えびす組大福帳/過去帳その3

「えびす組劇場見聞録」HPが引越す前までの掲示板書き込みを掲載いたしました。
このページの中では、新しい書き込みから順に並んでいます。
☆過去帳その1・・・2002年2月7日〜2002年5月21日
☆過去帳その2・・・2002年6月2日〜2002年12月29日
☆過去帳その3・・・2002年12月29日〜2003年12月31日

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150 Re: 来年もよろしくお願いします。 コン(管理人) 2003/12/31 19:31
ヲイヲイ、もうすぐおしまいなのは
2003年だよ〜。
自分で書いていて情けない・・・。
今年最後の書き込みなのに・・・。
2004年はもっといい歳にするぞ〜。

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149 来年もよろしくお願いします。 コン(管理人) 2003/12/31 19:28
2002年もそろそろおしまい。来年はもっと書き込みできるよう、がんばります。初仕事は、ホームページの引越しだ〜。
それでは、良いお年を!

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148 『2003 ザルツブルグ、夏の思い出』その2 C・スペンサー 2003/12/14 20:05
結局演出家はこの舞台をどうにかするために、再びザルツブルグにやって来たそうだ。だが、代役の歌手に演出をつける時間はない。なにしろ当日のことだ。彼にはこの作品にかなりのこだわりがあったことは間違いない。結局、なんとこの演出家が本番でホフマンの役をやってしまったのだという。歌手ではないので、代役が陰で歌い、演出家が口パクで演技をしたというのだ。もちろん開演前にその事情の説明があった時はブーイングが出たというが、音楽祭でもこのような代役による公演は初めてだったようだ。
もう一つの代役による公演は、小劇場でモーツァルトの『皇帝ティートの慈悲』(劇場は、映画サウンド・オブ・ミュージックの最後の方でマリアたちが音楽祭で歌っていたあの会場である)。こちらもタイトルロールのティート役の歌手が、前日の夜より喉を痛めて声が出なくなってしまっていた。上演時間は短いながらも、ティートは出ずっぱりの役である。こちらの場合、舞台に立てなかったわけではないので、当日はこの歌手が舞台に立ち、同じく口パクで歌は代役が陰で歌って上演されたという。不思議なことに両作品とも同じ日の出来事だったという。
話を本筋に戻すと、オペラにおいても、演出、つまりは歌手の演技がこんなにも重要視されているのだ。私自身の観劇の選択に、演出家の順位をもう少し上位にあげてみようかとも思う。『ホフマン物語』演出家は、DAVID McVICAR。2001年にロンドンにあるロイヤルオペラハウスでの『リゴレット』の演出家と言えば、このこだわりに納得する方も多いだろうか。それにしても、観劇作品を選ぶのにもザルツブルグ音楽祭には素晴らしい作品が来ているという安心感があるのだが、日本では値段と作品の価値の点から、どれを観たらいいのか見当がつかないでいる。

