっちあげの疑いがきわめて濃い。一審判決もそのことを示唆し、検察は控訴を断念した。これを冤罪といわずして何というのか。

ところが、全国の検察幹部が出席した会合で、鳩山法相が「冤罪と呼ぶべきでない」と発言した。その後、鳩山氏は自らの発言について次のように釈明した。冤罪は、無実の罪で有罪判決を受けてそれが確定した場合だ。富山の強姦事件では、被告の有罪が確定して服役した後に、真犯人が明らかになった。一方、鹿児禺事件は無罪判決が出ているので、冤罪とはいえない。鳩山氏は「無罪判決をすべて冤罪というと範囲が広くなりすぎる」とも述べた。一般的に、「疑わしきは被告の利益に」との刑事裁判の原則が適用されて灰色無罪となるケースがある。それまで冤罪というのは抵抗があるという趣旨なら分かる。

しかし、鹿児島事件は灰色無罪ではない。捜査の方法にこそ様々な問題があったことは最高検も認めている。それを冤罪ではないといわれたのだから、元被告らが抗議声明を出したのも当然だ。一方で、鳩山氏は釈明の中で、「被告と呼ばれた方にご迷惑をおかけし、社会通念上は冤罪といわれても致し方ない」と述べた。前言を事実上、訂正したようにも受け取れる。いずれにしても、法務行政を預かるトップの発言としては、なんとも浅はかで、軽すぎるというほかない。やりきれないのは、鳩山法相が今回のような軽率な発言をこれまでも繰り返していることだ。

死刑について、「法相が絡まなくても執行が自動的に進むような方法はないか」と語り、死刑制度の勉強会を省内に設けた。その一方で、就任5ヵ月間で計6人という異例の速さで死刑の執行を命じている。外国特派員協会の講演では、「友人の友人がアルカイダ」と述べ、物議をかもした。私たちはこのとき、「そうした大事なことについて軽口をたたくようでは、法相の資格はない」と指摘した。鳩山氏は安倍前首相によって法相に任命された。福田首相がそのまま再任した。しかし、ここにいたっては、福田首相の任命責任が間われている。

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鳩山法相のアルカイダ発言首相擁護「おもしろい」
朝日新聞 2007年12月15日
*ドクターちゃびんの解説:真剣に話さなければいけない時に、ユーモアまがいの不真面目な話をして、国民をごまかそうとしている。

福田首相は14日夜、TBSの報道番組の収録で、「友人の友人がアルカイダ」と発言した鳩山法相について、「面白い方ですよね。面白い方。発言の中身も面白い」と語った。鳩山氏の発言には、現職の法相が国際テロ組織とかかわりがあるかのような印象を与えたとして町村官房長官が口頭で注意したほか、野党が「軽率だ」などと批判している。首相が鳩山氏擁護ともとれる発言をしたことで、野党から国会審議で真意を追及される場面が出てきそうだ。

鳩山氏は10月の講演で「私の友人の友人がアルカイダ。バリ島中心部の爆破事件にからんでおり、私は近づかないようにというアドバイスを受けていた」などと発言。事前にテロを知っていたかのような説明だったが、その後の記者会見で「話を聞いたのは事件の3、4ヵ月後」と訂正。さらに「舌足らずで誤解を生む部分があった」と釈明していた。

収録で首相は「アルカイダ発言はいただけない」という司会者の問いに、「あの1回だけじゃ駄目ですね。違続して聞くと昧がある」と感想を述べた。さらに鳩山氏が「(テロ組織が)しょっちゅう日本に平気で入って来られるというのは安全上好ましくない」と発言したことを念頭に、「そういう人がいる可能性があるってことを正直に言っている。ほんとのことを、ほんとと言った」とも語った。

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首相、年金公約「頭に浮かばず」
朝日新聞 2007年12月14日

釈明▼福田首相は13日の参院外交防衛委員会で、「宙に浮いた年金記録」の照合作業の遅れは自民党が7月の参院選で掲げた公約に違反していないと発言したことについて、「正直申しまして公約で(年金記録問題を)どう言っていたのか、ちょっと頭にさっと思い浮かばなかったからそう言った」と釈明した。年金記録問題が再び政治問題化する中で、野党はさらに攻勢を強めそうだ。

尾立源幸氏(民主)の質問に答えた。首相は答弁で「こういう事実を起こしたことは本当に言い訳できない問題だと思っている。私は7月に政府が決めた方針に基づいて、(解決に向け)着実にやっていく」と強調したが、尾立氏は「首相が公約を覚えていない政権なんてあり得るのか。自分たちが『これをやります』と言って選挙を戦ったはずだ。いい加減だ」と批判した。

◇ 町村氏「私の説明つたなく」
謝罪▼年金記録問題で野党が批判を強める中、町村官房長官は13日の町村派総会で「誠に私のつたない説明でご迷惑をおかけしている」と陳謝した。参院選で「最後の一人まで年金記録をチェックし、正しく支私う」などと公約したことについて、町村氏は「選挙中だから簡素化してモノを言ってしまった」と述べていたが、事態の沈静化に躍起だ。

