えびす組大福帳/過去帳2004年Part1

「えびす組劇場見聞録」の掲示板「えびす組大福帳」の、2004年分書き込みを掲載いたしました。
このページの中では、新しい書き込みから順に並んでいます。
☆過去帳2004年Part1・・・2004年1月12日〜5月30日
過去帳2004年Part2・・・2004年6月2日〜12月31日

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ダム・ウェイター 投稿者:ビアトリス  投稿日: 5月30日(日)00時38分36秒

いずれの優先予約もすべて×。当日券予約の電話もつながらず、ほとんど諦めていたところに友人からBバージョン(浅野&高橋)のチケットが回ってきました。本日3時の回をみたあと、ものは試しとそのあとのAバージョン(堤&村上)の当日券の列に並んで1時間もたった頃、ひとりの女性から「8時半の公演のチケットを買いませんか?」と声をかけられました。これもAバージョン!まるで奇跡のように一日でAB両方を見ることができたのです。今夜のところはそのことに胸がいっぱいなので、お芝居の感想はまた改めて。思い切って並んでよかったです。長い長い三茶の幸福な一日でした。求めよ、さらば与えられん!
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人見劇団四月奮斗公演 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 5月25日(火)23時16分39秒

大衆演劇初体験。(松井誠の一座は見たことがあったが、サンシャイン劇場公演だったので一応除外。)一人で行くのは気が引けたので、母を誘う。浅草木馬館に到着したのは開演20分前、既に小屋の中は満員。お兄さんが円椅子を通路に置いてくれて、とりあえず着席。最終的には、隙間という隙間が椅子で埋まり、まさに「立錐の余地もない」状態。火が出たら諦めろってことね…と覚悟(?)。
お客の平均年齢かなり高し。しかも「おじいちゃん」多し。昼前なのにビール飲んでる人もいるし。この人たちは、若い頃から大衆演劇を見ていたのか、それとも、年を取ったから大衆演劇を見ているのか?キッカケを知りたい気がする。
まずはお芝居。タイトルはうろ覚えだが、確か「ふたつの心」。出し物は毎日変わるので、チラシに記載がないのだ。江戸時代の博徒の人情物。ヤクザから足を洗ってカタギになった弟分を、兄貴分が助けて死んでゆく…みたいな。ありがちな、ベタな話だけど、それがお約束?座長・一見好太郎はこってりな死にっぷり。狭い舞台での立ち回りには、それなりの技術が必要なことを発見。
次は抽選会。観客は入場時に番号札を渡されており、座長の母(芝居には出ていなかった)が舞台上でくじを引いて番号を読み上げる。景品は、スーツやらバッグやらアクセサリーやら。もらっても困るようなものばかり…と思いつつも、ついつい真剣になってしまうのが人間のサガ??最後の方で、母が「パワーリング」とやらをゲット。(やっぱりもらって困ったが、終演後浅草までご飯を食べに出てきた父が欲しいというので、暫くの間父の指におさまった…しかし、今はもうはめていない。)
最後に舞踊ショー。舞台裏でマイクを握る座長の母の曲紹介で、座員がとっかえひっかえ踊る。特に突飛な趣向はなく、それはそれで良いのだが、ひたすら演歌テープの羅列でちょっと飽きる。この一座に歌手はいない様子で生歌もなし。花形・古都乃竜也は見映えが良く、一曲だけだったが女形も仲々似合っていた。座長は立役では結構クサく(悪い意味ではない)踊っていたが、女形は意外とあっさり風味で、個人的には気に入った。(歌舞伎の女形がやり過ぎちゃった時よりもよっぽど上品…と思ったが、曲によって違うのかもしれない。)ショーの初めはバリバリの男で、徐々に化粧を変えていき、最後の二曲で女形になった時は、かなりきっちり女の顔に。せっかくだから、もう少し女形が見たかった。
超満員なので、お客はおひねりをあげに行くだけでも一苦労。お金(むき出しで渡す人は少なく、封筒に入れている。名前を書くためか?)は役者の懐へ直接差し込むのだが、せっかく役者に接近しているのに、皆あまり顔を見ないのは何故?
1500円で3時間半。ハマったら何度も通える金額だ。幸い(?)大衆演劇フリークになりそうもないが、たまにはいいかな、別の劇団も見てみようかな、と思う。今度は私もビール片手に??(4月下旬観劇)
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4月歌舞伎座夜の部 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 5月25日(火)23時10分38秒

2・3・4月と続いた「仁左衛門まつり」(私が勝手に命名)も「白浪五人男」で幕。「浜松屋」と「勢揃い」しか見たことがなかったので、日本駄右衛門は地味だなぁ…と思っていたが、「通し」だと出番も多く、花も実もある「頭領っぷり」を楽しんだ。一番カッコイイのはやっぱり「勢揃い」。人間以外の生物は、雌より雄の方が派手な姿をしていることが多いんだよな…などと考えつつ、着飾った男達に心がトキメク。よりどりみどり、お好きなタイプをどうぞ…ってなもんで、この場面、女性と男性とでは随分見方が違うのではないだろうか。
勘九郎の弁天小僧、必要以上にお客が笑っていたような気がするのだが、勘九郎のせいか、それともお客のせいか??(4月中旬観劇)
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訂正 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 5月24日(月)01時12分30秒

以前、1・2月巡業で段治郎が出演していた演目を「お祭り」と書き込みましたが、「俄獅子」の間違いでした。失礼しました。
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新・三国志V(ネタバレあり) 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 5月24日(月)01時09分7秒

