原爆・原発とエネルギー政策

福島原発事故
ついにチェルノブイリに並んだ福島原発事故!広がる放射能汚染と広がる住民避難地域
核を持ちたい原発推進派の政治家・中曽根康弘が強引に予算をつけ、原発生みの親の企業家・正力松太郎が強引に導入した日本の原発。
国は原発推進のために創った色々な法律で電力会社を保護し、莫大な補助金で地域住民と地方自治体を原発誘致に引きずり込んだ。
根本的な解決策がない原発の危険性と処理方法がない放射性廃棄物の問題、繰り返し発せられた警告を無視して地震列島にひしめく54基の原発。
ついに起きた隠蔽体質の国と電力会社が金とウソで作った安全神話の崩壊!!今、日本国民は現実を見つめて目を覚ますとき!!
「諸悪の根 源」は経済産業省であり国だ! 政官業(裏に御用学者とアメリカ)で安全性を犠牲にして経済性を追求
[繰り返し発せられた警告] 原発事故→地震の歴史、第三者や市民の意見などは無視された
原子力安全委員会:日本の行政機関のひとつ、内閣府の新議会等のひとつ(高給・無知の集団)
原子力安全・保安院:資源エネルギー庁の特別機関、経済産業省の一機関(建て前だけの役所)
東京電力に任せきりの調査と対策で放射能垂れ流し、社会を混乱させる停電、そして互いに非難合戦(隠ぺい体質の企業)
「ただちに健康に影響するレベルではない」?? 中国新聞 「天風録」2011年4月4日
福島原発事故に関する元福島県知事と原子力専門家のコメント

[<福島原発>「天災ではない」佐藤栄佐久・前知事] 毎日新聞 4月4日(月)12時11分配信
[佐藤栄佐久・前福島県知事が告発 「国民を欺いた国の責任をただせ」] 週刊朝日 3月30日(水)17時56分配信
[福島原発事故に関する小出先生のコメント] 京都大学原子炉実験所助教・小出裕章先生から「STOP!上関原発ML」へのメイル
(済)私たちのつくるべき未来を考える市民公開講演会
京都大学原子炉実験所・助教 小出裕章さんの講演(2009年9月13日)(講演記録DVDあり)
『被爆と原子力 山口県・上関原発・・・あまりに愚かな選択』
主催:広島県保険医協会 会場:ウェルサンピア福山「けやきホール」(福山市緑町)
<抗議声明> [中国電力の上関原発予定地埋立工事強行に抗議する] 広島県保険医協会 理事長 長谷 憲 2011年2月21日
→原子力発電所での事故に関する国際原子力事象評価尺度(INES)

[なぜ電力会社と云う一企業が、大事故が起きた時には賠償できるはずのない原子力発電所を造れるのか]
<2時間でわかる 原発の危険性のおはなし> 小出裕章 講演録「原発計画30km圏内の光市民として」より 2011年3月9日発行
→講演録の購入は「祝島ホームページ通信販売コーナー」から   →原発と保険

→原子力損害の賠償に関する法律(原賠法、原子力損害賠償法) →原子力損害賠償補償契約に関する法律(原子力損害賠償補償契約法)
[福島第一原発事故、スリーマイル超えレベル6相当に] asahi/com 2011年3月25日3時0分
[農産物放射能汚染 内部被曝の防止が重要] 大阪大名誉教授 野村大成 中国新聞 2011年3月22日
[被災者は忍耐だけでなく要求を!] 毎日新聞 余禄 2011年3月21日
[福島第一原発事故は原子力開発の歴史上、最も深刻なレベルにある] 福島原発事故、二大事故との違い 2011年3月18日18時55分

<抗議声明> [中国電力の上関原発予定地埋立工事強行に抗議する] 広島県保険医協会 理事長 長谷 憲 2011年2月21日
[島根原発点検漏れ これでは信頼保てない] 毎日新聞 社説 2010年4月5日
[上関(かみのせき)原発の建設計画に、際立つ中国電力の強引な姿勢] 「通販生活」2010春号
[浜岡原発5号機 放射性物質検出 人体に影響なし](???‥‥‥) 中国新聞 2009年8月21日
[原発はいらない] 広島県保険医新聞「主張」 2009年8月10日号
[体内「死の灰」今も放射線] 長崎大が撮影 内部被曝裏付け 中国新聞 夕刊 2009年8月7日
[内部被曝こそ病気の原因] 内部被曝の危険性を指摘する肥田舜太郎さん 中国新聞 2009年7月26日
[低レベル放射線と内部被曝]  2009年7月6日 →玄のリモ農園ダイアリー
[死の灰の内部被曝【映像】長崎大学/七條和子助教] 2009年6月26日 NHK BSニュース
[原発全廃、ドイツに学ぶべきは] 朝日新聞 社説 2000年6月16日
『日本の原発、どこで間違えたのか』 復刻 "原発への警鐘" 内橋 克人 (2011年4月30日発行 朝日新聞出版)
『原発への警鐘』 内橋 克人 (1986年9月15日発行 講談社文庫)
スリーマイル島、チェルノブイリなどで起きた原発事故は、あらためて原子力エネルギーの怖さを実感させた。
世界各国で安全神話がくずれているのに、なぜか日本だけが"原発過密国"に驀進する。
住民の不安を解消しきれないままに、日本列島"原発基地化"を強行する危険な狙いと全容を、迫真の取材で暴く。
『隠される原子力 核の真実』原子力の専門家が原発に反対するわけ 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章(2010年12月12日発行 創史社)
『動かない、動かせない「もんじゅ」』
高速増殖炉は実用化できない 原子力資料情報室 小林 圭二(2010年12月8日発行 七つ森書館)
『危険でも動かす原発』
ー国策のもとに隠される核兵器開発ープルサ−マルは何のため?東海地震でも大丈夫? 内藤 新吾(2008年7月16日発行)
[原発はいらない] 広島県保険医新聞「主張」 2009年8月10日号