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政界で「迷言」が頻発、政治家の言い逃れ
朝日新聞 「天声人語」 2007年12月13日

今年の流行語大賞にはもう遅いが、暮れも迫った政界で「迷言」が頻発している。年金をめぐる福田内閣の開き直りだ。聞き捨てるにはもったいないので、小欄でも紹介しよう▼宙に浮いた年金記録は、「来年3月までに照合を終え」て「最後の一人まで支払う」のが公約のはずだった。それが出来なくなった。責任もどこ吹く風、「解決すると言ったかなあ」とうそぶくのは、福田首相である▼「最後の一人まで。そういう気持ちで取り組んでいく」と誠意らしきものを見せた。だが「気持ち。分かるだろう」と続いては、B級ドラマの口説きでも聞くようだ。町村官房長官は「選挙中なので簡素化して言ってしまった」。つまり、「良い格好」をしたということか▼舛添厚労相が言うには、あれはスローガンで「意気込み」なのだそうだ。「(選挙のとき)出来ないけれどやってみますとは言えない」と正直ではある。聞けば聞くほどに、選挙用のカラ手形でしたと、馬脚が現れる▼今年を象徴する漢字は「偽」だと、きのう日本漢字能力検定協会が発表した。全国から公募して、まれに見る多数で選ばれたそうだ。信じる心を裏切られ続けた。やりきれぬ1年にダメを押すような、政治家の言い逃れの図である▼「人」の「為」すことは偽りが多いと、この字を読み解く説がある。もとは、変化して他のものになる意昧だと白川静さんの本で知った。「公約」が、言った言わないの「口約」に変わり、その場しのぎの「膏薬貼り」に終わっては、国民はたまらない。

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「公約違反ほど大げさか」
年金名寄せ難航 首相が批判に反論
中国新聞 2007年12月13日

福田康夫首相は十二日夜、年金記録問題の全面解決を事実上断念したことを野党側が公約違反と批判している状況について「公約違反というほど大げさなものかどうか」と述べ、参院選での公約違反には当たらないとの認識を示した。政府の説明が国民に誤解を与えたのではないかとの質問にも、「具体的にどう言ったのか私もよく覚えていない」と述べた。官邸で記者団の質問に答えた。

首相は十一日にも記者団に「『解決する』と言ったかな。それは取り方にもよるが」などと述べており、開き直りとも受け取れる連日の発言に、批判が強まるのは必至だ。首相は十二日、「宙に浮いた」年金記録約五千万件に関し「来年三月までにできるだけ名寄せをするが、難しいものもあるかもしれない」と指摘。その上で「やめますというわけにはいかない。最後まで確認しなきゃいけない」と述べた。

「解明の努力今後も継続」
厚労相
舛添要一厚生労働相は十二日の衆院厚労委員会で、基礎年金番号に未統合で「宙に浮いた」年金記録約五千万件のうち約九百四十五万件が統合困難とみられることに関して「今後あらゆる手段を使って解明すべく努力を続ける」として、政府として引き続き対応に全力を挙げる考えを強調した。民主党の長妻昭「次の内閣」年金担当相らが「政府の公約違反だ」と追及したのに対し、舛添氏は「『最後の一人、最後の一円まで』というのは政府与党が決め、選挙の公約として私は訴えた。その公約実現のために日々努力している」と釈明。「真意が伝わらなかったのは大変串し訳ない」とも述べた。

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都台が悪くなると急に鈍る与党政治家の記憶
中国新聞 「天風録」 2007年12月12日

宙に浮いた年金の照合。「最後の一人に至るまで」と、安倍晋三前首相が絶叫するのを確かに聞いた。だが与党政治家の記憶は都台が悪くなると急に鈍るらしい。来年三月末までに完了という約束が、どうも怪しくなった▲それに比べ、五歳のチンパンジーの短期記憶の力はしっかりしている。1から9までの数字をバラバラに置いた画面を瞬時に記憶してしまう。人間の大人よりも優れていることが証明されたという。京都大霊長類研究所によるテストの結果だ▲見たまま瞬時に覚える力は、人間もサルと同程度あったが衰えたとみられている。代わりに言語などによる複雑な思考力を進化させたという説が有力だ。おかげで力を合わせ、文明社会を築いたという訳である▲ただ病や死など、力が及ばない人間の弱さに古くから目を向ける人もいた。仏教の開祖ブッダもその一人だろう。最近読んだ「瞑想脳を拓く」(佼成出版社)によるとブッダは自分の体に極限までのストレスを与え、脳の働きを研究した科学者だったという見方もあるようだ▲元気を出したり、ストレスに耐えたり、心を司る脳の神経。中でも精神を落ち着かせる「セロトニン神経」に気付いていたのではないかという。座禅やヨガなどの腹筋呼吸法はその作用を高めるらしい▲記憶力は衰えても、経験に基づく判断力は六十歳過ぎてなお伸びるという。脳の力はやはり不思議だ。釈明ばかりに使ったのではつまらない。