「さもしい浪人、網干左母二郎!」と名乗って現われた長身のいい男。「あれは誰?」と急いで筋書をめくり、「段治郎」という名前を確認してから、どれくらい経つのだろう。今、段治郎は「新・三国志V」で師匠の代役・謳凌を勤めている。親戚でも知合いでもないのだが、「立派になったなぁ」としみじみ思う。「V」の稽古では、猿之助が演出を付ける間の代役をしていたというし、去年何かのテレビ番組でも、謳凌の扮装で立ち回りを披露していたので、全くの「急な代役」ではないのだろう。しかし、段取りを覚えていることと、3ヶ月間の興行で主演を張ることは、大きく意味が違う。後者には「スター性」が必要で、謳凌という役でそれを発揮できると見込まれたからこそ、抜擢されたのだと思う。段治郎は期待に応え、見栄えのする容姿を生かし、若々しく、爽やかに、まっすぐに、演じきった。猿之助には悪いが、段治郎の謳凌の方が、私は好きである。
これまで通り、猿之助の代役=右近というチョイスもあったかもしれない。しかし「V」で右近が演じる姜維は「U」から続く役で、芝居の中のウエイトも重く、猿之助本人の姿が色濃く投影された「U」の諸葛孔明と深い繋がりを持つ。姜維が孔明を慕う姿は右近と猿之助の関係を連想させ、「T」で右近が若き日の孔明を演じたことを考えても、右近が姜維役を続投することに疑問はなかった。右近には、自分のことだけではなく、必要に応じて一座全体を見渡すような立場にたつことも、求められているのだろう。
去年の「V」は一度しか見ていないが、今年の「V」は4月と5月に一度ずつ見た。猿之助の休演に伴って笑三郎の役が一つ増えたので、回数も増やしたのだ。元々の役だった静華に加え、去年は亀治郎が演じ、今年は段治郎が引き継ぐ予定だった馬潤役が回ってきて、男女二役を演じることになったのである。
魏の国の皇太后・静華は、「孤高」という言葉がふさわしく、気高さと強さ、そして孤独が滲む悲劇の女性。家臣の司馬一族に国を奪われて自害する場面は、立ったまま長い髪を口にくわえ、刀で首を切り、腰をひねりながら背をそらして溶暗する。紗幕の奥で表情が見えにくいのが勿体無いが、美しいシルエットだった。
一方の馬潤は、ひねくれてはいるものの、心根は優しい、蜀の国の青年。二幕とエピローグでは静華と馬潤の出番が近いため、口紅のあるなし程度の化粧変えしかできないが、性別の異なる二人の人物をきっちり演じ分けていたと思う。魏軍との戦いで切られ、こときれる場面では、自分の子を身ごもった恋人との別れを情感たっぷりと見せた。馬潤は「代役の代役」のようなものだが、笑三郎を想定して書かれたと言われても、違和感はない。ふと、笑三郎の小金吾もいいかな…などという思いも浮かんだ。今年の「V」は、私にとって美味しい公演となった。
6年にわたった「新・三国志」シリーズもこれでおしまい。パートTを見た時は、やや受け入れがたいものがあったのだが、今となっては名残惜しいような…。これからスーパー歌舞伎はどうなっていくのだろう。猿之助の病状と共に、気になるところではある。(4月中旬・5月中旬観劇)
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新・近松心中物語 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 5月24日(月)01時05分11秒

当日券。2月に同じ日生劇場で「ユーリンタウン」を当日券で見た時、ケチって後悔したんだし、お目当ての田辺誠一がダイビングするんだし…と、奮発して前から5列目を購入。
この作品を見るのは、1981年(忠兵衛・平幹二朗、梅川・太地喜和子)、1996年(坂東八十助・樋口可南子)についで3回目。「新」の配役(阿部寛、寺島しのぶ)を聞いた時は「?」と思った。実際、舞台上の阿部チャンはニョロリと体が長く着物が似合わないし、しのぶチャンには妖艶さも儚さもない。しかし、私にはこの組み合わせは「アリ」だった。
歌舞伎風に言えば「見染めの場」。舞台前方に作られた池の下手と上手に、客席に降りるための道が渡されており、私の席からだと、寺島が正面に、左斜め前に阿部が立っていた。そして、二人が見つめあったまさにその時、阿部の瞳が、キラキラッ!と光ったのである。まるで少女漫画のように。(この人の映画デビューは『はいからさんが通る』の伊集院少尉だった…。)
忠兵衛が梅川のどこにどう惚れたのかは良くわからない。しかし、忠兵衛が梅川に惚れてしまったことだけは、痛いほどはっきりとわかった。一方の梅川は、忠兵衛の眼差しに戸惑うように、自分の姿を恥じ入るように、恋の喜びを全く見せず、店の奥へ消える。そして、忠兵衛が自分を選んでくれたことを知った時、まさに有頂天になって飛び出し、思いを爆発させるのだ。
二人の出会いを納得できるかどうかで、この作品に対する印象は大きく変わる。惚れあった二人には、お互いしか見えない…このことを感じられた私は、芝居に乗れた。(ケチらなくて良かった。)
お目当ての田辺誠一は、「つっころばし」風な役を演じるにはまだまだ年期不足。(私はこの手の役には厳しいのだ。)特に新町の場面では、形も動きも無理に作っているようで、見ていて居心地が悪かった。しかし、次第に「無理している田辺」よりも「情けない与兵衛」の印象が勝ってきて、「しっかりしてやぁ〜」とお亀の気分になってしまった。(結局は甘いのか…。)
役者として、一番できていなかったのは、田辺かもしれない。「グリークス」でもそう感じたが、容姿や雰囲気でカバーしていたと思う。しかし、今回は、できないことを晒した上で、逆手に取ってとまではいかなくとも、小細工せずに、ダメな男の不安定さを生々しく体現していたのではないだろうか。繰り返し水へ飛び込む姿には、「体当たり」という言葉がふさわしく、おかしくも、切なくもあった。
(ビニールが配られる席ではなかったが、足が少し濡れた…所詮はミーハー、チョット嬉しかった。)
新演出に対しては批判もあるようだが、蜷川は、自分の演出が残ることよりも戯曲が残ることを望み、自分以外の誰かに演出してみろ、と煽っているのかな…という気がする。(4月中旬観劇)
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記憶、或いは辺境 投稿者:ビアトリス  投稿日: 5月23日(日)23時57分19秒

