えびす組大福帳/過去帳その2

「えびす組劇場見聞録」HPが引越す前までの掲示板書き込みを掲載いたしました。
このページの中では、新しい書き込みから順に並んでいます。
☆過去帳その1・・・2002年2月7日〜2002年5月21日
☆過去帳その2・・・2002年6月2日〜2002年12月29日
☆過去帳その3・・・
2002年12月29日〜2003年12月31日

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100 佐倉義民伝 ビアトリス 2002/12/29 22:16
数日前の朝日新聞掲載の中村又五郎丈の記事を読んでどうしてもみたくなり、幕見に走りました。印旛沼渡し小屋の場、又五郎演じる渡し守甚兵衛の登場に「又播磨!」の大向こう。宗吾役の勘九郎と心が通い合っているのが伝わってきて、思わず涙なみだ。短い幕でしたが堪能しました。つぎの雪の子別れの場では女房役の福助、子役の頑張りもあってさらに大泣き(えびす組の皆さんはご存じですが、わたしは子どもにヨワイのだ)。ああ、たっぷりの充実感。終演後は「暫」でカレーを急いで食べて教文館へ行き、池波正太郎「又五郎の春秋」を買いました。大好きな又五郎さん、どうかお元気で、来年も舞台に出て下さいますように!

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99 月光のつつしみ ビアトリス 2002/12/29 21:57
いかにもセットという感じの舞台装置に、テレビでよくみる俳優の顔ぶれ。物語の背景もぼんやりしたまま、よくわからない話を続いているのに、気がつくと劇の世界に引きこれているのは、岩松了の戯曲が人間の心の奥底にある無意識の感覚(と、取りあえずの表現です。日頃は自覚していないし、言葉で説明もできないけれど、確かにある「何か」)を目覚めさせるせいでしょうか?「私はウェイトレスです!(中略)人間の基本に返るのよ。悲しくもない、嬉しくもない、ただ「需要」と「供給」の間を往復するだけの存在になるのよ」。この桃井かおりの台詞が耳から離れません。異様なほど静まりかえり、かと思うとどっと沸く客席の呼吸も心地よく、不思議な夜になりました。

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98 日本版『マンマ・ミーア』開幕間近 C・スペンサー 2002/11/24 02:14
11月27日にいよいよ劇団四季が電通四季劇場「海」で『マンマ・ミーア』の幕を開ける。といってもプレビューとして。四季がプレビューを一般観客向けに行うなんて珍しいことだ。
この作品はロンドンで2年ほど前から上演されていたミュージカルだが、全曲ABBAの曲である。四季といえば10代から30代の女性が観客層として多い。するとどの世代までがABBAを知っているのだろう。四季は歌詞を日本語にするという。ロンドンの『マンマ・ミーア』は、中高年の観客が歌詞を口ずさみながら懐かしそうに聴いていた。もしかすると日本ではミュージカル作品として自立するかもしれない。カーテンコールでのスタンディングが見られるかどうか、それはまたご報告しよう。

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97 Re: wowow三谷特集を終えて コン(管理人) 2002/11/09 11:21
coo-heyさま、書き込みありがとうございました。
ご自身のHP、がんばってください。
また「えびす組」へもお越し頂けると嬉しいです。
その際は、是非感想などもお聞かせ下さいませ。

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96 wowow三谷特集を終えて coo-hey 2002/11/05 15:22
感服の一言につきました。圧巻は伊藤四郎とくりいむしちゅうの上田(つっこみ、しゃくれてないほう)かな。伊藤さんは見直したって感じです。やっぱあれだけ出来る人はなかなかいないんだろうなぁって感じ。さすがっす。上田さんは発見って感じです。こんなツッコミが出来るなんて・・・やつは本物です。有田さんさえどうにかなればもう一歩上にのし上がれるとおもいます。期待大!!あっそうそう作っちゃいました。HPを。かなりがんばったわりに内容が追いつかないけど・・・でもかなり一生懸命です。世の中のいろいろを考えていく場に出来たらなぁと思ってます。ひょっとしたら・・の「ひょっ」やうんともすんともの「すん」が気になって夜も寝られないような人は是非来るべき!おねがいします。http://www10.ocn.ne.jp/~coo-hey/

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95 Re: モスクワ・劇場占拠事件 コン(管理人) 2002/10/28 00:13
この事件は、特殊部隊の強行突入によって終わりを告げた。
「解決」というには、余りにも犠牲者が多い。
ご冥福を心からお祈りする。
月並みだが、それ以外に言葉が思い浮かばない。

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94 『木曜組曲』 ビアトリス 2002/10/27 23:35
古びた洋館で謎の薬物死を遂げた大作家(浅丘ルリ子)と彼女をめぐる女たち(鈴木京香、原田美枝子、加藤登紀子、富田靖子、西田尚美)がおおいに食べ、飲み、語ります。お料理がどれもまことにおいしそうで、食器も素敵。女たちがジャンルは違っても皆もの書きであることもおもしろいですね。書くことを生業とする女の性(さが)を感じました。えびす組例会のあとの食事を思い出しました。「このなかの誰がヘンリーを殺したの?」って、おいおい勝手に殺すな。強い女、闘う女、悩んで苦しんで、それでも生きていこうとする女は美しく爽快です。この映画は見終わったあと、背筋が伸びてスカッとした気分になります。仕事や勉強に精出そう、しっかりご飯食べよう!

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93 『ブラインド・タッチ』 ビアトリス 2002/10/27 23:26
今年ぶっ飛ばしている感じの坂手洋二が演劇集団円に書き下ろした新作です。三十年前学生運動のさなかに逮捕された男(塩見三省)と、彼の冤罪を晴らす支援グループの女(岸田今日子)。二人は男が獄中にあるまま結婚し、十数年が過ぎた。晴れて釈放され、初めて一緒に暮らすようになったその日から物語は始まります。闘争や政治や思想や哲学が語られますが、わたしはもう若くない男女が漂い、もがきながらお互いを捉えようとする様相を描いた作品としてみました。二人は静かで孤独で、どうしようもなく哀しいのです。パンフレット(無料)には演出家の弁とかまるで書いてなくて、詩集のようでした。

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92 モスクワ・劇場占拠事件 コン(管理人) 2002/10/25 02:09
芸術活動に携わる多くの人々は、作品を通じて広く世界の人々とコミュニケーションを取ることに心を砕いてきた。事件や事故、災害などが起こるたび、できることはないか、すべきことはないか、常に自問自答してきた筈である。
モスクワの劇場を占拠した武装集団は、そんな人々の思いを踏みにじった。
見知らぬ観客どうしが笑いや感動を共有できる場であり、作る者が自由にメッセージを発信できる場である「劇場」。そこで生まれる作品は、人を動かし、世界を動かし、時代を動かす可能性を秘めている。
しかし、今、閉じ込められた人々は恐怖を味わわされ、暴力に依存する侵入者が劇場を駆け引きの手段とし、歪んだ形で物事を動かそうとしている。
偽物の血を流して、真実を伝えるのが劇場だ。本物の血が流されてはならない。
この事件に近く深く関わっている人々にとって、これから長い間、「劇場」は忌まわしい思い出の場になってしまうのだろう。それが、悲しく、悔しい。
一刻も早く人質が解放されることを祈っている。