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[厚労相 責任回避に躍起]
中国新聞 2007年12月12日
「宙に浮いた」年金記録をめぐる舛添要一厚生労働相の主な発言

8月28日 5000万件は(参院選あ)公約の「最後の1人、最後の1円まで確実にやる」ということで取り組んでいきたい(就任翌日の記者会見)
10月15日 田舎町などの紙台帳と突き合せ、(2010年に)日本年金機構ができるときにはデータを完ぺきにしたい(参院予算委員会)
10月31日 どうして分からない記録が出ることはあり得るが、9割以上が順調に進めば、作業が失敗という評価にはならない(総務省の検証委員会の報告書公表を受けて)
l1月21日 選挙の時のスローガンですからいいかげんに言った話ではない。そういう意気込みでやるし、現実に一生懸命やっている。ただ「3月までに最後の1人、最後の1円まで」とは言ってません(記者会見)
12月11日 エンドレスだ。できないこともある(記者会見)

年金名寄せ4割難航

社会保険庁の年金記録不備問題が再び国会で焦点となった。基礎年金番号に統合されず持ち主が分からない「宙に浮いた」記録約五千万件の、うち、四割近くの名寄せ(照合)作業が難航していることが十一日判明。「来年三月に名寄せ終了」と繰り返してきた政府、与党に対し、野党は「公約違反」との追及を強めた。舛添要一厚生労働相は「すべてを解決すると言った覚えはない」と火の粉を払うのに躍起となった。

国会焦点に再浮上

「社保庁の積年の病弊」。厚労省で会見した舛添氏は「ここまでずさんとは予想外だ」と驚いてみせた。社保庁は十七日から「ねんきん特別便」を発送するのを前に、新たなプログラムで本格始動したコンビューター上の名寄せ作業の実績を基に、五千万件の全体像を初めて推計して公表した。十月末に総務省の年金記録問題検証委員会も同様の分析をしているが、八千件弱の記録をサンプル調査したものにすぎず、今回推計の方が精度は高い。

期限明示できず

約九百四十五万件(全体の約二割)は将来にわたって持ち主特定が難しい恐れがあるとの深刻な結果に、社保庁幹部は「五千万件は『大半が死亡者』『受給に結び付かない』といった見解は撤回する」と、これまでの誤りを認めた。だが、当初想定をはるかに上回る困難な事態が確認されたことで、いつになれば年金記録が完全に回復できるのかが不透明となってきた。約九百四十五万件の中には、古い紙台帳と一つ一つ突き合わせる地道な作業が必要な記録も含まれる。

舛添氏は「エンドレスだ。できないこともある」と言い切り、期限を明示できなかった。十月十五日の参院予算委員会では「紙台帳と突き台わせ、日本年金機構の発足時(二〇一〇年)にはデータを完ぺきにしたい」と答弁していたが、あっさりほごにした。そもそも「来年三月の名寄せ終了」は、七月の参院選での自民党の公約だ。町村信孝官房長官は「選挙だから『年度内にすべて(解明する)』と縮めて言ってしまった」と釈明した。

「バラ色の誤解」

舛添氏は、八月の厚労相就任直後に.「最後の一人、最後の一円まで確実にやる」と会見で述べていたが、」十一月下旬には「選挙のときのスローガン。意気込みだ」とトーンダウン。この日の会見では「三月ですべて年金問題がバラ色に解決できるという誤解があった」と公約違反との批判に反論。大臣としての責任を否定した。だが「バラ色の誤解」を広めたのは与党サイド。ある自民党議員は「『名寄せ』だの『統合』だの、言葉の定義があいまいだった」と認める。

年金記録の回復には(1)コンピューター上の「名寄せ」作業によって該当者を絞り込み(2)ねんきん特別便などで人物を「特定」(3)特定された本人の申告で記録を「統合」ーの手順を踏むが、安倍晋三前首相は「最後の一人までお支払いする」と国会答弁や演説で連呼。参院選前の自民党のビラには「今後一年間ですべての統合を完了させます」との活字が躍っていた。与党幹部は「国会議員だって、ほとんどが三月には問題解決と思っていた。国民が誤解するのは当たり前だ」と話す。

首相「引き続き努力」

福田康夫首相は十一日夜、「宙に浮いた」年金記録約五千万件について舛添要一厚生労働相が全面解決するとの方針を事実上断念したことに関し「『解決する』と言ったかな。それは取り方にもよるが、来年三月までに(名寄せを)やるというようなことを言ったかもしれない。引き続き努力する」と、官邸で記者団に対し釈明した。また政府、与党からは作業促進に加え、国民への丁寧な説明に全力を挙げ理解を得ていくべきだとの発言が相次いだ。与党では野党の追及への懸念や、政府側の対応への批判の声も出ている。