風琴工房初体験。樺太にある小さな店「津田理髪店」の終戦間際から8年間の物語です。作品の内容も、この劇団のこともほとんど予備知識なしに行ったのですが、全く違和感なく劇空間に身を浸すことができ、うまく表現できませんが、戯曲がこの世に生まれでるときに劇作家が味わう陣痛のようなものを感じました。終演後、下北沢の夜風がからだに心地よく、静かな気持ちになれました。見てよかった。この不思議な味わいはどこから感じられるのでしょう?次回の公演も是非足を運んでみたいと思います。
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てのひらのこびと 投稿者:ビアトリス  投稿日: 5月23日(日)23時41分38秒

高校生と教師が駆け落ちしてしまうというお話。前半のほとんどが生徒役の茂山逸平と教師役の裕木奈江との二人芝居で、この間ずっと緊張を保つのは正直辛かったです。裕木の元カレ役の檀臣幸が登場して俄然舞台に妙な勢いが。しかしここで元カレを出すより裕木が逸平くんの目を盗んでケータイをかけては駆け落ちの様子を喋っていた「ナカミチ先生」を出したほうが、芝居としておもしろくなったのでは?張り出し舞台だったのでバルコニー席でも割合楽に観劇できましたが、この内容で新国立劇場小劇場の空間を満たすのは少しハードルが高かったように感じました。
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<「マッチ売りの少女」について>へのお返事 投稿者:マーガレット伊万里  投稿日: 5月17日(月)18時15分38秒

Ryu さま
書き込みをありがとうございました。
「マッチ売りの少女」では、<戦争>に気がつかなかった自分にがく然としたと同時に、気がつくまでのスリリングさを味わった作品で、いまだ強い印象が残っています。
貴重なご意見に深く感謝です。これからも、ご意見・ご感想をお待ちしています。
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「マッチ売りの少女」について 投稿者:Ryu  投稿日: 5月13日(木)17時21分29秒

伊万里という人が書いている「マッチ売りの少女」(新国立劇場)の劇評を、今ごろになって発見して読みました。「あのころ」といっているのが戦争を指しているのにしばらくして気づいたが、自分は体験していないから、そのことについてよくは理解できないとありました。この戯曲が書かれた時代(60年代)の思潮がわかっていれば、もっと面白く見られたとは思います。例えばこの芝居には「丸山真男的な意味の日本および日本人論」であるという批評もありました。しかし、40年たって再演するのですから、現在の観客がその背景を知っていると期待するのは無理があります。演出家は60年代の町並みを見せて「あの時代」に踏みとどまろうとするのですが、いかんせん現代の課題はそこにはないのでした。
ですから、古典として抑えるところは当然としても、いま、この芝居を上演することの意味を問い直し、若い観客にもわかるものに仕立てるべきだった、とおもっています。
この劇評を読んで、この思いを強くしました。
http://www3.zero.ad.jp/ryunakamura/
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冬のソナタ 投稿者:ビアトリス  投稿日: 5月 9日(日)23時36分3秒

大ブームの『冬ソナ』、当方一度も見たことがなく、周囲にもはまっている人がいないのでブームの実感がないのですが、先日コンスタンツェとマーガレットからドラマの内容を聞いて、ものは試しと昨晩見てみました。これが噂のヨン様。「笑顔の貴公子」と呼ばれているけど、わたしは笑ってないときの顔の方が好きです。日本語の吹き替えにやや馴染めないのと、いささか少女漫画的展開に戸惑いますが映像はきれいだし、ともかく1時間飽きずに見ることができたというのは、やっぱり何かあるのでしょうか?韓国映画、それもラブストーリーは結構好きで、『イルマーレ』や『春の日は過ぎゆく』など、混じりけのない、きれいな愛の世界は心が洗われるようでした。『冬ソナ』、もう少し見続けてみることにします。はまるかはまらないか、楽しみのような恐いような・・・。ご期待ください!
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16号アップ♪ 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 5月 7日(金)00時43分5秒

「えびす組劇場見聞録」第16号をアップしました。
お時間のある方は是非覗いてみてください。
新聞版も劇場へ発送いたしました。
B4二つ折り、緑色の紙をロピーなどで見かけたら
手に取ってお持ち帰りいただければ嬉しいです♪
http://www.saturn.dti.ne.jp/~ebi-ken/ebisu16.html
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4月歌舞伎座昼の部 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 5月 7日(金)00時42分0秒