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91 HR/観覧&放送(その2) コン(管理人) 2002/10/22 20:56
内容は・・・。まぁまぁ面白いが、全編大爆笑、という感じではなかった。私は人より笑いに対する体温が低いのだ。しかし、慎吾クンに笑ってくれと頼まれたからには・・・と、普通なら声を出すほどではないところでも、頑張って笑い声をあげた。
撮影はノンストップ、20分ちょっとで終了。カーテンが閉まったか、暗転になったかは忘れたが、最後に役者が一列に並んでお客に挨拶した。間近で慎吾クンを見られたのはラッキーだわ♪と、足どり軽く家路についた。
そして2ヶ月後、放送がスタートした。これが意外と面白い。ストーリーを知っていたのに、何箇所かは真剣に笑ってしまった。はっきり言って、収録よりも楽しめた。やはり「HR」はドラマなのだ。計算されたカメラ割があり、役者はスタジオのお客にではなく、カメラレンズの先にいる視聴者に向かって演技をしていたのだ。私は、観覧している間、舞台を見ているような錯覚にとらわれ、もともと違う作りの物に対して、舞台の楽しさを要求してしまっていたのだろう。だから、それ程面白味を感じなかったのだ。
オーバーアクションやドタバタ感に対しての好き嫌いが別れるだろうが、30分なので勢いで見られるし、夜中のいい気分転換になるかも。一話完結だから途中見逃しても大丈夫(コレ、結構重要)。今後は色々なゲストも出るらしく、楽しみ。
今何故「シット・コム」か?の答えは「三谷幸喜がやりたかったから」なのかもしれないが、普通のドラマに飽きている視聴者にとって、悪いタイミングではなさそうだ。

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90 HR/観覧&放送(その1) コン(管理人) 2002/10/22 20:52
「吹き替え」が苦手なので、海外ドラマはあまり見ない。当然、日本へ輸入された「シチュエーションコメディー=シットコム」にも思い入れはない。三谷幸喜作品が大好きという訳でもない。が、「HR」の観覧募集メールが来たとき、すぐに応募した。お目当ては、生・香取慎吾。そんな不純な動機にもかかわらず(イヤ、非常に純粋な動機か・・・。)初回収録分に当選した。香取以外の出演者は事前に知らなかったのだが、当日配られたパンフレットのようなものに今井朋彦の名前を見つけて、ちょっと得をした気分になった。
お客は100人前後と思われるが、殆ど1人参加(今はペアでも応募可能らしい)ので、待合室は非常に静か。これから「コメディ」を見るという雰囲気ではない。案内されたスタジオには「観覧席」ふうの客席が作られ、その前にはカーテンが引いてあり、笑い声を拾うマイクが数箇所、左右にはモニターも置かれている。関係者風の人物が一般客に混じって座る。「笑い屋」だろうか?
席が埋まり、お笑いコンビ(名前は失念)が前説をしても、お客のテンションは冷えたままだったが、カーテンの向こうから三谷が出てくると俄然盛り上がる。そのムードメーカーぶりは才能かも。慎吾クンが登場して更にヒートアップ。「とにかく笑ってください」「僕が出てきたら拍手してください」「人と違うところで笑っても、途中で止めずに最後まで責任持って笑ってください」etc,初収録ということもあってか、お願いモードに入っている。「しっかり笑わねば!」と義務感を植え付けられた。
カーテンが開き、撮影開始。装置は、上手から職員室、廊下、教室、廊下、食堂と並んでいる。主演の香取が場所をあちこち移動してストーリーが進み、その場所によっては、装置の死角になって一部の観客からは見えないこともある。ストーリーの流れから外れている役者(画面には映らない役者)も、お客の視界には入っているので、さりげなく演技を続ける。客席と装置の間に数台のカメラ、他にも数名のカメラマンが役者のアップを追う。演じる側だけでなく、撮る側も一発勝負なので大変だ。

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89 Re: 蜷川幸雄演出『マクベス』 コン(管理人) 2002/10/22 20:50
「退屈」・・・その言葉を見つけて、自分だけじゃなかったのね、と少しホッとしました。途中何度か睡魔の襲撃を受け、蜷川演出の舞台で眠くなるというのも珍しい(『グリークス』はちょっと寝たけど。)から、体調が悪いのかなぁ・・・10,000円も払ったのに・・・と、かなりへこんでいたのです。ただ、私は初演をパスしたので、仕掛けが分かっていた訳ではないのですよ…。なんでかなぁ〜。

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88 蜷川幸雄演出『マクベス』 ビアトリス 2002/10/21 23:51
昨年春の公演が大変おもしろかったので、今回の再演にも足を運んだのですが、仕掛けがわかっていると(ベトナム戦争風の幕開き、鏡を使った演出など)こうも退屈になるのでしょうか。大竹しのぶのマクベス夫人が出ている場面以外は緊張が保てず、時間が長く感じれられました。ようよう自分の気持ちが高まってきたのがマクベスとマクダフの決闘場面なのだから、いったいどうしてこうなるのか不思議。前回も仕掛けの部分だけでなく、この作品の内面の新しい発見があったという確信があったのですが・・・。

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87 Re: ミュージカル『モーツァルト!』 ビアトリス 2002/10/21 23:36
10月19日昼の部を観劇しました。井上芳雄くんの堂々とした主役ぶりにただ惚れ惚れ。デビューの『エリザベート』のとき、何と美しい声だろうと感嘆しましたが、今回は力強さが加わってますます素敵になりましたね。ファルセットがこれほど自然に出せる歌い手はなかなかいないでしょう。お話はサリエリのいない『アマデウス』、モーツァルトの自分さがしですね。日生劇場のB席は思ったより舞台に近く、4000円でもじゅうぶん楽しめます。音楽が複雑でほとんど覚えられないのが残念でしたが、見終わったあとで「あー、楽しかった!」と晴れ晴れした気分になりました。衣裳や脇筋の人物は、もう少し地味でもいいのにな。