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[なぜ電力会社と云う一企業が、大事故が起きた時には賠償できるはずのない原子力発電所を造れるのか]
<2時間でわかる 原発の危険性のおはなし> 小出裕章 講演録「原発計画30km圏内の光市民として」より 2011年3月9日発行
→講演録の購入は「祝島ホームページ通信販売コーナー」から

◆「原子力損害賠償法」という法律

もちろん日本で原子力発電をすすめる人たち、国にしてもそうですし、電力会社にしてもそうですが、もし事故が起これば、とてつもないことになると、みんな知ってるわけです、初めから。何をやったかというと、一番初めにやったことは、大事故が起きたときに電力会社を免責するということです。この日本という国は、資本主義という制度を採用している国です。金を儲ける自由を認めるという国なんですね。私はその制度がいいかどうかは大変疑問に思っていますけれども、まあとにかく日本は金を儲けてもいいと言っているわけです。企業は企業で金を儲けていいと言っている、ただし、金を儲ける過程で何か悪いことをしたときには、企業の責任で賠償するというのがこの世界の原則なんです。しかし、こと原子力発電所で事故が起きたらば、企業に賠償などできるわけがない・・ソ連という政府がつぶれて購(あがな)いきれないような被害が出てしまうという、そのようなものなわけです。

いったいどうするのかといって、日本では1961年というときに法律をまず作ります。それは、米国をお手本にしたのですが、米国の場合には、『プライスアンダーソン法』という名前の法律です。日本の場合は、『原子力損害賠償法』という法律ですけれども、それになんて書いであるかというと、「どんなに巨大な事故が起きても、電力会社は50億円払えば許してやる」と書いてある・・この法律は時限立法で10年おきくらいに改定されてきています。そしてたぶん今年、どんなに遅くても来年改定されて、1200億円という金額に変わります(2009年改正)。

しかし、1200億円くらいなら電力会社は払えると思います。だからやってる・・という、そういうことになってる、この資本主義という社会の中で、事故が起きても責任をとらなくてもいいという、そんな法外な法律を作らなければ、もともと電力会社自身が原子力など到底できなかったと、ものすごい危ないというものをみんな知っていて、グルになってこの法律を作ったということ。もし、原子力発電所だけは絶対安全で事故を起こさないと国や電力会社が思っているのであれば、この法律いらないんです、もともと。事故が起きたら、電力会社が賠償すればいい・・もともと事故なんて起きないんだから、こんな法律いらないんですけども。ちゃんと、原子力を進めてる人たち自身がこういう法律を作らなければできないということを、一番初めから分かっていたんです。日本で原子力発電所が動いたのは1966年ですけれども、その原子力発電所が一番初めに動く前に、こういう法律を作って電力会社を原子力に引きずり込んだ、そういう歴史できています。

<ドクターちゃびんの解説>
ところが原子力損害賠償法には免責事項があり、東北関東大震災では東京電力は一銭も出さないかも知れません。
→原子力損害の賠償に関する法律(原賠法、原子力損害賠償法)
第2章 原子力損害賠償責任(無過失責任、責任の集中等)
第3条
 原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。

◆都会には建てられない原子力発電所

それでもやはり怖いんですね、彼らは。たとえば、日本は世界一の地震国です。世界中で起きる1割2割が日本で起きるというくらいの地震国です。世界中でたくさんの、今日430基くらいの原子力発電所が動いていますが、100墓が米国にあります。150基がヨーロッパにあります。ただし、そういう原発はすべて地震発生地帯を避けて建てられているんです。ところが日本というのは、地震から免れるようなところはどこにもないのです。

これは、2007年の7月に中越沖地震という地震におそわれた東京電力の、柏崎・刈羽原子力発電所です。思わぬところで火事が起きて、その火事を消すこともできないまま、傍観せざるを得なかったというときの写真です。みんな怖いということは知ってるんです。事故が起きたらどうしようかということも知ってる・・。そしてさっきも聴いていただいたように『原子力損害賠償法』を作ったけれども、それだけでは怖いということで、次にやったことは何かというと、原子力発電所は人口密集地帯から離せ、という指針を作りました。東京にも大阪にも造ってはいけないという、そういう指針を作ったわけです。東京で使う電気を作るための原子力発電所を、柏崎・刈羽という場所に造ったという・・いったいどんなとこかというとこれです。

これは、東京周辺の、関東地方の地図で、この右下のところ、ここが東京電力が電気を供給している範囲です。東京湾にはたくさん火力発電所が並んでいます。東側にも西側にも、とにかく火力発電所をたくさん造って、東京というところに電気を供給しています。

では、今見ていただいた、東京電力の柏崎・刈羽原子力発電所はどこにあるかというと、日本海に面した場所です。東京電力とは何の関係もない、東北電力の給電範囲に柏崎・刈羽原子力発電所を造った。世界最大の原子力発電所です。東京電力は、そのほかに原子力発電所を2か所持っています。福島第1、福島第2という・・でもそれはすべて東北電力の管内に造った。自分の給電範囲にはとうとう造れないで東北電力の給電範囲に造って長〜い送電線を弓1いて東京に電力を送る、というようなことをやったのです。