「番町皿屋敷」…歌舞伎を見始めた頃のこと、タイトルからして幽霊が出るんだろうと待っていたのに、お菊の死で終わってビックリした…という、懐かしい思い出のある作品。自分の心を疑われたからと言って、好きな女を殺すこともなかろうに、とは思うのだが、播磨が、一枚、二枚…と刀の鍔で皿を割るシーンの緊張感はやはり面白い。福助のお菊は、どこか輪郭がぼやけた印象で、「殺されてもいいから播磨様の気持ちを確かめたい」という切羽詰まった感じも、「播磨様の気持ちがわかったのだから、喜んで死んでゆく」という感じも、もうひとつ伝わってこなかった。
「渡海屋〜大物浦」、仁左衛門の知盛が初役とは少し意外だった。知盛の白い衣装は、立役の衣装の中で一・二を争う位好きなので、それを仁左衛門が着ているだけでも嬉しく、壮絶で美しい血染め姿の立ち回りに興奮し、滅びゆく者へのカタルシスに浸って、満足の極み。私はこういう大掛かりな悲劇が好きなのだ。好きな役者がやるのであれば、尚更のこと。今、この時代に生きていて良かったと思える、幸福なひとときだった。(大袈裟だけど…)
ただ、仁左衛門にしては珍しく、声の通りがやや悪かったのが気になった。6月の松王では元どおりの声を聞かせてほしい。(4月中旬観劇)
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透明人間の蒸気 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 5月 7日(金)00時40分55秒

劇場へ着いて座席表を見た途端、へこんでしまった。下手の一番はじっこ。列は前の方だけど、これじゃぁ、舞台の奥が全く見えないじゃん…。『贋作・桜の…』を見ている分、期待していた効果を楽しめない不満がつのり、ここもZ席にしろよなぁ〜と言いたかった。はじっこは台詞も聞きづらいし…。
舞台の印象は「小品」。この作品が備えていたかもしれない空間のスケールを感じられなかったこと、メッセージを綺麗なラッピング(オブラート?)にくるんだような優しさを感じたこと、という二つの意味で。宮沢りえの儚さに潜む意志の強さと、阿部サダヲの屈折した中に潜む実直さ、ふたりのコンビはミスマッチのような、ベストカップルのような…。
関係ないが、宮沢りえの細さに驚嘆!折れそうな手足…というのはまさにあのこと。
カーテンコールで、野田秀樹と阿部サダヲが並んでダッシュ!する姿を見ながら、この二人、ちょっと似ているかも…と思ったのは、私だけ?(4月中旬観劇)
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センセイの鞄 投稿者:ビアトリス  投稿日: 5月 5日(水)23時01分17秒

川上弘美の小説を久世光彦が演出したドラマ。川上弘美作品は謎めいてとぼけていて、ちょっとエロチックで、とても好きなのですが、このドラマはその雰囲気をとても丁寧に愛情を持って作り上げたことが伝わってきます。独身OLの月子(小泉今日子)と、高校時代の国語のセンセイ(柄本明)との「あわあわと、色濃い」数年間の交わりが淡々と描かれています。小泉今日子の手酌の一人酒やくわえ煙草がさまになっていて、キョンキョンは一皮むけていい女になったなと思いました。録画を消してしまうのがちょっともったいなく、どうしようかとまだ迷っています。
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劇団東京乾電池プロデュース公演 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 5月 2日(日)22時25分9秒

別役戯曲の二本立て。開演前に演出の山登サンが「皆新人ばっかりで…」と言っていたが、特に気になるほどではなかった。
「小さな家と五人の紳士」は、1979年の作品。会話が悪意なくズレていく不気味さの感じは、今の日本に漂う、かすかにゆがんだ感じと通じるものがあるように思えた。演出家イチオシの殺陣は仲々のものでした。(殺陣師は「Kill Bill」に出演し、ユマ・サーマンとルーシー・リューに演出をした人とのこと!)
「眠っちゃいけない子守り歌」は二人芝居。話し相手出張サービスで派遣された女。サービスを依頼した男は引きこもり。どうしても噛み合わない会話を続けなければならない女にはじめは同情していたが、ただの出張サービスではない様子。しかし、オチがわからなかった!不覚!(3月下旬観劇)
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新口村(3月歌舞伎座昼の部・幕見) 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 5月 2日(日)22時22分21秒

意外と混雑していたが、運良く席をゲット。「新口村」は何度見たか…。正直なところ、仁左衛門にはまだまだ老け役はやってほしくないのだが、仁左衛門を継いだ以上は仕方ないのか…。(久々に「封印切」を見せてくれ!)
前半のすらりとした忠兵衛から一転、後半の孫右衛門はとても小さく見える。仁左衛門の「オジイチャン」はどこかカワイラシイ。カワイラシイオジイチャンの滂沱の涙に、胸が詰まる。
梅川の雀右衛門は、幕見席からだと声が少し遠いが、その姿の若いこと、若いこと。「女の一代記」的な舞台で、年を取った俳優がその役の若い頃から演じるのは珍しくないが、歌舞伎は若いまま終わることが多い。年齢詐称60歳もへのカッパ。それを納得させてしまうのが、オソロシイところ。(3月上旬観劇)
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アライブ・フロム・パレスチナ−占領下の物語− 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 4月29日(木)15時27分24秒


見聞録16号のお題に選んだのがこの作品。近々アップしますので、お読みいただければ嬉しいです。
(2月下旬観劇)
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2月歌舞伎座夜の部 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 4月29日(木)15時26分30秒