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86 やっと見た!歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」前半(その3) コン(管理人) 2002/10/21 00:53
重厚な雰囲気の中にどっぷりつかった後は、明るく♪ちゃかぽこ♪と気分を変えたいところだが、「旅路の花婿」はパスして外へ。疲れた!でも、面白かった。本で読んだこと・話に聞いたことが、全て舞台の上に再現され、それを見ているのが楽しかった。「仮名手本」の前半は、「決まりごと」が特に強く作品に反映されているのかもしれない。もちろん、役者によって異なる「型」・異なる「味」を持っているのだろうが、初めて見る自分に比較はできない。それは今後の楽しみになるのだろう。
しかし。「こういうものだ」というのがある程度わかってしまうと、やはり贔屓の役者が出ないと苦しそうだ。(判官や由良之助に感情移入するには、役者への愛という手助けが必要な気がする・・・。)また「仮名手本」の「決まりごと」や、忠臣蔵そのものについて全く予備知識のない人が見た場合、楽しめるのだろうか、という疑問もある。歌舞伎初心者には「仮名手本」を通しで見るのは向かないかも。
できれば夜の部も見たい。特に吉右衛門・玉三郎の「一力茶屋」は魅力的。立見覚悟で会社帰りに行くか・・・。六段目は苦手な幕だが、上村吉弥のおかや(家橘の代役)が気になる。う〜ん、困った。時間が・・・。
(掲示板にしては長すぎる書き込み、ひらにご容赦。)

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85 やっと見た!歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」前半(その2) コン(管理人) 2002/10/21 00:49
一番楽しみにしていたのは、松の廊下へ場面転換する時、大道具さんが畳の敷物を上手から下手へ投げて広げるところ。お見事!で拍手。裏方さんが舞台上で拍手をもらうケースも珍しい。いつ頃からやり始めたのだろう?
「仮名手本」の場合、判官は松の廊下で初めて師直にイビられる訳で、それでいきなり刃傷に及ぶかなぁ・・・?と思っていたら、斬りつけた途端、大名達がわらわらわらと湧いてきてとぐろのように判官を取り囲み、その統制の良さと、場のイメージが急転直下で変化する様子に感動しているうちに幕が閉じてしまった。
休憩中に「次の幕では客席への出入りができなくなる場面がある」と場内アナウンスがあった。「判官切腹の場は入退場禁止」は文楽だけかと思っていた。確かに四段目は、今まで経験したことがない程、歌舞伎座全体が静まりかえった。観客は、息を詰めて見ているか、熟睡しているか、どちらかだろう。ここまで音楽が少ない場面も珍しい。御簾内の人も手持ち無沙汰??
由良之助が到着して、またわらわらわらと家臣達が湧いてくるが、こちらの統制もなかなか。普段、歌舞伎の「大ぜい」どころに対しては、余り「動きが揃っている」という印象を受けないのだが、松の廊下でも判官切腹でも、きっちりしているように思えた。緊迫感が違うのだろうか。いつ、誰が、どう教えるのかも気になる。
「城明渡し」の門が、どこかで見たことがあるなぁと思っていたら、「夢の仲蔵」だった。由良之助が進むたびこの門を動かして、遠くへ離れたように見せるのだが、まっすぐ奥へ下がるのではなく、上手へ少し斜めに下がってゆくのも初めて知った。「組討」の遠見のように、「大きい門」がやがて「小さい門」になるのかと思っていたが、それは勝手な思い込みだったらしい。由良之助が花道へ引っ込むわずかな時間のためだけに、三味線が舞台上へ出て演奏する。「人」への対価が一番高い昨今、こういうところが歌舞伎は贅沢だ。

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84 やっと見た!「仮名手本忠臣蔵」前半(その1) コン(管理人) 2002/10/21 00:47
歌舞伎見物歴は15年近いのに、「仮名手本忠臣蔵」の大序〜城明渡しを見たことがなかった。前半は通しの時だけ上演されるので回数も少なめだし、贔屓の役者があまり出なかったため縁遠かったのだが、いわゆる「忠臣蔵」の逸話が好きではないのも理由のうちだ。どんな事情にしろ、公の場であんな年寄りに斬りつけるなんて、人の上に立つ男のすることじゃない。ましてや、致命傷を与えられなかったのは士道不覚悟。浪士達も、討ち入りにかこつけて他人に迷惑かけすぎ。
とは言え、忠臣蔵を全部見ずに「歌舞伎好き」は名乗れないような気がして、ちょっと焦っていた。(ちなみに、蜷川版「仮名手本忠臣蔵」は見た。イマイチだったが、滅多に出ない十段目があり、貴重だったかも。)という訳で、10/5(土)に歌舞伎座へ。幕見二幕分2000円也。公演が始まったばかりのためか、楽勝で座れる。
開演15分前、幕の前に「口上人形」が出る。意外と素朴な人形で、口上も軽い調子。役者の名前の後に客席からパラパラ拍手が起きる。(贔屓の多さのバロメーター?)昼夜の出演者全員の紹介が終わるまで本当に15分かかった。そして、ゆっくりと勿体ぶって幕が開く。
「仮名手本忠臣蔵」については、嫌というほど耳学問をしているので、あらゆることに対して「これが○○か!」「本当に○○している!」といちいち確認、いちいち感心してしまった。「とーざい」の声は下手から上手へ移動するし、皆本当に目を閉じている。竹本の太夫まで・・・彼もまた「出演者」なのだ。(三味線の人は見えなかった。)
鶴ヶ岡の社殿は、絵ではなく立体的。遠くに見える幔幕もちゃんと布で、手がこんでいる。直義の還御に随行する大名の衣装の色が全員違う!カラフルななめくじの行進のようだった。(子供じみた感想だ…。)

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83 Re: 『霊験亀山鉾』 コン(管理人) 2002/10/21 00:42
お役にたてて何よりでした。国立劇場は、3階席からでも花道がよく見えるのと、チケットが安いのがいい所ですね。ただ、国立の客席はいつも何となく冷え冷えした感じがするんです。(観客が皇居にお尻を向けて座るので落ち着かないから、という説もある…。)今月はお客の入りも良い様で、温度は高めですけどね。

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82 『霊験亀山鉾』 ビアトリス 2002/10/19 22:45
三宅坂の国立劇場は何となく敷居が高く、銀座の歌舞伎座ほど馴染めない劇場でした。今回4年ぶりに観劇することになり、コンスタンツェ嬢に周辺事情などご指南いただきました。まず劇場周辺が静かであること、出入口が広々として歩きやすいことが新鮮でした。歌舞伎座の華やかさや賑々しさは、うっかりすると騒々しく商業主義的になりますが、ここは落ち着いてじっくり鑑賞することができます。そのぶん歌舞伎の猥雑さ、庶民性は薄くなりますが、何もかも望むのではなく両方のよさを楽しみたいですね。さてお芝居は、仁左衛門の色悪に惚れ惚れ。現実にはこういう男性とは絶対関わりたくありません「悪」は観客側も求めているものなのかもしれません。自分の中にある無意識な悪を刺激されたようで、ぞくぞくしました。観劇後は劇場外の椅子に座ってひと休み。秋の風が心地よく、この劇場にももっと足繁く通いたいと思いました。コンスタンツェさま、ありがとう。(10月5日観劇)