これは日本列島の地図です。いったい原子力発電所というのは、どこに造ったのだろうと、こういうところです(赤い丸印)。一番初めは、東海1号炉、その後、敦賀、美浜、福島、島根、高浜、浜岡、これは玄海、伊万ですね、大飯。ずっとこうやって造ってきたわけですけれど、関東平野はすべて素通り、大阪湾の周辺も素通り、名古屋の周辺も素通り、瀬戸内海もホントはずっと素通りするはずだったんですけど、まあみなさんのごく近く、伊万というところにすでに3基建っています。でも、都会は少なくても避けようということで今日までずっときたわけです。今日は聴いていただけませんけれども、原子力発電所よりももっと危険な再処理工場というものを今、青森県の六ヶ所村というところに造って稼働させようとしている・・こういうことになっています(青い丸印)。すべて、危険を承知の上で、こういうことをやってきたという証拠です。

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<抗議声明> [中国電力の上関原発予定地埋立工事強行に抗議する]
広島県保険医協会 理事長 長谷 憲 2011年2月21日

中国電力は広島から80kmの山口県上関町に原発建設を計画している。予定地対岸に浮かぶ祝島島民たちの強い抗議で本格的な工事開始は阻止されてきたが、2月21日未明、中国電力は大量の作業員を動員して工事開始を強行した。最も原発の影響を受ける祝島島民の合意を得ないままでの工事強行は、人々を幸せにする使命をもつ公共性の高い企業にあるまじき暴挙という外ない。

原子力発電所は島根原発の点検漏れでも明らかなように、安全性に多くの問題をかかえ、放射性廃棄物の最終処理はいまだ未解決である。新規建設には莫大な費用がかかるため、発電のコストはすでに技術の進歩が著しい太陽光に逆転されている。地球温暖化防止のエ一スであるとのまやかしの宣伝がなされているが、瀬戸内海に多量の温排水が捨てられることにより、海の生態系が破壊される危険性を生物学者たちも指摘している。

上関町議会は過疎地からの脱却をめざして原発建設に同意したが、これまでに原発を受け入れた自治体は原発依存でしか存続できず、ますます活気を失っている現実を直視すべきである。予定地周辺には多くの活断層があるうえ地盤は弱く、背後の山は土石流の発生が危倶される地形であり、原発建設にはもっとも不適な場所であることも明らかになっている。

上関周辺は古来からの豊かな生物多様性が残されており、世界遺産に匹敵する貴重な場所でもある。原発を作って破壊してしまえば取り返しはつかない。私たち平和と非核を願う広島の医師・歯科医師は、中国電力が上関原発建設計画を中止して、自然エネルギーの活用に進路をあらため、瀬戸内海の豊かな自然の保全につとめることを強く求めるものである。

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島根原発点検漏れ これでは信頼保てない
毎日新聞 社説 2010年4月5日

このようにずさんな点検が、どうしてまかり通っていたのか。原発の安全性への信頼を根本から揺るがせる重大な失態だ。中国電力の島根原発1、2号機(松江市)で計123件の点検漏れがあった。同社は定期検査で停止中の2号機に加え、1号機の運転も停止し、点検作業に入った。点検漏れを理由とする原発の停止は前例がない。関係者は「直ちに安全性に影響するものではない」としているが、運転を停止し、徹底した点検を実施するのは当然のことだ。

本来は06年に交換したはずのモーターが、昨年6月の定期検査で交換されていないことが分かった。納入されたモーターのサイズが異なり、交換できず持ち帰ったのに、記録上は交換済みになっていたという。異常時に原子炉内に水を注入する高圧注水系の蒸気弁を作動させるもので、安全上、重要な装置だ。あきれるほどの、ずさんさである。改めて過去の点検計画表と、点検記録を照合した結果、定められた分解点検や消耗品の交換がされていないケースが多数見つかった。記録が不備で、1号機が稼働した74年以来、点検や交換をしたのかどうか分からない部品もあるという。関西電力美浜原発で04年、2次系配管から水蒸気が漏れ、作業員5人が死亡する事故があった。配管の肉厚が薄くなっていたのが原因だ。破損個所は長年点検リストから漏れており、稼働以来28年間も交換されていなかった。適切な点検を怠れば惨事につながるという見本である。

日本原電敦賀原発1号機が今年3月、国内の商業用原子炉として初めて運転40年を迎えた。当初は30〜40年が寿命とされていた原発だが、新規立地や増設が困難な中、想定を超えて長期運転される場合が増えた。電力会社は、安全上重要な機器は定期的に点検し、適切に交換するなどで60年程度の運転は可能としている。だがそれも、検査への信頼が前提であることを忘れてはならない。

日本の原発は地震や検査による運転停止が多く稼働率は60%台と米国や韓国と比べ低い。これを80%台以上に高めたいという願いが電力業界にある。コストや二酸化炭素の削減につながるという理屈だ。こうした声に押され定期検査の間隔を延ばす動きがあるが、今回の事例を見ればすんなり認めるわけにはいかない。国は中国電力に対し、原因解明と再発防止策の提出を求めている。しかし、長年にわたり検査漏れを見過ごした責任は国にもある。今回の教訓を他事業者も共有できる形にし、同様のミスをおかさないよう指導を強化すべきだ。でなければ原発政策への、国民の信頼は得られまい。