「三人吉三」の感想は…ファンサイトに書け!と突っ込まれそうだが「仁左衛門のお坊が、かっこいい!」
「お坊としてどうか」より「仁左衛門がどうか」ということの方が重要。私はこの人に対して、冷静に馴れないのだ。(なりたくもないし。)
お嬢は玉三郎、ベストコンビ。見て楽し、聞いて楽しい芝居見物となった。吉祥院での怪しいムード、両花道から出て、柵越しに交わすまなざし、行くの中での立ち回り…終盤は怒涛のように盛り上がった。(しかし、お坊が屋根の上に立つと顔が見えない…3階はつらいよ。)
「お祭り」は三津五郎の一人バージョン。程よく自分に酔い、楽しみながら踊っている雰囲気が、観客の気持ちも楽しくさせる。劇場全体が「いい気分」になって、打ち出し。(2月下旬観劇)

↓の歌舞伎座夜は3月下旬観劇、書込みの順序が逆になっちゃいました。
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3月歌舞伎座夜の部 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 4月27日(火)22時48分1秒

「達陀」は初見。僧達が花道から次々と出てくる幕明きは、照明も美しく、いい感じ。青衣の女人のくだりは少し長いか。クライマックスの群舞は、通常の歌舞伎舞踊とは違う迫力で壮観。僧達は大きく二組に分かれていて、團蔵チームの動きはかなり激しく、力強く足を踏み鳴らすうち誰か倒れるんじゃないかと余計な心配をしてしまった。
「木の実」〜「すし屋」、東京初上演の仁左衛門の権太。上方風…とのことだが、権太自体を何度も見ている訳ではないので、細かい比較はできなかった。仁左衛門の権太は、「木の実」でとろけるような目で子供を見る優しさや、小せんとのやり取りで見せる柔らかさ、母親への甘えん坊ぶりなど、「愛すべき」人物の部分が印象に残る。(もちろん、小金吾を騙すあたりはきっちりと「悪い奴」である。)父親もそれを感じていたのだけれど、愛情表現が下手だったのかもしれない、そして権太も、父親への愛情表現が下手だったのかもしれない。この作品のタイトルロール(?)義経は、家族の縁が薄い人だ。最後に家族が心を通じ合わせることができた権太の方が、まだ幸せだと思うべきだろうか…。
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空想 万年サーカス団 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 4月26日(月)23時20分23秒

生・藤山直美を見たことがなかったので楽しみにしていたのだが、今回は「しゃべらない直美」とのこと。父親に疎まれて井戸の中で育ったため、言葉が不自由、という設定。流暢にしゃべらなくても、それを逆手にとって客席を笑わせ、絶対的な明るさで舞台に君臨する姿は、まさに大劇場の看板女優!という風情だが、個人的にはちょっと欲求不満。「しゃべる直美」は、7月の演舞場公演を待つとするか。
勘九郎・直美・柄本明、お馴染みの3人が、落ちぶれたサーカス団を舞台に繰り広げる人情喜劇・・・と思いきや、全体として「はずまない」。(脚本:阪本順治、演出:串田和美)
主演の勘九郎も少し頭が弱いという設定で、3人の話がかみ合わない面白さや、社会からはじき出された者同士の触れ合いの優しさなどは感じられるのだが、どうもスカッとしない。(それが狙いなのかもしれないが・・・。)演出も、3部になっていきなりタッチが変わり(串田色が強まり)、中途半端な印象。エピソードはまだまだ詰める余裕があるので、1〜2幕の作品にして、もう1本別の芝居が欲しい気分。ただ、この作品に対し、「身障者を馬鹿にしている」という新聞記事があったが、それは絶対にないと思う。
母親に『キダム』のチケットが余っているから見ないか、と誘われたのだが、ちょうどこの作品の観劇日だったため断った。見た後、「同じサーカス系だったらあっちへ行けば良かったかな」と後悔した。しかし、母親は『キダム』は今イチだと言っていた。(2月中旬観劇)
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カメレオンズ・リップ 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 4月25日(日)03時50分28秒

魅力的な配役、作りこんだ装置(美術)、観客をひきつけるボリューム感たっぷりの作品づくりはたいしたものだと思うが、やはり長過ぎるか。退屈したわけではないが、終盤のサスペンスチックな部分がとても面白かったため、そこにたどり着くまでの時間が少し色あせた。
堤真一は、ピュアな雰囲気が母性本能をくすぐる?深津絵里は、見る度にどんどんartificial(人工の、人造の、模造の…etc,)な印象が強まってゆき、好感が持てない。お人形さんぽいとか、感情がこもっていないとか、芝居が嘘っぽいとか、そういうことではないのだが・・・。(2月中旬観劇)
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ユーリンタウン 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 4月25日(日)03時47分5秒

あまりミュージカルは見ないのだが、何となく「鼻」を刺激され、当日券で観劇。自分の「鼻」は信用してみるもので、好きなタイプの、夢と希望に満ち溢れていないミュージカルだった。何せ途中で「ヒーロー」が死んでしまうし、「ヒーロー」の死を乗り越えた「ヒロイン」も不幸になって、他の人も不幸になって、お・し・ま・い。人間ってバカな生き物だよなぁ〜と、どんよりしつつも、それが少し快感(?)。
ウッチャン、キャラは好きだし頑張りも認めるが、この役はキチンと歌える人の方が良かっただろう(たとえ歌が少なくとも)。別所哲也は、ミュージカル俳優がすっかり板につき、安心して聞いていられた。ただ、役柄にしては少し年を取りすぎかも?(山本耕史で見たかったような・・・。)鈴木蘭々は、アメリカの漫画に出てきそうなムードが気に入った。歌も意外と聞かせるが、この作品の音楽はバラエティーに富んでおり、「どの歌も歌える」というレベルではない。今後に期待。マルシアは初めて見たが、芝居も歌も仲々の貫禄で、ちょっと下品なオバサンがぴったり。藤木孝、怪演は印象に残るが、歌詞が聞きづらかった。
オリジナルは見ていないので、演出(宮本亜門)の違いはわからないが、日生劇場は大きすぎるのでは?日比谷という町もちょっと気取っているし、もっとゴチャゴチャした渋谷か新宿の、PARCOかアプルあたりがいいかも。
当日券は1階前方の席も残っていたが、ケチって一番安い席を購入し、結局後悔。役者が客席を歩き回り、2階席は取り残された気分で淋しかった。(2月中旬観劇)
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坂東吉弥さん 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 4月24日(土)00時58分6秒