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81 こんにゃく座『十二夜』 ビアトリス 2002/10/06 23:51
9月23日観劇。シェイクスピアの喜劇のなかでは最も好きな作品です。ヴァイオラの鈴木あかねはぴったり。一方執事マルヴォーリオに若手の井村タカオが配役されていたのは意外。これが思い込みの激しい嫌味なインテリ男を熱演。眉根を寄せた極端メイクが、ニセラブレターを読んですっかりその気になり、「微笑むぞー」と決意する豹変ぶり、黄色い靴下(もっと派手でよい)を履いたか細い足が印象的。終幕の人物の動きなど少しもたついた印象はありましたが、ストレートプレイより、俳優の演技が自然で楽しめました。フィナーレで「もしも恋の悩みがやって来そうな気配なら、それは明日にしてもらい、今日一日は楽しくやろう」という歌が繰り返し晴れやかに歌われますが、楽天的、刹那的というより、「明日のことを思い煩うな」という優しい慰めに思えました。晴れやかななかに、少々のもの悲しさを感じさせる舞台です。

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80 ミュージカル『モーツァルト!』 C・スペンサー 2002/10/06 02:21
10月5日、本日初日の『モーツァルト!』である。全体的によくまとまったカンパニーで、とにかく歌唱がよかった。
日本での公演に先駆けて、ウィーン版『MOZART!』のCDを事前に聴いていたのだが、音楽だけでは今ひとつ『エリザベート』で感じたようなドラマチックさを感じ取ることができなかった。しかし、ミュージカル音楽は、舞台を観た人を虜にするようだ。今同じCDを聴いていても、舞台の情景が思い浮かび何とも楽しい。久世星佳の歌った「星から降る金」はオリジナルでもしっとりと曲が耳に心地良く、一幕終わりに成長したモーツァルトが子ども時代に神童ともてはやされた自分から逃れたいと歌う「影を逃れて」は、これはオリジナルよりも目前で苦悩する姿で歌い上げる井上芳雄が素晴らしかった・・・なんて想いに浸っている。
そしてアンサンブルがしっかりしているとプログラムを隅まで読みたくなるもので、今回は藤重政孝に注目。ヴォルフガング(モーツァルト)のアンダースタディでもある。彼のモーツアルトも見てみたいものだ。それから客席で見かけた山口正義。四季での夢の配達人の歌声が忘れられない彼は、このカンパニーの歌唱指導者として参加していた。
最後になるが、ヴォルフガングの井上芳雄。まだ芸大に在学中だが、歌が上手いミュージカル歌手は聴いていて安心する。なによりも昨夏の『エリザベート』から一年でこんなにも演技力を身につけて奔放なモーツァルトを演じていたことに感銘を受けた。ダンスも必見である。世界のミュージカルの舞台での活躍が楽しみになった。本日の拍手を独り占めにしていたといってもいいだろう。もう一度彼の『モーツァルト!』を観たい。

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79 『DRIVE』 ビアトリス 2002/10/04 00:43
整理券なしで入場できるとのことで「もしかして不入り?」と心配しましたが、上演までにはほぼ満席になりました。SABU監督の映画は男くさいですね。男たちが走り叫び汗と地と泥にまみれる。この男くささと妄想的な部分が少々興が載りすぎて食傷気味になる場面もありましたが、今回いいなと思ったのは「恋」の部分。毎日交差点で見かけるだけだった彼女(柴咲コウ)と初デートのDRIVEをする彼(堤真一)。制限速度をきっちり守りながら走る車のなかで、彼女から口にキャンディを入れてもらうところの、はにかんだ嬉しそうな表情をみると、もう全部許してしまおう!という気になります。考えてみると、堤はもう30代も後半なのにはたちそこそこの柴咲コウと並んでもちゃんと恋人同士に見えるのですね。所帯じみたところがなく、初々しくみえるところが彼の魅力のひとつなのでしょうか?ただやはり同年代や年上の女優とも堂々と渡り合える作品もみたいのです。終演後、ロビーは次回の人たちで長蛇の列。『ピンポン』ほどではなくても大入りとみていいでしょう。一安心です。

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78 日比谷シティ「夜能」 C・スペンサー 2002/10/03 01:38
今年も日比谷公園に近い日比谷シティで行われた「夜能」。台風の初日(10/1)は、日比谷公会堂で行われたそうだが、本日は快晴。屋外で上演された。この「夜能」も21回目を迎えた。
さて、構成は舞、狂言、能の三部構成。全くの屋外で行われるものだから、上演中でも日比谷通りを往来する車やバイクの騒音、上空の飛行音、救急車のサイレンの音などが容赦なしに聞こえてくる。舞台上の役者の声は、舞台周辺に取り付けられたマイクが拾っているようだが、風が吹くとはっきりとは聞き取れない。都市空間の舞台に適するようにとの配慮で、舞台上には白洲や老松を描いた鏡板は用いられないが、橋掛かりのついた舞台がきちんと作られている。
日比谷シティ周辺には外資系の企業が多く、外国人も多く勤めている。そんな外国人の観客を配慮してか、プログラム(一部500円)には英語の解説も掲載されている。どうやらこの開放された空間で演ること自体に意味がありそうだ。実は私は毎年通りがかりに広場の階段上から舞台を眺めている。そんな場外の観客に一言も文句を言わない大きな懐が、日本の伝統芸を静かに広めて、今では狂言を好んで観に行く若者を増やしているのかもしれない。
本日は狂言に野村萬斎が出演したので、観客の大半を若い女性が占めていた。昨年も彼は出演していたが、今年はかなりの観客を動員したようである。明らかに狂言は情報とともに若者の間に広がっている。歩きながらでも触れられる日本の伝統芸能。今後も多くの人々の目に触れられて関心を持ってもらえることを願っている。

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77 もう少し大阪のこと。 コン(管理人) 2002/09/28 18:46
新聞に、NPO「人形浄瑠璃文楽座」が発足、という記事が出ていた。文楽は国・大阪府・市、NHKの助成金で運営される(財)文楽協会が技芸員と契約して公演などを行なっているが、それが上手く機能していないというのが発足理由とのこと。大阪府・市も文楽を助成していることを知らなかったので、少し驚いた。更に驚いたのは、「東京公演は盛況だが、本拠地の国立文楽劇場の観客動員が下降線をたどっている。技芸員たちの危機意識も強く…」という文章だった。国立小劇場での文楽のチケットは取りずらい位なので、文楽は安泰…と思っていたのだが、どうやら大間違いらしい。大阪の人は文楽を見ないのだろうか?(税金も使われているのに…。)技芸員が危機を感じるというのだから、余程のことだ。
最近、関西の演劇関係で聞こえてくるニュースに余り良いものがない。OMS・近鉄劇場の閉館、OSKの解散…。観客動員の東高西低は、文楽だけでなく、宝塚も同じだ。(宝塚市は兵庫県)。東京住まいで、大阪で芝居を見るのは歌舞伎程度、という私が関西演劇のことを心配するのもおこがましいが、どうも気になってしょうがない。「ステージガイド」10月号の鈴木裕美VS小堀純の対談も真剣に読んでしまった。
東京〜大阪間、のぞみで2時間半。体感的には、近い。しかし、私が文楽の状況を知らなかったように、情報の伝達という面では、やはり遠い。大阪の演劇関係者がどう動いているのか、もっと知りたいと思う。大阪で起きていることが東京で起きないとは限らないのだから。