与党側が来年三月までの解決を訴えた参院選公約に違反すると指摘されていることについて自民党の伊吹文明幹事長は「五千万件すべての名寄せを完了すると受け取られたのであれば、表現のまずさを謝罪しないといけない」と記者団に指摘。その上で「『選挙の時だから簡単に言っちゃった』というのは感心しない」と町村信孝官房長官ら政府の姿勢を批判した。公明党幹部は「参院選での公約違反だと指弾されるだろう」と警戒。「福田首相や舛添厚労相が一生懸命努力していると国民に分かってもらえるかどうかだ」と述べ、政府側の誠実な対応が重要との認識を示した。

野党「公約違反」と批判

野党各党は十一日、基礎年金番号に未統舎の年金記録約五千万件のうち約四割の名寄せ作業が難航していることについて「政府の公約違反であり、責任は非常に犬きい」(民主党の小沢一郎代表)と批判、舛添要一厚生労働相の責任を追及する姿勢を強めた。小沢氏は十一日午後、「次の内閣」の長妻昭年金担当相らを党本部に呼び、徹底的に追及するよう指示。山岡賢次国対委員長は記者会見で「舛添氏は職を辞して国民に謝罪すべきだ」と強調した。共産党の小池晃政策委員長は記者団に「安倍内閣時代に起こった問題だが、福田康夫首相も舛添氏も『最後の一人まで支払う』と約束した。国民にうそをついたことになるLと指摘。社民党の福島瑞穂党首と国民新党の亀井久興幹事長は、参院で舛添氏の問責決議案提出を検討する考えを示した。

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守屋前防衛次官の逮捕、福田首相「極めて遺憾」
11月28日22時13分配信読売新聞

 福田首相は28日夜、守屋武昌・前防衛次官の収賄容疑での逮捕について、「極めて遺憾で残念だ。こういうことがあってはならない。防衛省の改革を進めていかなければいけない」と述べ、防衛省・自衛隊の綱紀粛正を徹底すると共に、来週にも初会合を開く「防衛省改革に関する有識者会議」で再発防止策をまとめる考えを強調した。

 これに先立ち、防衛省で行われた自衛隊高級幹部会同に出席した首相は「防衛省、自衛隊に対する国民の信頼が大きく揺らいでいることは残念でたまらない。原点に立ち戻り、緊張感を持って任務に取り組み、隊員への範を示せるようになって欲しい」と訓示した。

 石破防衛相は28日夕、防衛省で記者会見し、「防衛行政に対する信頼を損ねたことを国民に深くおわびする。装備品調達についてゼロベースから議論を行いたい。商社を介在させるやり方についても白紙的な検討を行う」と述べ、抜本的な調達改革に取り組む姿勢を強調した。

<ドクターちゃびんの解説>
「…防衛省の改革を進めていかなければいけない」と述べ…
外務省(伏魔殿)の改革を妨害した張本人の言葉です!
本当に必要だった根本的な真の構造改革(外務省改革)をつぶしたのは福田現首相!
[国民への裏切りが始まった] 佐高 信(評論家) 朝日新聞2002年1月31日
田中氏は外相になって…機密費の上納問題を含め、一度はふたをされたものを開けようとしたのである。腐臭漂うそれを開けられたら困るのは、外務官僚と、前内閣の官房長官としてふたをした福田氏だった。両者の父親の名前を冠して、田中氏と福田氏の争いは“第二次角福戦争”などと言われたが…機密費問題にふたをし続けようとする者と、そのふたを開けようとする者との争いだった。

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我々は「アイヌの血引く蛮族」
朝日新聞 2007年11月1日

民主党の山岡賢次国会対策委員長(元自由民主党)は31日、自民党の大島理森国対委員長との会談で、同席した別の2人を指して「2人はヤマトンチュ(沖縄の方言で本土出身の人)の貴族だから」とした後、大島氏と自らを「こちらはアイヌの血を引く蛮族ですので」と発言した。直後の記者会見で山岡氏は「冗談だ。誤解を与えたとすれは申し訳ない」と陳謝し、発言を撤回した。

発言は会談冒頭の写真撮影の際に行われた。山岡氏は発言の真意について「大島委員長の地元は青森、私は栃木県真岡市で、北の方だ。大衆、生活者という総称において、私らは生活者中心の(大衆的な)土壌から出ているんだ、という意味で申し上げた。そういう立場を擁護しようという意味だ」と説明した。アイヌ民族に対する認識について、山岡氏は「日本の先住民族ですから、同じ日本人であるし、特に意識をしたことはない」と説明。「誇りに思い、(大衆的な立場を)代表して言っているという解釈をしていただきたい」と語った。

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「鳩山法相」軽率すぎて話しにならぬ
朝日新聞 社説 2007年10月31日

現職の法相が国際的なテロ組織とかかわりのありそうなことを言ったのだから、だれでも驚いてしまう。「私の友人の友人がアルカイダなんですね。私は会ったことはないんですけれども、2、3年前は何度も日本に来ていたようです。彼はバリ島の中心部の爆破事件に絡んでいた。私は彼の友人の友人ですけれども、バリ島の中心部は爆破するから近づかないようにというアドバイスは受けておりました、私は」 