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147 『2003 ザルツブルグ、夏の思い出』その1 C・スペンサー 2003/12/14 20:03
8月上旬、台風が近づく日本列島は蒸し暑かった。その暑さをそのまま持っていってしまったかと思うほど、今年のザルツブルグは暑かった。ご当地ではこの暑さは400年ぶりとも言われていた。昨年は洪水という大災害を目の当たりにしていただけに、この地でのオペラ観劇の印象は強烈である。
さて、オペラと言えば、歌唱、指揮者、演奏・・・が素晴らしければ全て良しかと思いきや、演劇同様に演出がこんなにも重要視されているのか、というお話。
この夏に観た『ホフマン物語』は、主人公ホフマンの恋物語の回想である。三つの恋物語から編成されるが、面白いことに演出家により、この三つの上演の順番は入れ替わるのである。今回は、一番目に機械仕掛けの人形を人間と思って恋をする話(オランピア)、二番目に肺を患った歌手に(アントニア)、三番目は娼婦に恋をする話(ジュリエッタ)という順番であった。
オペラというと先入観として劇的要素より、ろうろうと歌い上げることに専念しているイメージを持っていたのだが、最近は演出に凝った作品が多いように思う。舞台美術も見所のひとつで、例えて言えば、tptでよく見られる閉塞感のある斬新な美術が、祝祭劇場という大舞台に作られていた。酒に溺れたホフマンがなんとも悲愴な面持ちで部屋の片隅に座っているところから始まるこのオペラ、衣装もよれよれの真実味のあるものだった。もちろん歌の場面では歌い上げるのだが、細部まで出演者は演じることを怠らなかった。そして演奏はウィーンフィルで指揮はケント・ナガノである。芝居では、効果としてバックに音楽やオペラが流れたりもするが、オペラの舞台では状況に合わせて生の音楽が奏でられ、登場人物が歌い演じる様は、この作品において大変心に響くものとなっていた。そして三場面とも、あたかも芝居を観たように登場人物に感情移入して物語に胸を打たれたのである。
さて、このような演出作品の場合、主役が急病で舞台に立てなかったらどうすると思われるか?某旅行会社の駐在員から聞いた話なのだが、今年のザルツブルグ音楽祭では二作品において、主役が急病の舞台があったそうだ。その一つが『ホフマン物語』。情緒ある演技をしたホフマン役の歌手が、ある日高熱で舞台に立てなくなってしまった。代役を立てるにしても、アンダースタディーを用意していなかったのか定かではないが、演技のつけられた歌手がいなかったらしい。この作品の演出家はイギリス人で、オペラではたいてい演出家は初日が開くと帰ってしまうのだという。さて、どうしたことか。

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146 遠く離れて(T00 FAR TO WALK) ビアトリス 2003/12/03 10:42
昨年ロンドンで上演された本作をみた女優の中村まり子が、今回の日本初演を実現させた意欲作です。演出を担当し、主人公のクラリッサを熱演しました。
幼い頃別れわかれになった姉妹が四十年の月日を経て再会し、苦しみながらお互いを理解しようとする姿が描かれており、客席には泣いている人も。しかし過去と現在が交錯する作りも、小さな舞台を病院や空港など、さまざまな場所に見立てる趣向も、天真爛漫な魂ゆえに、周囲の無理解によって精神のバランスが壊れていく妹と父親による性的トラウマを抱えた姉という設定もわたしにとってはやや既視感があり(と思うわたしがおかしいのかしら)、入り込めない印象がありました。どちらかと言えば、エマ・トンプソン主演の映画のような雰囲気かな?

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145 144の書き込みは・・・ コン(管理人) 2003/12/01 01:10
ビアトリスがテストで書き込みしたもので、本人が
削除できなかったため、管理人が削除いたしました。

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144 【管理者によって削除 - 2003/12/01 01:06 】 - 2003/11/29 20:08

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143 授業 ビアトリス 2003/10/19 21:50
ヘンリー氏のご好意で何と招待券!昨年の下北沢公演に比べて年輩のお客さんの姿が多いように思いました。笹塚の商店街ビルの地下にある劇場はもと映画館だったそうで、中は思ったより広く、ベニサン・ピットに似た感じです。お芝居本編はアドリブが減って(笑)、シンプルになった分、OFFOFF劇場の狭い空間をどっぷり満たしたあの毒気が薄らいだ印象があります。小屋に俳優や観客が馴染むにはもう少し時間がかかるのかも・・・。終演後NHK「課外授業ようこそ先輩」の様子をまとめた「柄本明『絶望』の授業」のサイン本を購入。これからじっくり読むつもり。