2月も3月も歌舞伎座に出ていた坂東吉弥さんが23日に亡くなられたとのこと…。大ショックです。4月松竹座を休演されたと聞き心配していましたが、まさか、まさか…まだ66才なのに!(涙)
暖かくて渋い老け役も大好きでしたが、去年の国立劇場「斑雪白骨城」の鎮房は、色気のある素敵なお父さんで、惚れました。もっともっと色々な役を見たかったのに、悔しいです。
心から、ご冥福をお祈り申し上げます。
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二月歌舞伎座昼の部 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 4月24日(土)00時56分51秒

「市原野のだんまり」は余りにも短く地味。朝一番から梅玉と左團次を出すのがもったいない・・・。
「毛谷村」は初見。それなのに、寝てしまった・・・自分が悲しい。
玉三郎の「茨木」、せっかくの美貌が見られず残念だったが、舞台そのものは面白く見た。玉三郎に睨まれると本当に怖い。
「良弁杉」に、赤ん坊が攫われる場面と物狂いの場面が付くのは初めてで、ちょっと目新しかった。「二月堂」でようやく仁左衛門登場。大掛かりなお堂の装置、ずらりと居並ぶ僧侶達、三階席にまで届くお香のかおり、そして、その舞台の真ん中に立つ美しい役者・・・歌舞伎は贅沢だなぁ、と実感する瞬間だ。
この作品を見るたびに、親孝行しなければ・・・と思うのだが・・・。(2月上旬観劇)
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レッツゴー!忍法帖 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 4月23日(金)00時50分47秒

見てから2ヶ月以上たった今、思い出せるのは・・・池田成志がスゴイ格好をしてたな、とか、阿部サダヲが元気だったな、とか、マングースのぬいぐるみがかわいかったな、とか・・・そんなことばかり・・・。全編大爆笑、というより、くっだらねぇけど笑っちゃうよなぁ〜という感じだったが、ノリとパワーに、ご馳走様。(2月上旬観劇)
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市川猿之助歌舞伎公演(巡業:茅ヶ崎) 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 4月23日(金)00時49分30秒

昨年の博多座・顔見世を病気休演した猿之助の、復帰初日の昼の部。何はともあれ、おめでとう・・・とその時は思ったが、巡業終了後、長期休演が決定。今度は完全に治してくださいね。
今回のお目当ては、「一條大蔵卿」で笑三郎が演じる常盤御前(Aプロ)。動きは少ないが、たっぷりとしたムードと、源氏再興の念を深く押し込めた「心の澱み」のようなものを感じさせた。Bプロで演じる鳴瀬は、どんな役だか全く記憶がなかったので、迷わず常盤御前を選んだが、見てみると意外と美味しい。夜のチケットも取れば良かった…と後悔したが時すでに遅し。終演後に予定を入れていたため、後ろ髪を引かれつつ劇場を出た。
「お祭り」は、段治郎・春猿・笑野の3人バージョン。きれいだが、おとなし過ぎ?「自分が一番!」という意気をもっともっと出して良いのでは。
「高杯」は右近・猿弥。右近が出ると、お客さんが湧く。この「愛嬌」は凄い武器だろう。でも、もう少し、痩せた方が・・・。(1月下旬観劇)
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クレオパトラの鼻 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 4月22日(木)00時43分9秒

『桜の森の満開の下』を見て、上杉ファンになった。「遊眠社」はそれ一本だが、シェイクスピア作品や、座長女優の相手役だった大劇場公演も含め、上杉の舞台にはかなり通った。グローブ座カンパニーを出て、あまり姿を見なくなってからも密かに待っていた。しかし、『K2』のパンフに本人が自分の昔の作品を否定するような発言が載っていて、ちょっと悲しかった。『神経衰弱』で、久しぶりに作・演出・出演すると聞き、一方的に捨てられた恋人に会いに行くような気分で出かけた。舞台はそれなりに面白く見たが、何かがこなれていない。どこか曖昧な感触が残ってしまった。おそらく問題は、私の側にも多くある。上杉祥三は、どこへ行こうとしているのか。好き嫌いではなく「エンゲキジン」として上杉祥三を見続けたいか。もっとはっきりしたものを掴むために、次回作へ行こうと思う。
…これは、2002年に、演劇ユニット トレランス 旗揚公演『神経衰弱』を見た後に書いた感想である。この作品は、現代人が抱える精神の傷を、深く探ってゆくような内容で、かつての上杉作品とはテイストが大きく異なっており、戸惑いを覚えた。
そして、2003年にトレランスの第二作『ルネッサンス』を見た。これも、やはり人間の心に焦点を当ててはいたが、イタリアのルネッサンス期を生きた人たちの群像劇的な面が強く出た作品で、次もまた見るかな、という気持ちになさせた。
そして、今年、第三作『クレオパトラの鼻』を見た。霊感の強い現代の女性が、自らのアイデンティティーを求めるように、古代神話の世界へトリップしてゆく。アマテラスオオミカミやスサノオなどが登場し、壮大な世界…ではあるのだが、何をどう描こうとしているのかが、非常にわかりにくい。わかりにくい作品の全てがつまらないとは限らないのだが、この作品には、わからなさを超越する面白さを感じることができなかった。人間の精神について考えようとする時に、連想しやすいのが「宗教」である。宗教そのものは否定しないし、人間の心を支える為の存在意義や、文化・芸術に及ぼしてきた影響の大きさも理解しているつもりである。しかし、実感できない部分があるのも事実で、その「わからなさ」が、この作品の「わからなさ」と混ざり合ってしまった。『クレオパトラの鼻』から感じたのは、あまり気持ちの良くない宗教っぽさだった。
トレランスの第四作を見るかどうか、迷っている。(1月下旬観劇)
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久々の書込み。 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 4月21日(水)00時37分19秒