鳩山法相が話をしたのは、外国特派員協会主催の講演会でである。日本の法務行政のトップがテロリストとつながりがあるのか。しかも、5年前にインドネシアのバリ島で起きたテロを事前に知っていた。それなら、200人以上が犠牲になった事件をなぜ未然に防ごうとしなかったのか、と思ってしまう。発言はただちに世界に報じられた。ところが、さらに驚いたことに、鳩山氏は講演の後、発言を訂正した。友人から聞いた話で、その真偽は確認していない。聞いた時期はバリ島の事件の3、4ヵ月後だ。アルカイダと聞いているが、過激派グループに協力している人かもしれない、というのである。どこまでが事実なのか。急にあいまいな話になってしまったのだ。

鳩山氏は「舌足らずで誤解を生む部分があった」と釈明した。しかし、これは「舌足らず」ということではすまない。テロのような深刻な問題で、不確かなことをさも事実のように話すのは、社会の安全を守るべき法相としては、あまりに軽率ではないか。法相発言は、入国する外国人の指紋を取り、顔写真を撮影する制度の意義を訴える流れの中で出てきた。この制度はテロ対策の一つとして11月20日から始まるが、「外国人すべてを危険視し、偏見を生む恐れがある」として反対論や慎重論がある。鳩山氏は制度の必要性を海外メディアに訴えたかったのかもしれないが、こんな粗雑な例を持ち出しては、逆効果だったのでないか。なんとも浅はかというほかない。

鳩山法相の軽率な発言は、これが初めてではない。法相が死刑執行を命じる現在の制度について、「法相が絡まなくても執行が自動的に進む方法はないか」と述べた。死刑はひとたび執行すれば取り返しがつかない。そんな重い事実を考えていないかのような発言には違和感を覚えざるをえなかった。司法試験の合格者を昨年度の1500人から3千人にまで増やすという政府の方針にも、鳩山氏は「多すぎる」と異を唱えている。欧米に比べて少ない法律家を増やすことは長年にわたって論議され、政府が進めている司法制度改革の柱であることを忘れてはいけない。テロ対策、死刑制度、司法改革。そうした大事なことについて軽口をたたくようでは、法相の資格はない。

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「友の友、アルカイダ バリ・テロで助言も」
鳩山法相が「放言」 直後に修正
朝日新聞 2007年10月30日

鳩山法相は29日午後、東京都内での講漬でインドネシア・バリ島の爆破テロ事件に言及し、「私の友人の友人がアルカイダだ。バリ島中心部の爆破事件に絡んでおり、私は中心部は爆破するから近づかないようにとアドバイスを受けていた」と発言した。200人以上が犠牲になった02年10月の事件を事前に知っていたとも取れる内容だったが、講演後に「友人に聞いた話で、私が発生前に爆破計画を知っていたということではない」などと発言内容を訂正した。講演は日本外国特派員協会の主催で、約100人の外国人記者らが参加。日本政府が16歳以上の外国人から日本入国の際に指紋を採る制度を11月20日に導入することに関し、記者側からその必要性を問われた際、制度の意義を強調する例として事件に触れた。

発言後、法相は文書でのコメントと記者会見で@自分も参加しているチョウ研究の国際的な愛好家グループの友人から「グループの中にアルカイダと思われる者がいて日本にも入ってきていた。爆破事件にも関与していた」という趣旨の話を聞いたことがあり、その友人の話を紹介したAアルカイダとされる人物はグループの1人で、グループの少なくとも1人に対して「爆破事件があるかもしれない」との事前の連絡をしたと自分は聞いている、と説明した。そのうえで、自分はその人物と友人でもなければ面識もない▽友人の話の真偽は確認していない▽この話を聞いたのは事件の3、4ヵ月後のこと―などと弁明した。釈明会見では「誤解を生む部分があったので明確に訂正したい」と述べた。人物が所属する組織も「アルカイダと聞いているが、過激派グループに協力をしている人という意昧かもしれない。断定的に言える状況にはなかった」と修正した。

鳩山法相の発言要旨は次の通り。

私の友人の友人がアルカイダなんですね。会ったことはないんですけれど、2、3年前は何度も日本に来ていたようです。毎回いろんなパスポートに、いろんなひげで、わからないらしいんですね。(中略)彼はバリ島の中心部の爆破事件に絡んでいた。(中略)中心部は爆破するから近づかないようにというアドバイスは受けておりました、私は。そういう方が日本に入って来られるというのは好ましくないので、指紋を採っていただく。

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麻生大臣「アルツハイマーでも分かる」発言撤回
2007年7月20日

麻生外務大臣は19日の講演で、「アルツハイマーの人でも分かる」と発言したことについて、発言を撤回するとともに謝罪しました。
麻生外務大臣:「7万8000円と1万6000円はどちらが高いか、アルツハイマーの人でもこれくらいは分かる」
この発言について、麻生大臣は20日午後、「不適切なものがあった」として発言を撤回しました。
麻生外務大臣:「この件については、発言を撤回するとともに、不快な念を持たれた方々、関係者の方々におわびを申し上げたい」
これに対し、民主党の鳩山幹事長は「軽はずみな発言だ」と反発を強めています。