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142 日比谷シティ「夜能」 C・スペンサー 2003/10/15 23:54
日比谷シティ「夜能」を観たことがありますか?
22回を迎えた日比谷シティ「夜能」、開催者の寛大さのおかげ(?)で、通りがかりに階段脇から見学させてもらった。初日は豪雨のため屋外では上演されなかったと思うが、本日は晴天なのでこの日比谷シティ広場で開催された。ふらりと立ち寄ったとはいえ、毎年プログラムは購入しているのでその中から紹介すると、初日(10/14)は戦後の新作を代表すると言われているW・B・イェーツの「鷹の井戸」を題材にした能『鷹姫』、二日目(10/15)は狂言の『蝸牛(かぎゅう)』と能『絃上』の二本立て。特にこの『絃上』は日比谷シティ夜能を第一回から監修してきた梅若恭行の追悼公演として、昨年彼が夜能に出演したのと同じ演目だった。経歴を見ると梅若恭行は、なるほど第一回からずっと出演している。しかし、ただ一回だけ開催が取りやめられた年がある。1988年、昭和天皇の体調が思わしくなかった第7回公演だった。
さて、この夜能は広場に舞台を作るだけでなく、雨天の場合は日比谷公会堂やメルパルクホールが押さえられている。結構費用がかかっているに違いない。2、3年前には毎冬この広場に作られていたスケートリンクが姿を消した。昨今の厳しい世の中、本当に関係者の支援や情熱がなくては続かなかったことだろう。いつも会場の外からで申し訳ないが、都会に現れるオアシスのように伝統芸能が浸透していくようにと願いを込めて筆を取った。
★アクセス10000突破、ありがとうございます。私たちもこの夜能のように、しっかりと続けていきたいです。
(前項目の削除は、うまく掲載できなかったので、やり直したためです)

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141 【発言者によって削除 - 2003/10/16 00:01 】 - 2003/10/15 23:52

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140 【発言者によって削除 - 2003/10/15 23:47 】 - 2003/10/15 23:41

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139 10000アクセス! コン(管理人) 2003/10/14 00:09
「えびす組劇場見聞録」のアクセスカウンターが10000を超えました。
3年半ちょいで10000というのは決して早くはありませんが…
その殆どはメンバーのアクセスだとは思いますが…
何はともあれ、めでたい♪皆様、ありがとうございます。
それなのに…こちらのプロバイダさんがネット接続サービスをやめちゃうそうで…近々お引越しをしなければなりません。カウンターもゼロからやり直し…悲しいです。
引越しの詳細が決まりましたら、お知らせします。

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138 Re: 宇宙でいちばん速い時計&・・・ コン(管理人) 2003/10/14 00:08
1日2本観劇おつかれさまでした!「萩家の三姉妹」は初演も見たんですよね?感想聞かせてくださいね。

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137 宇宙でいちばん速い時計&・・・ ビアトリス 2003/10/13 00:36
白井晃演出の舞台初体験、中に入ると正面ではなく、右側がステージになっていて、ステージ上半分には積み上げられた椅子と鳥や獣がぶら下がっている不気味な作り。演出の意図を読みとろうとしたのですが、もう少し若手俳優の演技がこなれていればなーと残念に思いました。白井氏や翻訳の小宮山智津子氏が惹かれている劇作家リドリーの魅力を感じ取るまでには至りませんでした。
この不完全燃焼感覚のせいでしょうか、ついふらふらとこの日初日の二兎社『萩家の三姉妹』を当日券でみてしまいました。まったく予想しなかった展開に自分がびっくり。これも演劇の力でしょうか?終演後にマーガレットとばったり。2本みてやっと快くアタマもからだも疲れた感じです。

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136 Re: 映画・永遠のマリア・カラスをみた ビアトリス 2003/10/13 00:23
akaebiさま、お便りありがとうございます。マリア・カラスというと黒柳徹子主演の舞台『マスター・クラス』を思い出します。大変な迫力と(いい意味での)押しつけがましさ。ご覧になった映画は東京でも続映体勢になったようですね。ぜひみたいものですが・・・。またお便りお待ちしております。わたしも「気持ちはねえちゃん」で頑張ります!

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135 Re: 映画・永遠のマリア・カラスをみた コン(管理人) 2003/10/12 02:28
akaebiさま、投稿ありがとうございます。
「カラスの歌、ファニーの演技」と書いてありますが、歌声はカラスの録音なのでしょうか?カルメンの撮影シーン、見てみたい…でも映画館へ行く時間が…(涙)。
また何か見たら書き込みをよろしくお願いします♪