2004年2月29日で、このHPができてから4年が立ちました。誕生日は4年に一度ですけれど。その日には絶対書き込みせねば!と決めていたのに、無為に日々は過ぎ、季節は春、いや、もう初夏?見聞録16号の原稿の目途もついたので、冬の記憶を掘り起こしながら、またボチボチ書き込みを初めたいと思います。
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冬のバイエル 投稿者:ビアトリス  投稿日: 2月11日(水)23時47分21秒

遅ればせながら初芝居報告です。『冬のバイエル』をみにいく、と言ったらそれは『冬のソナタ』のパロディか?と家族に真顔で聞かれましたが、パロディではありません。斎藤歩の作品を演劇集団円のこれが初演出の内藤裕子が、ベテラン、若手俳優と共に手堅く優しく作り上げたお芝居です。北海道のある町で暮らす三つの家族とピアノにまつわる物語。複数の家族が少しずつつながりながら静かに紡いでいく物語は、ありがちな全員揃った大団円にはならず、曖昧なところを残したまま終わります。もしかしたら娘は上京しないかもしれない、もしかしたらピアノの先生はあの人に惹かれていたのかもしれない・・・。このお芝居にはさまざまな「もしかしたら」と「かもしれない」があり、複雑な余韻を残します。終演後すぐに電車に乗るのが惜しく、浅草寺までぶらぶら歩き。今年の芝居始めは静かに幕を開けました。
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タイタス・アンドロニカス(ネタバレあり) 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 2月 9日(月)00時11分31秒

ジュリー・テイモア監督の映画は見たが(結構楽しかった)、舞台は初めて。
この作品、感情移入しにくいヘンな人物ばっかり。複雑、というより描かれ方の詰めが甘い、という感じ。タイタスは、狂ってんだか正気なんだかよくわからないし、タモーラも、バカ息子共と一緒に変装してタイタスの家へ行っちゃうあたり、何考えているんだか…。エアロンは捕まり方が間抜けだし、ラヴィニアとバシエイナスも実はヤな奴っぽい。(サターナイナスが一番普通の人なのかも??)
戦争における殺人が復讐を生み、さらに新しい復讐を呼ぶ、という流れはあるものの、ひとつひとつのシーンが別々の芝居のような印象すら受ける。特に、タイタス・ラヴィニア・マーカス・少年ルーシアスが食卓につくシーンは、妙に完結度が高い気がする。
こういう場合、役者が役を引っ張る必要がありそうだ。タモーラは、初めに麻実れいありき…というムードがいい方に作用したと思う。(カーテンコールの麻実れいは動く彫像のよう。)吉田鋼太郎のタイタスは、演技が確実で綻びもないのだが、有無を言わさぬオーラがあと少しほしいところ…欲張りすぎか?
映画・舞台共に、この作品で個人的に最も強烈なインパクトだったのは、タモーラの産んだ子供のこと。黒い肌の赤ん坊を見て半狂乱の乳母と、自分の全てを賭けて守ろうとするカイロン。タイタスとこの赤ん坊に接点はなく、タモーラ本人の口からこの子について語られることもない。しかし、その子供は生き残る。シェイクスピアの時代にどんな人種差別があったのかは良く知らないが、カイロンは、何故ムーア人という設定になったのだろう?復讐の連鎖という部分よりも、こちらの方に深く、暗いものを感じずにはいられない。
カイロンを演じた岡本健一(なかなか魅力的)、蜷川の舞台に出るのは「ペール・ギュント」以来13年ぶりだそうだ。その「ペール」と言えば…。休憩時間に、私は青山劇場の階段から落ちた。脛から血がたらたら出たのだが、二部の開幕に遅れるのが嫌で、医務室へは行かず、片手で傷を押さえ、片手でオペラグラスを握って見ていたなぁ…。その傷は、今もうす〜く残っている。
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BENT 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 2月 4日(水)00時30分50秒

篠井英介が出る&去年の大河ドラマで興味を持った遠藤憲一が出るという理由で、チケットを取った。予備知識は、ナチスによって迫害された同性愛者の話…という程度。
非常に興味深く見た。テレビでは苦手だった椎名桔平の印象も良くなったし、ストーリーも胸に響くところがあり、見終わった後、充実感を覚えた。
ところが、先に観劇したビアトリスから「結末が戯曲と違う」という声が。そこで、図書館で戯曲に目を通してみたところ、確かに違う。それも、かなり。
演出家の意図か、作家(存命中)は了承済か…パンフレットには何の記載もない。
私自身は、今回の結末に疑問を持たなかったし、オリジナルの結末を知った後でも、舞台から直接感じたものが変わることもなかった。
ひとつの作品を繰り返し見ることは何度でもできるけれど、ひとつの作品に対してまっさらな状態で向き合うことは一度しかできない。だから、あまり予習はしない。
しかし、たびたび再演され、戯曲の入手が容易な作品について考える場合は、観劇後に戯曲を読むべきなのだろう。自分の感覚を大切にすると共に、作品の本来の姿を知って初めて、スタートラインに立ったと言えるのかもしれない。
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2月になって 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 2月 1日(日)18時48分59秒