島根原発:123カ所点検漏れ 小林圭二・元京都大原子炉実験所講師の話
◇安全運転可能か疑問−−小林圭二・元京都大原子炉実験所講師(原子力工学)の話

なぜこんないいかげんな扱いをしたのか理解に苦しむ。点検されていなかった弁は、事故時に放射能を帯びた蒸気が原子炉格納容器の外に出るのを防ぐためのもので重要性は高い。(中国電力の)体質の問題で、本当に原発を安全に運転できるのか疑問だ。

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[上関(かみのせき)原発の建設計画に、際立つ中国電力の強引な姿勢]
世界の原子力発電はいまどうなっているの?連載第80回2009年8月〜12月
メイドイン・ジャパンの買い物で失業を減らしたい「通販生活」2010春号

中国電力は、山口県南東部の上関町で上関原発の建設を計画。原子炉設置の許可申請もしないまま、用地を造成するための海面埋め立て工事に着手した。

2009年9月10日に予定されていた埋め立て工事着手は、原発計画地の対岸に位置する祝島(いわいしま)の漁民や、海を愛しカヤックを楽しむシーカヤッカー、そして計画地周辺の貴重な生態系を守ろうとする環境保護団体などの働きで中止を余儀なくされた。以後、1ヵ月近いにらみ合い状態がつづいたが、10月7日、反対派が設置させぬよう見張っていたブイ(工事区域を示す浮標)とは別のところからブイを運んできて設置するという「編し討ち」で中国電力は工事着手を宣言した。さらに9日には、漁民らを相手取って工事の妨害禁止の仮処分を山口地裁岩国支部に求めた。

埋め立てられようとしている海域は、漁業補償金の受け取りを拒否している祝島の漁民たちにとって大切な好漁場であり、国の天然記念物であるカンムリウミスズメなど絶滅危倶種や希少種の稀有な生息地である。そこに2機の巨大な原発が建設されようとしているのだ。実は中国電力にとって上関原発は必要なものではない。それどころか、国の電気事業審議会の場で1998年に当時の副社長が訴えたように、「電力の需要が増えない中で巨大な原発を推進していかなければならない」ことに"中央"の大電力はともあれ「地方電力は悩んでいる」のである。にもかかわらず、原発推進を掲げる国に忠誠を誓う一方で責任を国に預けるために、電力会社としては推進姿勢を見せるしかないのだ。海面埋め立てにしても、作業海域を示すべきブイの一部を設置しただけで「工事に着手した」と届けを出せば、後は急がなくてよいというのが本音だろう。

上関原発1、2号機は01年6月に国の電源開発基本計画に組み入れられた。それまでの原発建設では直後に原子炉の設置許可が申請されてきたが、上関の場合は8年経っても申請されていない。先のことは考えずに手続きをひとつだけ進めて推進姿勢を見せる。ブイの一部を設置するだけの工事着手と同じ不合理なやり方だ。許可申請もできない現状で、用地造成の既成事実づくりを進めてしまう不当さは、それだけ計画に無理がある証とも言えよう。

原発をめぐる世界の動き

● 8月11日 駿河湾を震源とする地震で浜岡原発4、5号が自動停止した。1、2号はすでに運転を終了。3号は定期検査のため停止中だった。揺れは5号で突出、設計時の最強地震動(将来起こりうる最強の地震による地震動)の値を上回り、損傷なども集中した。
● 8月31日 六ヶ所再処理工場の竣工予定を10年10月に、1年2ヵ月延期する、と日本源燃が発表した。当初計画からは13年の遅れ。度重なる延期のため焼却設備が動かせず、工場内の各所にドラム缶約8000本分に及ぶ低レベル廃棄物をポリ袋で山積みにしていたことで同日、原子力安全・保安院が改善を指示した。
● 9月27日 ドイツ下院選挙。結果を受けて脱原発の政策を堅持していた連立政権から政策見直しの連立政権に移行するが、原発の新設計画はなし。
●10月15日-18日 プルサーマルが計画されている玄海原発3号で、プルトニウム燃料が原子炉に入れられた。11月5日に原子炉を起動。9日から発電を始めた。
● 11月5日 1970年に営業逆転を開始した美浜原発1号について、40年を超えて継続運転する検討を開始、と関西電力が発表した。
● 11月9日 イギリス政府が新基原発建設の候補地10カ所を盛り込んだ国家政策声明書案を公表。
● 11月12日 正美浜原発1号で試験運転中に出力が急上昇する事故。
● 12月1日 浜岡原発3号で高濃度の放射性廃液53リットルが漏洩。

●文:特定非営利活動法人原子力資料情報室http:〃www.cnic.jp/(TE103-3357-3800)
原発についてもっと詳しく知りたい方は「はんげんぱつ新聞」をお読みください。
月1回発行・年間購読料3000円 郵便振替口座00190-5−12484 加入者名:反原発運動全国連絡会

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[浜岡原発5号機 放射性物質検出 人体に影響なし](???‥‥‥)
中国新聞 2009年8月21日

中部電力は20日、震度6弱の地震で自動停止した浜岡原発5号機(静岡県御前崎市)の排気筒フィルターから、ごく微量な放射性物質ヨウ素131を検出したと発表した。排気中に放射性物質が含まれていたが、法令の基準値以下で人体に影響はないという。中部電によると、週1回行う排気筒フィルターの交換と測定を19日に実施したところ、検出限界の約3倍の放射性ヨウ素131を検出した。

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[原発はいらない]
広島県保険医新聞「主張」 2009年8月10日号