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[安倍首相の発言(要旨)] 朝日新聞2007年5月29日
松岡農水相自殺を受けた28日の安倍首椙と記者団の主なやり取りは次の通り。

◆1回目(午後3時半)
―今の気持ちは。
大変残念です。漸悦(ざんき)に堪えない思いです。こ冥福を心からお祈り串し上げたいと思いますし、残された奥様はじめ、ご遺族の皆様にお悔やみを申し上げたいと思います。
―こうした事態になった理由は。
いま、きょうの段階で何とも申し上げようがない。軽々に推測でものを申し上げるべきではないと思っています。
◆2回目(午後6時)
―(自殺が)政権に与える影響は。
有能な農水相でした。それだけに当然、内閣へ、また政権への影響は大きいと思っています。
―松岡氏は「政治とカネ」の問題や緑資源機構との関連性を国会で追及されていた。
ご本人の名誉のために申し上げるが、緑資源機構に関しては捜査当局から松岡大臣の関係者の取り調べを行っていた事実もないし、行う予定もないという発言があったと聞いている。光熱費、事務所費の問題等については松岡さん個人の問題に帰することなく、我々政治家が襟を正していかなければ。ルール作りをしっかりと行うことで責任を果たしていきたい。
―現職閣僚が自殺という手段を選んだことについてどう思うか。
大変残念です。また私は総理として当然賛任をもって任命を致しました。この任命責任者として資任の重さを改めてかみしめています。
―責任を感じているということか。
私は任命権者ですから当然、総理として私の内閣の閣僚のとった行動に責任を感じています。
―その責任はどう果たすのか。
今後、農林水産分野の改革を進め、また食の安全をしっかりと確保することによって果たしていきたい。

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「慚愧(ざんき)に耐えない思いです」
2007年5月28日(月)

松岡農水相が28日、首をつって自殺したことを受け、 安倍首相は28日午後3時半過ぎ、記者会見をした。 安倍首相は「大変残念です。慚愧(ざんき)に耐えない思いです。松岡農水相の ご冥福を心からお祈り申し上げたいと思いますし、残された奥様はじめ、ご遺族の 皆様にお悔やみ申し上げたい。お顔を拝見いたしましたが、大変安らかなお顔でした。 コメの輸出、中国への道を開いてくれましたし、『日本から海外への輸出を1兆円に 伸ばす』と、専門知識を生かして一生懸命やっていただいただけに、私も期待を しておりましたので、大変残念であります」と述べた。

[無慙愧は名づけて人とせず] 親鸞『教 行 信 証』信巻 『真宗聖典』257頁

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[「産む機械」発言]見識を疑うしかない
沖縄タイムス 社説 2007年1月30日

大臣の言葉がこんなに軽いとは思わなかった。こうなると、政治家に求められているはずの見識をも疑わざるを得ない。 柳沢伯夫厚生労働相が島根県松江市での集会で述べた「(女性は)産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」という発言のことだ。 少子化問題を解説する中で出た発言である。が、率先して少子化対策に取り組むべき厚労相が女性を機械に例えたのだから、あきれてしまう。 厚労相は「機械と言って申し訳ない」と話しの途中で謝り、「産む役割の人」と訂正したという。しかし、それで済まされる問題なのかどうか。 二十九日には、安倍晋三首相、塩崎恭久官房長官に「不適切な発言だった」と釈明している。 「産業と経済に例えて説明した方が分かりやすいと思った」とも述べているが、言葉の裏に潜む厚労相の女性観を疑いたくなる内容と言っていい。

政治家にとって言葉は武器であり、要諦だ。それを知らない政治家はいない。 であればなおさらのこと、厚労相の釈明を「はい、そうですか」と聞き流すわけにはいかない。 たとえ自らの言葉を訂正し、陳謝したとしても、もともとの発言が品格に欠け、しかも適切な言い換えでなかったのは誰の目にも明らかだからだ。 自民党県議の集会という気の緩みがあったにせよ、主務大臣の発言としてのレベルの低さはいかんともし難い。 女性蔑視と受け取られるような例え方自体おかしいのであり、これでは女性ばかりかほとんどの出席者が不愉快な思いで聞いたのではないか。 厚労相は、近く設置する「子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議」の主要メンバーでもある。 発言に伴う負の影響を考えれば、果たしてメンバーとしてふさわしいのかどうか疑問と言うしかない。

二十七日の講演には、少子化対策の要になる子どもを生みやすくする社会に向けた具体的施策は盛り込まれていなかった。 肝心要の政策に触れることなく、女性を「産む機械」に例えたのでは、厚労相という前に政治家としての資質が問われても仕方がないはずだ。 安倍首相は静観する構えだが、任命権者としての責任が問われていることを忘れてはなるまい。 政治家の言葉は重い。主務大臣であればなおさらのことだ。場所を問わずその発言が注目を集めていることをいま一度肝に銘じる必要があろう。