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76 大阪のこと…中座と法善寺横丁 コン(管理人) 2002/09/28 18:44
9月9日、道頓堀の「中座」が爆発炎上、法善寺横丁まで延焼…というニュースはかなり衝撃的だった。中座に初めて入ったのは1995年1月、阪神淡路大震災の数日前。大阪出張の翌日、休みをもらって当日券に並び、歌舞伎を見た。歌舞伎座と比べると舞台が近く、『落人』の孝夫・勘平の眩しいばかりの美しさが目に焼き付いている。とても雰囲気のある小屋で、2階正面も桟敷席になっているのが面白かった。1999年に閉館、暫くはそのまま放置(?)され、解体が始まってから今回の事故が起きた。
9月後半、松竹座へ行った折、終演後に道頓堀を東へ歩いた。松竹座のすぐそばにあった「浪花座」も取り壊されていた。こちらは演芸場で、閉館はつい最近だったと記憶している。一度位入っておけば良かったなぁ、と後悔。そして中座。覆いがされているが、少しだけ瓦礫が見え、無残としか言いようがない。心の中で手を合わせた。隣のうどん屋「今井」も休業中。
金龍ラーメンを南へ折れて法善寺横丁を覗くと、警備員が立ち、人の立ち入りを制限している。更に南へ下って「水かけ不動」の方へ折れると、何やら、笛や太鼓の音が。数歩進めば尽きてしまう「水かけ不動」のスペースを舞台に、能楽が催されていた。法善寺横丁復興支援ライブの一環らしい。人垣で、舞の方はかざす扇程度しか見えなかったが、暫く立ち止まって演奏を聞いた。チャリンコに乗ったおじちゃんが通ったり、観光客や酔客がウロウロする、ゴチャゴチャした場所で聞く能楽。不思議な感じがした。
開演前に入ったレストランでちょっとトラブルがあり、お昼代が浮いていたので、その分も合わせて復興の募金をした。少しは役に立てば…と思う。
東京へ戻って来てから、法善寺横丁が以前と近い形で復元されるというニュースを知った。本来なら法律にひっかかるらしいが、今回は特例とのこと。良かった良かった。でも、中座が復興されることはない。わかっちゃいるが、淋しい。

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75 『ピンポン』 ビアトリス 2002/09/23 23:16
先月の公開以来どこの映画館も満員で大ヒットの本作ですが、うーん、どうなんでしょう?たしかに個性的な俳優が多く出演しているし、通常のスポ根ドラマとは違う不思議な感覚の映画です。わたしはたぶん宮藤官九郎の脚本や俳優窪塚洋介のおもしろさがまだ掴めていないのでしょうね。通りがかりのお巡りさん役の松尾スズキは、舞台では見られない一般人的演技がかえって新鮮。ともかくも夏からの宿題をひとまず終えたという感じです。

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74 『黒い十人の女』 ビアトリス 2002/09/23 22:53
市川昆監督が61年に作った映画をご本人の手でテレビドラマにリメークしたもの。岸恵子、山本富士子、岸田今日子などスターを集めたのに「先を行き過ぎた」のか、映画は不発。それが97年、渋谷のシネセゾンでのレイトショーが大当たり(不覚にも知りませんでした)。今回のドラマは設定を現代に置き換えていましたが、微妙にレトロな雰囲気があって、おもしろかったです。本妻役の浅野ゆう子の「ああた」とか「〜ざんしょ」なんて言い方はじめ、出演者全員、妙に芝居がかった演技で笑えます。ラストはもうひとひねりあると期待したのですが。映画版、ビデオ屋さんで探さなくては!

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73 Re: 『さくら』 コン(管理人) 2002/09/22 10:27
あの二人が初めて会ったのは学校以外の場所で、かなりラフな形だったと思います。(お互いに悪印象・・・というありがちなパターンですね。)そんな経緯があることですし、別に当人同士が良ければ、どう呼び合おうといいんじゃない?と言い切れないところが、「国民的ドラマ」の宿命ですかね。でも、朝ドラって、そんなに影響力あるのかなぁ・・・。それよりも私は20日の朝、いつも通り出勤の支度をしながら見ていたら、最後に大滝秀治の声で「しーゆーねきすとうぃっく」と言われたときは「え、今日は土曜日かい?!」と驚いた!まさか放送ミスとは。

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72 『さくら』 ビアトリス 2002/09/18 22:23
終盤を迎えた朝ドラの『さくら』ですが、ヒロインさくらのことを相手役の桂木先生が「お前」と呼ぶことをめぐって、「不愉快だ」「よくぞ言ってくれた」「いやそれもドラマの味では?」と朝日新聞のテレビ番組批評欄や投書欄に賛否両論が交わされています。わたしはというと、桂木先生だけ「お前」呼ばわりすることに若干の違和感はありました。でも演じる小澤征悦の雰囲気はとても自然だし、女性に対して高圧的なところがなく好感すら覚え、「小澤氏って、きれいな手だなぁ」と内容とは無関係なところに気を取られていました。つまりは相手によるのだと思いますが、皆さんはいかがですか?

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71 『七人の侍』 ビアトリス 2002/09/16 00:29
世の中が『北の国から』ファイナルで盛り上がっていた夜(実は苦手なんです、このドラマ)、わたしはBSで黒澤明監督の映画『七人の侍』をみておりました。ちゃんと劇場でみたのは一度だけですが、テレビ放送のたびに釘付けになってしまいます。はじめてみたのは中学生のときで、三船敏郎の菊千代に引きつけられ、わくわくと楽しみました。二十代の頃は背伸びをして「宮口精二の久蔵が渋い」と思っていたけど、いまは志村喬演じる勘兵衛に惚れ惚れ。最後の名台詞「また、負けいくさだったな」いやもうあたくし、あなたさまに一生ついていきます!