中国電力は、瀬戸内海国立公園に浮かぶ山口県上関町長島の田ノ浦にある美しい入り江の埋め立てを強行しようとしている。また、中国電力の筆頭株主の山口県は、数々の問題を残したまま、原発建設予定地である田ノ浦湾の埋め立てを許可してしまい、政府と中国電力によって原発建設が強行されようとしている。田ノ浦からわずか4キロたらずの海を隔てたところにある祝島は、福山市・鞆の浦と同じように、万葉の時代からの歴史がある海に生きる人たちの島だ。2009年度第12回日本自費出版文化賞の特別賞を受賞した那須圭子さんの写真集「中電さん、さようなら─山口県祝島原発とたたかう島人の記録─」(創史社)に、命と生活を守るため一切妥協することなく原発計画に体を張って反対し続けてきた祝島島民の28年に及ぶ戦いの歴史が刻まれている。

原発建設によって美しい瀬戸内海の自然は破壊され、貴重な生き物の命が奪われ、周辺住民の生活は都会の電力をまかなうために犠牲にされる。原発からは海水より7℃以上高い温度の大量(太田川の流量の2倍以上に匹敵する)の冷却水(海水)を排出し続け、ひとたび事故が起きれば周辺地域はもちろんのこと、最悪の場合にはほぼ日本全土と朝鮮半島から中国大陸まで放射能で汚染される。原子力発電に伴って生じる処理の方法のない放射性廃棄物が大量に蓄積され、それを青森県六ヶ所村の地下に半永久的に埋め込もうとしているが、現在、大変な費用がかかる最終処理の危険な作業段階で行き詰っている。オバマ米政権は、使用済み核燃料再処理施設と再処理で取り出したプルトニウムを燃やす高速炉を米国内に建設しないことを決め、環境にやさしく、新たな雇用を生む太陽光発電などのグリーンエネルギー政策を推進している。

CO2削減のために原子力発電が必要だと宣伝されているが、CO2を出さないのは核分裂反応の段階だけで、原発建設はもちろんのこと、ウラン採掘、燃料製造・運搬、廃棄物の貯蔵と再処理など、あらゆる段階で大量のCO2を排出している。さらにすべての段階で作業に従事する人は外部被曝と内部被曝にさらされ、とくに原発で働く人の被曝による健康被害は世界的に問題となっていて、癌、特に白血病や骨髄の癌、生殖器の癌などが多発している。放射能汚染物質による内部被曝の問題は、原発従業員や周辺住民だけでなく広範囲に及ぶ汚染物質の世界的な拡散によって、発癌の原因となっているとの指摘もある。

チェルノブイリの事故もスリーマイル島の事故も、原因は機械的なトラブルではなく、作業員の操作ミスという人為的なものだった。すなわち、どんな機械でも必ず壊れるし、人は必ず操作を間違えるのだ。また、日本は地震の多発地帯で、現在、全国にある原発所在地や、原発建設予定地周辺にも活断層がある。すでに上関町は安芸灘大地震の発生周期に入っており、また至近距離に米軍岩国基地があって、航空機事故の可能性や航空機などを使ったテロの危険性もあり、ミサイル攻撃の標的にもされる。ひとたび原発で重大事故が発生すれば、もはや人間の力では対処の方法がない。このようにきわめて大きなリスクをカバーする保険は存在しないため、政府は国内の原発事故では電力会社が上限1200億円で免責される原子力損害賠償法というものを作ってまで原子力発電を推進しようとしている。

原発でつくられる電気のコストは、フランスに依頼している使用済み核燃料の再処理や、六ヶ所村に押し付けた高レベル放射性廃棄物の処理などにかかる費用を含めると、風力、火力、水力発電よりもはるかに高価となる。原発建設は、自然を破壊し、命と健康と周辺住民の生活という取り返しのつかない高価な代償を払ってまで強行すべきものではない。

一方、太陽エネルギーは、すべての再生不能エネルギー資源の埋蔵量から計算される総エネルギーの何十倍ものエネルギーを一年間でまかなってくれる。国民がクリーンエネルギーによる電気を選択できない日本では、まず節電が大切で、オール電化住宅などに騙されてはいけない。オール電化住宅は、一旦停電になれば何もできなくなり、電磁波による健康被害の危険もある。原子力の問題は、私たちひとりひとりが毎日の生活の中で考えなければいけないことであり、どんな社会でどんな生き方をするかということだ。社会が持続可能であるために、スウェーデンを中心に活動している世界的な環境団体ナチュラル・ステップは、(1)地下資源を掘り出さない(2)化学物質を環境に増やさない(3)自然を物理的に壊さない(4)人間の基本的ニーズを満たすという4つの条件を提唱し実践している。日本に原発はいらない、造らせてはいけないのだ。

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[体内「死の灰」今も放射線]
長崎大が撮影 内部被曝裏付け
中国新聞 夕刊 2009年8月7日

長崎原爆で死亡した被爆者の体内に取り込まれた放射性降下物が、被爆から60年以上たっても放射線を放出している様子を、長崎大の七条和子助教らの研究グループが初めて撮影した。放射線を体の外側に浴びる外部被曝と別に、粉じんなど「死の灰」による内部被曝を裏付ける"証拠"という。

内部被曝の実態は研究が進んでおらず、七条助教は「病理学の見地から内部被曝の事実を証明することができた。今後、健康への影響を解明するきっかけになるかもしれない」と話している。七条助教らは、爆心地からO.5〜1キロの距離で被爆、急性症状で1945年末までに亡くなった20代〜70代の被爆者7人の解剖標本を約3年間にわたり研究。放射性物質が分解されるときに出るアルファ線が、被爆者の肺や腎臓、骨などの細胞板付近から放出され、黒い線を描いている様子の撮影に成功した。アルファ線の跡の長さなどから、長崎原爆に使われたプルトニウム特有のアルファ線とほぼ確認された。鎌田七男広島大名誉教授(放射線生物学)は「広島、長崎で軽んじられてきた内部被曝の影響を目に見える形でとらえた意味のある研究だ」としている。