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[経済格差悪くない、小泉首相が答弁=「ねたむ風潮慎むべき」−参院予算委]
市場原理至上主義で福祉軽視・弱者切捨ての本性が出た

人の心がわからない言動をする、思いやりが無く、誠意も熱意も無い、人格に問題がある「無」の人

小泉純一郎首相は1日午後の参院予算委員会で、構造改革に伴う経済格差拡大への批判が強まっていることに関し、「わたしは格差が出ることは悪いこととは思っていない」と答弁した。その上で「ようやく今、光が見えてきた」と景気回復の成果を強調する一方、「光が見え出すと影のことを言う(人がいる)。影に対し、どうやって手当てをしていくかが大事だ」と述べ、経済的弱者にも配慮する姿勢を示した。自民党の市川一朗氏が「改革一本やりでいいのか」とただしたのに対し、答えた。

一方、社民党の福島瑞穂氏は「貧困層が増えているという認識はあるか」と、社会構造の現状認識をただしたのに対し、首相は「ますます増えているとの認識はない。どの時代でも成功した人と成功しない人がいる」と述べた。さらに、首相は「貧困層をなくす対策と同時に、成功をねたむ風潮や能力のある人を引っ張る風潮は厳に慎んでいかないと、社会の発展はない」と答えた。  (時事通信) 2006年2月1日21時1分更新

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[私たちこそ理解できぬ] 首相年頭会見
朝日新聞 社説 2006年1月5日

これほど理解力が足りない人が、内閣総理大臣を続けていたのだろうか。そう思いたくもなるような光景だった。年頭の記者会見で、小泉首相は自らの靖国神社参拝に対する内外の批判について、5回も「理解できない」を繰り返した。「一国の首相が、一政治家として一国民として戦没者に感謝と敬意を捧げる。精神の自由、心の問題について、政治が関与することを嫌う言論人、知識人が批判することは理解できない。まして外国政府が介入して、外交問題にしようとする姿勢も理解できない」理解できない言論人、知識人とは、新聞の社説も念頭に置いてのことだろう。全国の新聞のほとんどが参拝をやめるよう求めている。「理解できない」と口をとがらせるよりも、少しは「言論人」らの意見にも耳を傾けてはどうか。

首相は、日本を代表する立場にある。一政治家でも一国民でもない。私的な心情や感懐より公的な配慮が優先することは言うまでもない。私たちは、一般の国民が戦争で亡くなった兵士を弔うために靖国に参る気持ちは理解できると繰り返し指摘してきた。一方で、戦争の指導者であるA級戦犯をまつる靖国神社に首相が参ることに対しては、国民にも違和感を抱く人は少なくない。まして侵略を受けた中国や、植民地だった韓国に快く思わない人が多いのは当然だとも考える。言論人や知識人の多くが首相の参拝に反対するのは、こうした理由からだ。

会見の次のくだりも理解しがたい。「靖国の問題は外交問題にしない方がいい。私は交渉の扉を閉じたことは一度もない。一つの問題があるから中韓が会談の道を閉ざすのはあってはならない」首相は忘れたのだろうか。靖国参拝が「外交問題」になったのは、首相自身が01年の自民党総裁選の公約に「毎年8月15日の参拝」を掲げ、「心の問題」を政治の問題にしたからだ。日本遺族会の支持を得る狙いだったはずだ。中韓の反発などで、結果として終戦記念日の参拝はしていないものの、今度は毎年1回の参拝が信念だと譲らない。自ら火種を持ち込んでおきながら相手を批判し、「外交問題にしない方がいい」と説くのはいかにも身勝手である。

深刻なのは、9月に首相が任期を終えた後も、こうした事態が続く可能性があることだ。たとえば、ポスト小泉と目される一人、安倍音三氏は、官房長官に就く前に月刊誌にたびたび登場し、「だれがリーダーとなったとしても、国のために尊い命を犠牲にした人たちのために手を合わせることは、指導者としての責務だと思う」と首相の参拝を強く支持してきた。次の首相を選ぶ自民党総裁選が控えている。荒れ果ててしまったアジア外交をどう立て直すのか。その具体策こそが問われるべきであるのは、だれにでも理解できることだ。

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[国民本位とは名ばかり、常識・良識からかけ離れた首相の言動]
朝日新聞「天声人語」2001年3月13日