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70 9.11 コン(管理人) 2002/09/11 22:42
アメリカ同時多発テロから1年がたつ。当時ちょうど友人がNY旅行中だったので、深夜まで真剣にテレビを見ていたことを思い出す。(友人の無事は翌朝確認。)
「9.11」以降の全ての出来事において、命を失った方々に哀悼の意を表したい。
今年の6月、東京都写真美術館へ「The Day マグナムが撮ったNY9/11」を見に行った。「Once」「The Day」「After」の三つのセクションに分けて、「9.11」前後のNYの写真が展示されていた。必要以上に煽情的な作品はなく、見ながら感じたのは、恐れや悲しみよりも「何故こんなことになったんだろう」という疑問だった。今も答えは出ていない。
日本にも「グラウンド・ゼロ」がある。広島と長崎だ。私達は、その経験や記憶としっかり向き合っているだろうか。万が一「9.11」後の世界で核兵器が使用されたとしたら、「8.6」と「8.9」を世界へ伝えきれなかった日本人も、責めを負わねばなるまい。
ブッシュ政権はイラク攻撃を考えている。核兵器が焦点だ。どうすることがベストなのか、正直なところわからない。ただ、「核」というものに鈍感になることだけは、自分に許したくないと思っている。

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69 祝!真田広之叙勲 コン(管理人) 2002/09/09 23:23
真田広之が「名誉大英勲章第五位」を叙勲したとのこと。おめでとうございます!
「失敗を恐れずリスキーな道に自分を放り込んでいきたい」とコメント。その言葉を信じて、これからの舞台を楽しみにしています!(イギリスで公演されても見られないケド。)

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68 マリオネット劇場見聞録 その2 C・スペンサー 2002/08/25 00:41
 さて、私が観たのはモーツァルトの『魔笛』。この二日前に同作品を生のオペラで観たところなので関心があった。上演前にプログラム(3.5ユーロ)を購入すると、本日の上演作品のあらすじが折込まれており、日本語を含めて五ヶ国語で書かれていた。これさえ事前に読んでおけば、作品を知らなくても十分楽しめるのだろう。
 キャスト表を見ると、登場人物(マリオネット)は16人に対し、それを9人で受け持っている様子。流れる歌声は、往年のオペラのスター歌手ばかり。『魔笛』というと、聞かせどころはなんといっても、二幕の夜の女王のソロでしょう。録音ということもあり、完璧で危なげのない歌声に、マリオネットの仕草そっちのけで聞き惚れていた。マリオネットに関しては、最近のオペラよりもクラッシックな衣装と、オーソドックスな演出である。マリオネット一体につけられている糸の本数が多いので、動作は意外になめらか。それに飛んできた鳥が手に止まるなど、芸も細かい。プログラムにも、「子どもだけの作品だと思ったら、間違いです」などと書かれているし、音楽ファンや小さい子どもにオペラというものを教えたい親には必見の作品だと思う。場面転換が多く、一幕中に何度か暗転があるので、子どももその時は思いっきりしゃべるなど、思ったほど上演中に話し声は気にならなかった。でも生のオペラとほぼ同じくらい時間がかかるので、小さい子どもは途中で眠っていた。
 カーテンコールでは、大人の観客がブラボーを連呼し、舞台上ではマリオネットの挨拶とともに鏡で操作している団員を映し出すなど、最後までなかなか心憎い演出だった。
(8月13日観劇)

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67 マリオネット劇場見聞録 その1 C・スペンサー 2002/08/25 00:38
オーストリアのザルツブルグに、マリオネットの専用劇場があるのはご存知だろうか?映画『サウンド・オブ・ミュージック』で有名なご当地、夏は7月下旬から8月末にかけてザルツブルグ音楽祭が行われるので、世界中からクラッシックファンが集まってくる場所です。
 マリオネット劇場は音楽祭の期間以外にも、年末年始、そして5月から9月中にかけて上演が行われる。出し物はオペラ。流れる歌声は録音だが、その歌声に合わせて身長1メートルほどのマリオネットが、人間顔負けの仕草で舞台上を演じてまわる。
 2002年度の演目は、『セビリアの理髪師』『フィガロの結婚』『ドン・ジョバンニ』『夏の夜の夢』『魔笛』・・・などなど、オペラの有名どころを取り上げている。
 劇場について紹介すると、舞台はちょうど上演スペースだけ壁をくり貫かれたように作られているが、緞帳(どんちょう)もあって、重厚な雰囲気をかもし出している。客席数は約340席ほど。価格帯は18〜35ユーロ(約2,160円〜4,200円)までに4段階あり、子どもは一律14ユーロ(約1,680円)。小さい子ども用にクッションが用意してあるので、演目はオペラといっても観客は子どもが半数。ゆえに上演中の親子の会話には目をつぶるしかありません。マリオネットの大きさからして、やはり前方の席をおすすめします。

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66 火曜時代劇『怪談百物語』四谷怪談 ビアトリス 2002/08/14 00:19
久しぶりの菅野美穂。カンノのお岩は若くて可愛く、恨みを晴らそうと化けて出るというより、伊右衛門(原田龍二)が好きで好きでストーカー行為に走った女の子という印象です。とはいえ毒薬を飲んで悶絶する様子は大竹しのぶも真っ青の大熱演だし、幽霊になって伊右衛門を追いつめるさまは特撮やCGも駆使してほとんどホラー映画状態。怖いとか気持ち悪いとかを通り越して「アンタ、そこまでしなくても」と笑えるくらいでした。お岩の執念の愛にほだされて伊右衛門は自害。愛しい男を自分のものにできた幸せに、カンノお岩は夢見るように微笑むのでした。歌舞伎の『四谷怪談』とはあまりに違いますが、これはこれでよいのではないかと。

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65 文学座ファミリーシアター『アラビアンナイト』 C・スペンサー 2002/08/04 03:42
ファミリーシアターというと、どうも大人には白々しくて楽しめない印象があります。えびす組のメンバーにも声をかけましたが、「今回は遠慮します」と、誰も関心を示しませんでした。
ところが、わずか12人の俳優で、この壮大な物語を見事にやってのけましたね。場所は青山円形劇場。舞台上には、小道具が隠された箱が数個と、時には木々を表すハンガーのような木の棒、そして常に王の寝室であることを忘れさせないベッドがあるだけ。この空間が、様々な物語の想像力をかき立ててくれました。
観客の2割を占める子ども達(主に小学校低・中学年)の様子をうかがうと、皆、舞台を食い入るように見つめていて、休憩をはさんだ2時間半もの間、集中力を欠く子どもはいませんでした。
とにかく、構成が素晴らしい。イギリスの演出家ドミニク・クックが脚色した上演台本を使用しているとのことですが、アリ・ババやシンドバッドなど、有名な人物もしっかり登場しており、更に王を悟らせる物語とつなげ、私達も千もの物語を聞かされているような感動を味合わせてくれました。
劇場へ向かう途中、「お母さん、ぴあで買ったんだよね。面白そうだね。」と言っていた少年の嬉しそうな様子が忘れられません。今回の公演は、明らかに劇団や俳優のファンを超えた新しい観客を取り込んでいます。このファミリーシアターの試みは成功したと言えるでしょう。しかし、今後、これらの小さな観客の期待を裏切らないと言う意味で、責任は重大です。