○被爆者の腎臓の細胞核付近から、2本の黒い線(中央)を描いて放射線が放出されている様子を撮影した顕微鏡写真(長崎大学提供)

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[内部被曝こそ病気の原因] 内部被曝の危険性を指摘する肥田舜太郎さん
原爆症認定のあり方 科学理由に切り捨てるな
日本被団協中央相談所の前理事長肥田舜太郎さんに聞く
中国新聞 2009年7月26日

肥田舜太郎(ひだ・しゅんたろう)17年、広島市生まれ。軍医として広島第一陸軍病院に配属され、戸板村(現広島市東区)へ往診中に原爆が落ちた。入市して被爆者の救急治療にあたった。戦後は首都圏の病院や診療所で被爆者医療に携わり、今年3月に一線を退くまで約6千人を診察。日本被団協中央相談所理事長を79年から先月まで務めた。集団訴訟で最初に判決が出た大阪地裁で証言し、原告全員勝訴を導いたとされる。

30年務めた日本被団協中央相談所の理事長をこのほど退任した医師肥田舜太郎さん(92)=さいたま市南浦和区=に、臨床医の経験を踏まえた原爆症認定のあり方や集団訴訟解決の視点を聞いた。(岡田浩平)

ー原爆症をどうとらえていますか。

 直接被爆や入市、救護の被爆者に共通しているのは内部被曝しているという点だ。これこそ原爆の本質だ。放射線が体内に入ると何十年と居座り、病気になる準備段階をつくり、その後、いろいろな刺激で病名のつく病気が出てくると理解している。放射線はあらゆる病気の原因になりうる。

ーそう考えるのは多くの被爆者を診たからですね。

 60年以上前に原爆被害を受け、いまだに症状を訴えて苦しみ、亡くなっている。そこに何かあると思わない方がおかしい。少ない量の被曝の危険性を指摘する論文もある。私は低線量、内部被曝の恐ろしさを重大に考える立場だ。

ー厚生労働省は原爆症に科学的な根拠を求めてきましたが。

実験で確かめたわけではないのに科学を理由に切り捨てるのは愚の骨頂だ。がんや白血病ばかりが認定されているが、それ以外にも認定すべき人はたくさんいる。

ー集団訴訟には反対していましたが。

被爆者の基本的な要求は国の戦争責任をはっきりさせることだ。だから、認定制度を部分的に変えさせる裁判には反対した。ただ解決の局面では妥協すべきではない。苦しんでいる被爆者を真正面から見据え、しっかり言い分を聞いてほしいと訴える努力が一番大事だ。

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[低レベル放射線と内部被曝] 2009年7月6日
[死の灰の内部被ばく確認:長崎大学 七條和子助教]

[低レベル放射線の危険性を訴えたスターングラス博士]
原子炉周囲で乳がん多発:『内部の敵』スターングラス博士とジェイ・グールド共著/肥田舜太郎訳
[六ヶ所村再処理工場の現実]

[アメリカの命令で政府による情報操作]

玄のリモ農園ダイアリー:鴨川の山中での生活から日頃感じることを書きます。 * BLOG URL: HTTP://FEEDS.FEEDBURNER.COM/MORITAGEN

まずは6月26日に放送されたこのNHKニュースをごらん下さい。→玄のリモ農園ダイアリー
http://www.youtube.com/watch?v=P6RE7s5LMfg

このニュース映像に出て来る細胞中のプルトニウムは、わずかその1微粒子がミクロンという単位の目に見えない大きさの存在ですが、ほぼ半永久的に(実際にはPu239の半減期は2万4000年)、2mSv(ミリシーベルト)を超える強力な放射線をからだの細胞中で出しつづけるのです。これを体内被曝と言います。NHKニュースは、広島・長崎の被曝者が外部被曝だけでなく、体内被曝に曝されていたこと、そしてそれが今でも細胞中のDNAを損傷することでガン発症の原因になっている事実を初めて明らかにしたことを伝えています。この事実が示す重大な意味をはたしてどのくらいの人々が理解しているでしょうか。

ミリシーベルトとは、からだの受ける放射線の被曝量の単位です。例えば、自然界にも放射能はありますが、私たちは年間で2.4mSvの放射線を常に浴びているのです。それは非常に低い量だから人体には影響がないとされています。でもここで問題になるのは、それが体内被曝だからなのです。たしかに年間2.4mSvの自然放射線は、人体の皮膚を通過できないほど弱いものかもしれません。でも世の中で最も恐ろしい毒性をもつとされるプルトニウムの場合、それが一旦体内に取り込まれ、細胞中に留まると、アルファ線という強力な放射線を放出しつづけるのです。これは一般に低レベル放射線(あるいは低線量放射線)と呼ばれるもので、政府や原子力業界は人体には危険はないとして、原子力施設から環境への放出やそれらから出る核廃棄物の処理をこれまで認めて来ました。早い話が、怖い放射線物質でも薄めてばらまけば大丈夫という考えです。現在、日本にある55基の原子炉、そして論議を呼んでいる六ヶ所村の再処理核施設が大手を振って存在できるのは、この低レベル放射線が人体には安全であるということがその根拠になっているからです。