引越し後も暫くは、HPの古いURLが生きたままだったのですが、ようやく今のアドレスが表示されるようになり、旧掲示板も消滅しました。これからは、この掲示板が賑やかになるよう、がんばります。ちなみに、1月30日に旧HPのアクセスカウンタを最後に確認した時は「11038」でした。
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初歌舞伎 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 2月 1日(日)18時47分28秒

ちゃかぽこと明るい気分を味わいたくて、歌舞伎座へ出直し。
当日券で3階のてっぺんだったが、行って良かった。
「二人道成寺」は絶品だった。
以前見た孝夫・玉三郎の「男女道成寺」は、二人がとっかえひっかえ出てくるだけで面白味がなく、今回の「二人道成寺」もそんなもんかと思っていたが、全然違った。
玉三郎の美しさは、並んでいる菊之助の若さを考えれば奇跡的とも言え、菊之助の美しさは、並んでいる玉三郎の完璧さを考えれば、奇跡的とも言える。二人の連れ舞は、時に同じ振りで、時に向き合って鏡のように、時に絡み合って艶めかしく、見る者の心と体を捉えて高揚させる。「いいものを見た」というより、「いけないものを見た」という気がしないでもない、眩惑の一幕。
忘れがたい時間になった。
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初芝居 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 2月 1日(日)18時45分8秒

2004年の初芝居は、新橋演舞場「おはつ」。
ちょっと選択をミスった感じ。おとそ気分絶好調の正月三日に見るには、話が暗かった…。よく考えれば、強烈な心中願望を持つ労咳病みの遊女が主役なんだから、明るい筈がないのだ…。
松たか子(おはつ)は、涙をボロボロと流して「入魂の熱演」。姿・形・声・演技、全ての輪郭がくっきりとしている。この人がいる限り、「大劇場の女優芝居」は絶滅しないかもしれない。(本人がやりたいかどうかは、別の話。)でも、一人で大騒ぎして、他人を巻き込んで、悲しませて、それでも許されてしまうオンナに、共感も同情もできない…。そんな私はどうせモテないオンナでござんす。(書きながら虚しくなった…。)
北村有起哉(沖田総司)は、明るさの中に複雑な内面を滲ませて不思議な魅力があった。儲け役だが、悪目立ちせず、それがまた印象を強めた。
大きな組み紐を飾ったような装置(美術:松井るみ)がシンプルで綺麗。今回同様、小劇場系大劇場公演(そんな言葉はないけど)だった「三人吉三東青春」(2003年11月明治座)に比べると、舞台の雰囲気も、使い方もかなり洗練されていた。
芝居のボリュームやリズムを考えると、休憩2回は疑問。食堂と売店の都合もあるのだろうが、観客の(もしかしたら役者も)集中力を削ぐような時間割はやめてほしい。
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アカデミー賞 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 1月30日(金)00時12分53秒

選考過程や裏話はイロイロあって面白いけれど、「良くも悪くも」って感じで、私にとって映画を選ぶ基準にはならないアカデミー賞。しかし!日本人俳優が助演男優賞にノミネート、それが渡辺謙さんとくれば黙ってはいられない!おめでとう!拍手!やっぱり凄いことだ、と素直に思う!
スポーツ紙の一面に踊る「渡辺謙」の文字を見ながら、15年前をデジャヴ…同じテーブルで、同じスポーツ紙の一面を読んでいたなぁ…。あの病気報道は本当に突然で悲しかったけれど、今回は前夜にテレビニュースで聞いた一報を活字で確認して、しみじみと嬉しかった…。
外国語映画賞には「たそがれ清兵衛」がノミネート!こちらもおめでとう!真田さんは海外指向を持っている人だから、今後の仕事にプラスとなりますよう…。
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映画『ヴァイブレータ』 投稿者:ビアトリス  投稿日: 1月18日(日)14時23分8秒

(2004年1月5日の、旧掲示板へのビアトリスの書込みを管理人が転載しました。)  

皆さん、明けましておめでとうございます。今年もどうかよろしく。
次週まで芝居はじめがないビアトリスですが、今日は「映画はじめ」報告です。孤独な女(寺島しのぶ)が深夜のコンビニで出会った男(大森南朋)と衝動的に過ごした数日間が描かれており、何かとお騒がせの寺島嬢の大胆演技が話題を呼んでいる本作ですが、その場面そのものは期待していたほどではなく、でも見に行ってよかったと思いました。男と別れたあと、冒頭のコンビニに戻った女の、まるで生まれたてのような清々しい表情の美しさ。寺島しのぶが以前よりずっと好きになり、見終わった後、自分の歩調がいつもより緩やかになっているのに気づきました。話題の人のキワモノ映画と思われたのは、実はもがきながら必死で生きる人への控えめな応援メッセージを込めた優しい、温かな作品でした。
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仕切り直し! 投稿者:コン(管理人)  投稿日: 1月12日(月)01時48分31秒

HPの引越しに伴い、プロバイダ提供の掲示板を設置いたしましたが、設定が難しく、私の技量ではうまく使えそうになかったので、無料掲示板を使うことにしました。たびたび申し訳ありません。今後はこちらへ書き込みをお願いいたします!


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