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64 松任谷由実『SURF&SNOW』 C・スペンサー 2002/07/27 03:44
学生時代から、20年近く通っている松任谷由実のコンサート。
なんだかんだいって毎年一回以上は参加(?)しているから、こちらも居心地良く聴かせてもらっています。
さて、本日は『SURF&SNOW』in 逗子マリーナのゲネプロ。と、いっても、本公演より若干安いながら有料の本番に準じた公演でした。
海のすぐ横のガーデンプールをうまく使った、シンクロあり、ステージ上の水のカーテンありの、豪華だけど上品な演出。
ゲネプロの特典としては、「明日は見ないでやりますから」と言って、始終トークにカンペを用いている愛敬たっぷりの姿を見せてもらったことでしょうか。
DVD用の撮影も考慮に入れてコンサートが行われていました。
最近、舞台でも増えている商法ですね。その分、完璧さを求められるのでしょう。
一見すると観客には有難い現象のようだけど、記録より記憶に残るステージにこだわっていって欲しいですね。
今晩は、偶然にも逗子海岸の花火をステージの背景にしょった、とても心に残るコンサートとなりました。
彼女の年齢とともに、ファンも歳を重ねているという様子で、今では老若男女、家族ぐるみでコンサートを聴きに来ているのも微笑ましい状況です。
往年のファンとしては、ラストに「デスティニー」が聴きたかったな。(7/26金)

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63 昴『ゆうれい貸屋』 ビアトリス 2002/07/14 23:25
翻訳劇を手堅く作るイメージの昴が江戸人情喜劇に挑戦。終演後隣席の男性が「まるで『コメディお江戸でござる』だね」と話していましたがよくも悪くもそのとおり。実にタイミング悪く、わたしはこまつ座の『頭痛肩こり樋口一葉』のテレビ上映をみたばかりで、新橋耐子の花蛍さんに比べると、一柳みるの幽霊芸者は見劣りがするし、幽霊と人間の描き方が表層的で、山本周五郎の原作の味わいに対して、脚色と演出がまだこなれてないと思いました。お客を笑わせるって、むずかしいんだなぁと実感した夏の一日でした。

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62 文学座アトリエ公演『ロベルト・ズッコ』 C・スペンサー 2002/07/08 00:08
『ロベルト・ズッコ』は、「えびす組劇場見聞録 第4号」のお題となったことがあります。つまりメンバーは全員当時の同作品を観劇し、それぞれの評を書き記したので、ご覧いただくことができます。その時のロベルトは堤真一、演出は佐藤信。
さて、今回は文学座のアトリエでの公演だったため、客席と舞台との距離がものすごく近かった。観客はロベルトが次々と犯す殺人を目の当たりにするわけだが、距離が近すぎて種もしかけも見え過ぎてしまい、かえってロベルトに恐怖心が湧かなかったように思う。
以前に堤真一演じるロベルト・ズッコを観た時、私が一番ハラハラさせられたのは、地下鉄の終電後に駅から出そびれた老人とロベルトが二人きりになる場面だった。いつどんなきっかけでロベルトがまた殺人を起こすのか。そんな緊張感が他の場面でも終始感じられた舞台だった。盛りだくさんの内容で、なおかつ場面転換の多いこの作品を間近で見せてもらったが、迫力や緊張感が感じられなかったのはナゼか。登場人物が客席から出入りしていても、舞台が平面的に見えた。ロベルトの超越した思考が、私たちと同じ高さまでしか感じられなかったからなのか・・・。
ロベルトの発する「雪の降る、アフリカへ行きたい」というセリフも、もっと活かして欲しかった。
この作品で演出デビューした文学座の中野志朗氏。今後、目を離しませんよ。

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61 『KT』 ビアトリス 2002/06/30 23:12
金大中氏拉致事件を独自の視点から描いたサスペンス。
『映画は予告篇が面白い』に本作予告篇を制作した過程が書かれていて、興味をそそられました。自衛官役の佐藤浩市はじめ韓国俳優陣もよく、2時間以上の上映中一度も時計をみずにのめり込みました。「映画芸術」増刊号に掲載されたシナリオはじっさいの映画とずいぶん違っていて驚きましたが、脚本家の「あの台詞はカットしてほしくなかった」というインタビューもしっかりでているので楽しめます。内容が内容だけに、パンフレットも読みごたえたっぷり。上映は銀座シネラセットで来月5日まで。11時と3時50分のみ。おすすめです。

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60 Letter - bring to light コン(管理人) 2002/06/24 23:28
脚本・演出:友澤晃一、作詞・作曲:玉麻尚一。出演者2人だけのミュージカルで、今回が再々演とのこと。会場は博品館。(ここもまた、椅子がつらい…。)
声優の女性(坂本真綾)とアニメオタクの青年(渡辺健)が手紙を交わすうちに、小学生の同級生だったことを知り…。心暖まる小品という感じだが、お互いが変わってゆく過程に、もう一盛り上がり欲しいところ。また、私の席がピアノとギターのすぐ側だったせいか、時折伴奏が大きすぎて歌詞が聞きづらくなったのが残念。
坂本は、実際に声優で歌手。クセのない歌声は好感が持てるが、表情に乏しく、動きに隙がある。渡辺も歌手で、兄弟デュオ「K・D earth」の兄。渡辺の舞台を見るのは「GODSPELL」以来2度目だが、「RENT」などにも出演していたそうで、芝居のセンスがある。青年の鬱屈した内面やその変化を、歌だけでなく演技できっちり表現していた。
2人とも「ミュージカル俳優でございます」という雰囲気ではなく、私個人はそれが好きだ。今後も舞台を続けるかどうかは本人次第だろうが、「ミュージカル俳優」という「職業俳優」には、なってほしくないと思う。
ラストの「Dear You」はハーモニーが美しく印象的だったが、デュエットはこの1曲くらいで、勿体無い気がする。せっかく「2人だけのミュージカル」なのだから、2人のデュエットをもっと聞きたかった。

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59 マン・レイ写真展 コン(管理人) 2002/06/23 00:14
Bunkamura Museum で写真展を見るのには覚悟がいる。展示数が多いのだ。今回も「500点以上」と聞いてタメイキが。マン・レイの展覧会は初めてではないので、軽く流して気に入った作品のところへ戻るつもりが、かなりしっかり見てしまった。作品としての写真も、その写真が映し出す「時代」と、両方が魅力的だ。
気になった作品は「バルベット(曲芸師)」(1926年)。上半身裸の男性が、女性のかつらをかぶり、化粧をしてカメラを睨んでいる。きれいというより、少し異様。ドレス姿の写真もあり「女装の歌手」という風情だが、タイトルでは「曲芸師」になっている。当時の(おそらくパリの)「曲芸」って、どんなのだろう??興味が湧いてきた。
ビデオモニターも3台あって違った作品を流しているが、ちょっと見ただけでギブアップ。ご縁があれば、またいつか…。ああ疲れた。