低レベル放射線の人体への危険性を世界で初めて訴えたアメリカの核科学者がいます。X線被曝とガンとの関連性を示したアーネスト・スターングラス博士です。(ちなみに、博士はX線を1回受けるごとに、ガンになる可能性が倍増することを公表しました)。スターングラス博士をいち早く日本に紹介したのは、自身被曝者である肥田舜太郎医師です。肥田先生も低レベル放射線の危険性にいち早く気づき、現在でも老齢のからだにむち打って講演などでご活躍なさっています。以下は、肥田先生が翻訳したスターングラス博士とジェイ・グールド共著の「内部の敵」訳者あとがきからの引用です。

「『内部の敵』は、核時代の始まり以降、異常に増加したアメリカ女性の乳ガンの発症に明らかな地域差があること、その地域差は、核原子炉施設の50マイル、或は100マイル以内にある郡およびその集団、以遠の郡およびその集団、原子炉の風上の郡およびその集団と風下の郡およびその集団の乳ガン死亡率の差異に一致していることを、疫学的に証明し,問題のあった地域について、政府機関が「異常はなかった」と発表した放射線被害報告から、統計学の高度な知識と優れたコンピュータ技術を駆使して、隠ぺいされた低線量放射線による被害を見事に暴き出した貴重な調査研究です。・・・私は、体内に摂取された放射性物質からの低線量放射線の影響に、執拗に執着してきました。一つは,広島、長崎の入市被曝者の多数が、放射線の影響としか考えようのない複雑な病状に苦しみながら,「原爆放射線とは関係なし」として援護の対象から除外されてきたことへの強い憤りからであり、二つは,アメリカで被曝米兵や核産業の労働者、死の灰降下地域の住民などが、彼らの癌や、診断のつかない疾病が放射線とは関係なしと突き放されることに疑問を持ち、「放射線の衝撃(低線量放射線の人体への影響ー被曝者医療の手引き)」を書いた、故ドンネル・W・ボードマン医師をはじめ,政府、軍、企業の妨害と圧力に屈せず,低線量放射線被害者のために地味な活動を続けているアメリカの少数の学者、研究者たちの献身に触発されたからです」(肥田舜太郎)

しかし、スターングラス博士や肥田医師たちの主張は、原子力発電所の開発を原子力の平和利用という名目で押し進める政府と原子力業界の強力な圧力によって完全に抑えられてしまいました。原子力(核)施設はその構造上、まったく外に放射線を出さない訳にはいきません。前述したように、仕方なく薄めて毎日環境に放出しているのです。もし、スターングラス博士たちの研究結果を認めてしまったら、核施設から環境へなにも排出できなくなってしまい、それはすべての原子力発電所とその他の核施設を止めることを意味するからです。

日本の原子力発電所から排出されるすべての量を超える低レベル放射線を毎日排出している核施設が青森に建設されました。六ヶ所村再処理工場です。先日、南房総の和田町テトラスクロールで「六ヶ所村再処理工場おはなし会」があり、原子力資料情報室の澤井正子さんが原子力産業の問題点と六ヶ所村再処理工場の最新情報について話して下さいました。それによると、六ヶ所村再処理工場というのは、原子力発電所からでた核廃棄物(使用済み燃料)を化学再処理してプルトニウムを取り出すのが目的です。高温の濃硝酸で核廃棄物を融解させてプルトニウムを取り出そうというのです。じつは、この技術はまだ未完成なのです。核保有国が確かにプルトニウムを再処理行程で取り出していますが、工場周辺の汚染がひどく、また処理過程で生成される高濃度核廃棄物の安全な処理法もまだできていないのが実態です。しかもそれらはほとんどが軍事施設なので、汚染の実態は明らかにされていません。

六ヶ所村再処理工場はまだ本格稼働ではなく試験運転中です。実際、なにを試験しているかというと、濃硝酸液による化学反応によって使用済み燃料からプルトニウムとウランを取り出す実験をしているのです。その際、残り滓の硝酸と高濃度の放射能で汚れた廃液ができます。これを廃棄物として運ぶのには、液体のままではあまりにも危険なので、ガラスに閉じ込めて固化しようとしているのです。そして、それをキャニスターに詰めて地中深く埋めてしまえばひとまず安全だというわけです。ところが、この放射能で汚れた廃液のガラス固体化がなかなかうまく行っていません。もう2年間もやっているのですが、失敗続きで、その上最近では反応施設内部で事故まで起こしてしまい放射能汚染がひどく、収拾のめども立っていないのが実状です。本格稼働にはこの廃液が固化されたガラスキャニスターが年間1000本も必要だというのですから、専門家も当分国が本格稼働の認可を与えることはないだろうと予想しています。

問題はこの試験中(アクティブ試験)にもすさまじい量の放射能が大気中と海中に排出されているという事実です。前述したように、政府も原燃も薄めて環境に放出しているから人体には影響がないという態度です。スターングラス博士たちの低レベル放射線の研究と今回のNHKが報道した事実から、ほんの1微粒子のプルトニウムでも人体内部に取り込めば発ガン物質になることが証明されています。

大気中と海水中に放出された放射線は、かならず食べ物や水、空気に含まれて私たちの暮らしの中に戻ってきます。多くの食品には確かに様々な発ガン物質が含まれていますが、それらの発がん性化学物質からのエネルギーは、プルトニウムなどの放射性核物質が発するエネルギーに比べれば問題なく小さなものです。それがたったの1微粒子でも。

このNHKの内部被曝に関するニュースは西日本だけしか放映されなかったそうです。どうしてでしょう?国民全員に知らせるほどのニュース価値がなかったからでしょうか?これもメディアコントロールですね。