就任してこの方、森喜朗首相は数々の問題発言を重ねてきた。ただし、ご本人はウソを言ったわけではない。信ずるところをそのまま口にしたに過ぎない▼それが常識、良識と大いにかけ離れており、およそ首相としてふさわしくなかっただけの話である。むろん、致命的な欠陥だが。きのうの参院予算委員会でも「私はガード下から拾われてきた赤ん坊じゃない」などと無神経きわまる答弁をして恥じなかった。そうした赤ん坊の立場になってみるという発想が、この首相には欠けている▼首相はまた、「辞意」を繰り返し否定した。世間一般の見方、期待とは、大きな大きなズレがある。が、これにもウソはないのではないか。首相自身は「続投」の意欲満々、なんとしてでも政権の座に居続けたいと心から願っている、とも映る。「辞意」など口にしたくもないに違いない▼きょうの自民党大会は、玉虫色のことばと、あいまいな姿勢で乗り切れる。と、首相はそんなふうに踏んでいるように思える。そして自民党内のドタバタぶりからすれば、願い通りにいくのではあるまいか。一部の若手もテレビ番組で景気のいいことを言う程度で、本番となると、まるで意気地がないのだから▼かくて国民多数の切望をよそに、森内閣は続く。4月までとの予想が一般的だが、5月の連休後という予測もあって、はっきりしない。その日まで、「わが国の財政は破局に近い」と評論家みたいに語る財務相に経済を託し、海外での評価も地に落ちた首相に日米、日ロ首脳会談をまかせるわけだ。首相の料亭通いもなお続く▼このうっとうしさを何としよう。いや、なにも永田町の面々が勝手に書く筋書きに素直に乗ることはない。7月の参院選よりも前に、「解散・総選挙」という手段もある。それがもっと論じられてもいい。

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[森首相の「詭弁」]
朝日新聞「天声人語」2000年11月2日

昔、インドの王に仕えていた哲学者がいた。彼は「すべてのものは幻にすぎない」という説を唱えていた▼あるとき象.が暴れ、怖くなった哲学者はあわてて逃げた。王は「お前は幻の象におびえて逃げたのか」とからかった。哲学者は少しもまいらず「王様は私が逃げたとおっしゃいますが、私の幻が逃げたところをごらんになっただけなのです」=野崎昭弘『詭弁論理学』(中公新書)▼口が減らない人間がいるものだが、森喜朗首相も、きのうの党首討論で口の達者なところをあれこれ披露してくれた。鳩山由紀夫・民主党代表が中川秀直・前官房長官の「電話」問題で「総理自らの手によって調査すべきだ」と迫っ.た。首相は「鳩山さんがどういう調査をしたかお聞きしたい」と切り返した▼むろん、官房長官を任命し更迭した首相に、まず真相を調べる責任がある。なのに、相手にも同じことを求め、帳消しにしようとする。前掲書はこれを、強弁術のうちの「相殺法」に分類する。首相は論点のすり替えも得意だ。「調査しないのか」との質問に、こう答えた▼「首相として警察にこれを調べなさいということはやってはならない。警察法にも書いてある」。これも誰弁術の初歩。鳩山代表は、警察が調査を、などと求めたわけではなかった。共産党の不破哲三委員長のときも、首相は質問に直接答えず、ずらした答えを繰り返した。一事が万事、この調子▼が、攻める方の三人の技術も拙劣だ。土井たか子・社民党党首は、首相の答えを聞き「必ずそれをおっしゃるだろうと思っていました」と受けた。強弁、詭弁に出るのは明々白々なのだから、当然その上を行く作戦を立てるべきなのに▼かくて今回の討論も空回り気味。不誠実な与党と、ふがいない野党が、森政権の低空飛行を支え、有権者はますます無党派へと移っていくだろう。

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[天皇を中心としている神の国という発言]
朝日新聞「天声人語」2000年5月26日

「神の国」発言は、森喜朗首相自身も会員だった「神道政治連盟国会議員懇談会結成三十周年記念祝賀会」のあいさつで出た。テープを起こすと、あいさつ全体は四百字詰め原稿用紙で約十枚。あらためて全文を読んでみた▼冒頭で森首相は述べる。〈会長の綿貫民輔先生、まさにこの綿貫さんは神様の子でありますから、しかも位の極めて高い神官でもあり……〉〈……神様を大事にしようという最も大事なことをどうも世の中忘れているじゃないか、ということから、いわゆる神社本庁のご指導をいただきながら、神道政治連盟、そして国会議員懇談会というものを設立した……〉▼神道政治連盟は、戦前の国家神道解体後、それを受け継ぐ宗教法人・神社本庁がつくった団体。靖国神社公式参拝や皇室尊重を掲げる。議員懇は「連盟と連携して、神道精神を広く国政に反映させる」目的で結成された。綿貫会長(元自民党幹事長)は神主でもある▼〈最近……皆様大変なご努力で、昭和の日ということを制定いたしました。あるいはまた今の天皇のご在位十年のお祝いをさせていただいたり……〉。このあと〈……日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを、国民の皆さんにしっかり承知をしていただく……〉と続く▼「神の国」について、首相は国会での「陳謝」の中で「特定の宗教について述べた趣旨ではない」と言った。しかし、あいさつを読めば、首相の言う「神」とは特定の宗教、神道にかかわるものだとわかる。あいさつした場、「天皇」への言及もふくめ、多くの人が、戦前回帰の空気を感じ取ったのに、不思議はない▼首相の言う「昭和の日」にも、天皇の影がにじむ。しかも成立してもいないのに、あいさつでは「制定」してしまった。首相はきょう、釈明記者会見に臨む。発言に、耳を澄ましたい。

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