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58 『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』 C・スペンサー 2002/06/22 20:19
もう、9年も前になるのか。阿部寛主演の同作品を観たのは。
テレビから見る当時の彼の印象は、モデルから役者へ転向。
私たちの世代は、ノンノボーイフレンドの誌上オーディションからずっと彼を見続けてきた。現在の彼の役者としての活躍ぶりは、きっと彼自身も20年後にこんな人生が待っていたとは思いもよらなかったことだと思う。
それはさておき、初演での阿部寛は、まず「女装」で今までの彼のイメージを打ち破り、熱演と呼ぶにふさわしい体当たりの演技を見せてくれた。
そしてこの2002年、この同じ木村伝兵衛を、役者阿部寛は自分の武器を熟知した上で、同作品を余裕を持って演じていたように見えた。
この余裕というのが、実は裏を返せば作品との微妙なズレを感じさせるものなのだが。もしかするとこれが本作品にスターを据えた魅力になっているのかもしれない。春田純一と小川岳男は、良くも悪くもスッポリ作品にはまっていた。
それにしても、コンスタンツェも言っていたように、この紀伊国屋ホールの椅子は、なんとも耐え難い。『月夜の道化師』同様に、本作品の上演時間は休憩なしの2時間5分。これは限界の数字だ。

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57 ハッシュ! コン(管理人) 2002/06/16 15:53
面白かった。見終わった後、ちょっと元気になれて、ちょっと人恋しくなる映画。お目当ての田辺誠一も良かったし、高橋和也もハマリ役。片岡礼子は初めて見たが、いい女優さんだ。病気から復活して何より。今後に期待。

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56 Re: シアター・コクーン『オイディプス王』 コン(管理人) 2002/06/16 15:51
「役者はとにかく芝居をする!観客はとにかく芝居を見る!それで文句あっか?」と言われている感じ。文句はない。かなり満足。野村萬斎は独特の存在感で異彩を放つ。(手の動きが印象的…舞踊をする人は指先が綺麗だ。)麻実れいの美しさも堪能。私が見た日は、WOWOWの収録が入っていた。

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55 ピッチフォーク・ディズニー(少々ネタバレあり) コン(管理人) 2002/06/13 01:11
これまたしんどい芝居だった。シアタートラムの舞台を更に小さく使って作られた部屋のセットは、初めはこぎれいに見えたが、だんだん胃袋のように思えてくる。チョコレート、嘔吐物、ゴキブリの体液、薬を塗ったおしゃぶり・・・全てねっとりとしたイメージだ。その中からたちあがってくるフィリップ・リドリーの複雑な世界を受け止めるには、私は少し単純すぎるのかもしれない。興味はある。しかし、正直疲れた。
萩原聖人も山本耕史も、役の雰囲気が十分備わり、ピンと張り詰めた緊張感を維持して好演。二人のやり取りは見ごたえがあった。
もう一度見たいような、もう二度と見たくないような、芝居。

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54 ストーンズ・イン・ヒズ・ポケッツ コン(管理人) 2002/06/13 01:09
二人の役者が大勢の人物を演じ分けるのを見るだけで、瞬く間に時が過ぎる・・・のかと思っていたら、そうでもなかった。確かに二人は上手い。市村正親は「これぐらいできて当然」(ちょっと損?)、勝村政信は予想以上。チケット代の元は取ったと思う。しかし、作品そのものに入り込むことができず、しんどかった。「アイルランド」を肌で感じることが出来る人は、違う印象を持つのだろうか?「コメディ」は曲者だ。

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53 シアター・コクーン『オイディプス王』 C・スペンサー 2002/06/09 02:48
5月30日までシアター・コクーンで『欲望という名の電車』が上演され、大阪での千秋楽を翌日に控えた6月8日、演出家の蜷川幸雄をこのシアター・コクーンで見かけました。今回は『オイディプス王』の演出家として。上演二日目です。
先日NHKで、米国で医療機関から精子の提供を受けた母親から産まれた子供が、自分がどこから来たのかを知るために、遺伝子上の父親を必死になって探すドキュメンタリーを見ました。オイディプスも、どんな血筋であったとしても、とにかく自分の素性を知るために本当の親のことを知りたいという一心で、ついには突き止めてしまいます。野村萬斎は、純粋で、身勝手で、苦悩に満ちたオイディプス王を演じていました。彼が執着する「自分の出生を知ること」は、人間の権利なのだと痛感しました。
それにしても、本当に翻訳劇に対する蜷川演出は、意外なことに登場人物に感情移入してしまうほど、理解しやすいストーリーの運びとなっていますね。
チケットは完売でも、『欲望という名の電車』ほど、まだ立ち見は出ていません。ご覧になりたい方は、どうぞお早めに。「蜷川作品の赤」の使い方も見ものですよ。

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52 『映画は予告篇がおもしろい』 ビアトリス 2002/06/03 22:17
映画をみる楽しみのひとつに本編上演前の予告篇があります。これはその予告篇を専門に制作している池ノ辺直子さんという方が書かれた本です(光文社新書)。「好きなことを仕事にしないほうがいい」ってよく言われるけれど、この本を読むと「好きなことだからこそ、仕事にしなくっちゃ」という気分になります。予告篇ができる過程がわかりやすい筆致で書かれているのでとてもおもしろいし、苦労だけでなく喜びや楽しさも伝わってきます。池ノ辺さんだけでなく、業界のさまざまな人の話もあって、ひとくちに映画産業といってもほんとうにいろいろな仕事があるのですね。土曜日のBSの「シネマパラダイス」に「にっぽん活動屋列伝」というコーナーがあって、映画を支える裏方さんが紹介されています。ほんとうに地味な仕事が多いことに驚きますが、不思議なことに貧乏くさくないんですね。これが演劇だと「おお下積み」って感じになるのはなぜなんだろう?

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51 『月夜の道化師』(少々ネタバレあり。上演は6月2日まで) C・スペンサー 2002/06/02 00:59
千秋楽(6月2日)前日、紀伊国屋ホールは通路に補助席が2列になって出るほど満員の観客でした。作者である渡えり子も来ており、彼女の新作ということもあってか、観客には20代と思われる人たちが4割位いました。
ふたを開けてみるとこの作品には、戦争・特攻隊・痴呆症・介護する家族、職を失った父親・・・など、過去から現代までの家族がかかえる問題が盛り込まれていました。これらを若い世代の観客は、どう感じたのでしょう。クライマックスで私は泣かされてしまいましたが、作者である彼女も泣いていました。
セットは花田家の一室のみ。しかし2時間10分という時間の中で、この部屋にいる登場人物全員の別の顔(例えば、この家では「おばあちゃんの妹」だが、耳鼻咽喉科の医師である一面や、「教え子の一人」としてやってきたが男性が、いつも買いに来る花田さんの奥さんの前では八百屋のご主人であるなど)が無理なく描かれていました。時々思いますよね。この登場人物は日常ではどんな生活をしているのだろうか、なんてね。
そして、サスペンスのように次々と事実が判明していくストーリー展開。これは見事です。


過去帳その3を読む

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