スターングラス博士は元々原子力発電用の原子炉の設計にも携わっていた科学者です。アメリカとソ連が核実験を繰り返していた冷戦当時、核実験の死の灰(放射性降下物質)による放射線の影響で世界の子どもたちの白血病やガンが急増している事実を議会で報告し、ケネディ大統領がそれを知って米ソ核実験停止条約に調印するきっかけになりました。スターングラス博士を2006年に私たちが日本に招聘した際、成田からの車の中で開口一番こう言ったことを今でもはっきり覚えています。

「原子力発電所はすぐ閉鎖しなければならない。人間は核物質を扱えるほどの科学技術をまだ持っていないよ」

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アーネスト・スターングラス博士の日本での講演記録はここで見られます。
ハーモニクスギャラリー http://gallery.harmonicslife.net/main.php?g2_itemId=19
「内部の敵」はハーモニクスライフセンターで扱っているので、ご要望の方はご連絡ください。Tel04-7097-1011 1部2000円です。

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死の灰の内部被曝【映像】長崎大学/七條和子助教
2009年6月26日 NHK BSニュース

◆死の灰の“内部被ばく”確認◆

被爆者の体内に取り込まれたいわゆる「死の灰」が細胞の中で放射線を出し続ける様子が、長崎大学の研究グループによって世界で初めて確認され、これまでよくわかっていない死の灰による影響の解明につながる成果として注目されています。
原爆に伴う放射性物質の微粒子、いわゆる「死の灰」は、呼吸などで体内に取り込まれる「内部被ばく」によって健康に影響を及ぼすと考えられていますが、被害の特定は難しく、具体的な影響の大きさは明らかになっていません。長崎大学の七條和子助教らの研究グループは、すでに死亡した7人の被爆者について、大学に保管されていた組織を特殊な方法で撮影しました。その結果、被爆から60年余りが過ぎた現在も、死の灰が骨や腎臓などの細胞の中で放射線を出し続けている様子をとらえることに世界で初めて成功しました。さらに放射線の分析から、この死の灰の成分が原爆の原料のプルトニウムであることも確認されたということです。今回の成果は、死の灰による「内部被ばく」がどのように周囲の組織を傷つけ、健康に影響を及ぼすのかを解明する手がかりになるものと期待されています。七條助教は「従来の被ばくの影響の研究は、外部被ばくが中心であり、研究が進んでいるが、内部被ばくの観点から、あらためて影響を調べる必要がある。内部被ばくは、長い時間をかけて影響を与え続けるおそれがあり、その仕組みを解明する糸口になることを期待している」と話しています。[ 2009年6月26日 NHK]

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[原発全廃、ドイツに学ぶべきは]
朝日新聞 社説 2000年6月16日

ドイツ政府と電力会社が将来、原発を全廃することで合意した。新しい原発を建設せず、いまある原発も平均寿命を32年として、徐々に閉鎖していくという。日本とドイツは、原発や原子力政策について類似点が多かった。発電量の原発依存度はともに三分の一程度である。石油危機以降、原子力開発のピッチを上げ、高速増殖炉でプルトニウムを使う核燃料サイクルの路線をめざした。その姿は「同じ道を同じ熱意で走るパートナー」ともいわれた。

道が分かれたのは1990年代初めだ。ドイツでは、反対運動に押されて、完成したばかりの高速増殖炉を放棄したのをきっかけに、核燃料サイクルからも撤退した。そして今回の全廃合意である。原発増設の旗を降ろさない日本との距離は離れるばかりだ。反対派、賛成派と国内に意見の分裂があること。原発にすぐ取って代わるエネルギー源が見当たらないこと。それらは両国とも似たり寄ったりである。

大きな違いは「政治」の指導力ではないだろうか。98年の総選挙で勝ったものの過半数に達しなかった社会民主党は、緑の党と連立政権をつくった。その際の合意で原発については、緑の党の要求を入れ、「できる限り早く廃止する」とうたった。しかし、連立政権は強引にことを運ぼうとはしながった。政府は電力会社との間に設けたコンセンサス会議の場などを活用して、合意づくりに力を入れた。全廃時期などをめぐって何度も暗礁に乗りあげながら、粘り強く一致点を探った結果である。

ひるがえっで日本を見ると、エネルギー政策は通産省や科学技術庁が取り仕切っている。いま論議しているエネルギー長期計画や原子力利用計画づくりも、従来と同じ官僚主導で進められている。中部電力が計画していた三重県・芦浜原発が地元の反対で白紙撤回となったように、原発を新規に立地、建設することはほぼ不可能になっている。既存の敷地での増設も以前より難しい。そんな実情だというのに、総選挙でも、エネルギー問題をめぐる政党間の議論はいたって希薄だ。

ドイツでも原発全廃への道は、決して平たんではなかろう。いったん2010年に原発を全廃する方針を掲げたスウェーデンは、それまでには無理と目標年次を撤廃した。欧州連合(EU)内での電力の相互供給体制が進み、天然ガスのパイブラインも発達していることなど、ドイツには日本にない利点がある。とはいえ、依存度三割の電力源をゼロにするのは大変な作業だ。

それだからこそ、政治が鮮明な旗を掲げることで、国民や企業に方向を示し、協力を求める意義があると思う。原発を増やせる時代ではなくなった。ドイツでは、先進国が共通して直面するこの現実を政治が受け止め、新しい道を示した。その挑戦は、「資源がなく、原発に頼らざるを得ない」と、同じせりふ、同じ発想を長年にわたって繰り返してきた日本への新鮮なメッセージである。

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