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134 映画・永遠のマリア・カラスをみた akaebi 2003/09/19 18:27
こんにちは、初めて投稿します。地方都市に住む演劇・映画好きの主婦です。感激しやすく忘れっぽいミーハーおばちゃん気持ちはねえちゃん、どうぞよろしくおねがいします。
先日永遠のマリア・カラスをみてきました。よかったです。
これって、まだ公開中なのでネタばれになっちゃうのかな?まずかったらはずしてください。
カラスの歌に涙、カラス役のファニー・アルダンの演技に涙でした。映像、衣装も70年代を伝えているし、オペラ映画カルメンの撮影シーンは、ステージ好きにはたまりません!
歌にのせてその感情が受け手の感情に共鳴した時大きく世界が広がっていくようで、オペラは奥深いものなんですね・・。以前みたマスタークラスというお芝居でカラスが生徒たちに教えようとしたのは、そういうものだったのかなと思いました。
監督はフランコ・ゼフィレッリ、カラスとはとても親しかったそうです。しかしこの映画、カラスとファニーいなかったら映画としておもしろいんだろうか?ちょつと判断できないくらいよかったです。

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133 Re: 14号UPしました。 コン(管理人) 2003/09/09 21:14
1ヶ月どころじゃない、2ヶ月だ〜。猛省。

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132 14号UPしました。 コン(管理人) 2003/09/09 21:13
「劇場見聞録」第14号をUPしました。各劇場にも発送済です。
1人でも多くの方に読んでいただければ嬉しいです。
「大福帳」は約1ヶ月動きなし・・・。もう少しマメに書き込みができるよう、がんばります。

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131 リチャード三世 ビアトリス 2003/07/13 23:05
主演の金田明夫とこれがシェイクスピア初演出の平光琢也とは研究所の同期で親友の間柄だそう。テレビドラマ出演が多い金田氏ですが、舞台に立つとほんとうに生き生きして、舞台に立てる喜び、楽しさを全身で表現していました。スピーディーな展開は物語の流れや人物の心情を理解しにくいところもありましたが、リチャードというひとりの男が上り詰め、転落していく生々しさをシンプルに見せる効果もありました。もっと壊して遊んでもよかったのでは?
金田、吉見一豊など四人の男優のダンスシーンは笑えた!
この作品は内容が内容だけに、陰惨で力の入りすぎた雰囲気になりがちですが、カーテンコールで俳優さんたちがこんなに明るく晴れ晴れとした表情の『リチャード三世』ははじめてみました。仲間たちと助けあって悩んだり揉めたりしながらも、(たぶん)うんとおもしろがって作ったことが想像され、こちらまで楽しくなりました。今年はなぜか本作上演の当たり年。江守徹主演の文学座、市村正親主演の蜷川版・・・。どうしようかな?

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130 Hamlet ビアトリス 2003/07/08 23:38
男優だけの配役や和洋折衷ふうの超豪華絢爛な舞台装置など、たしかに観客の目を奪い、興味を掻きたてる趣向に満ちた作品ではありますが、趣向が趣向を越えて舞台から発せられる熱(風かもしれない)が客席を巻き込み、劇場ぜんたいが熱くなるには至ってないと感じました。その最大の要因は、言いにくいのですが(と遠慮する必要はありませんが)野村萬斎のハムレットなり。本作はえびす組総見の予定です。メンバーの意見を楽しみに、かつ自分の考えをもっときちんと書きたいと思っています。見聞録次号のお題なるか?!

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129 佐古正人さん ビアトリス 2003/06/13 00:06
演劇集団円の俳優佐古正人さん。高校生のとき、シェイクスピアの『まちがいつづき』みて以来ずっとわたしの憧れの人でした。好きな俳優さんはたくさんいますが、この方は別格中の別格、個人的思い入れがあまりに強いので、これまで劇評に書いたことはありません。ご病気らしいことは聞いていましたが、今年はじめに亡くなったことを知りました。56歳の若さ。明晰な台詞まわしに敏捷な身のこなし。もうみることはできないのですね。先日『アトリエ』をみたときに、この二十年あまりの月日を懐かしく幸せに思いましたが、同じ月日を驚きと悲しみをもって振り返りました。印象深い役は前述の『まちがいつづき』の金細工師アンジェロ、TPT『テレーズ・ラカン』初演のグリヴェ。いつまでも忘れません。

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128 アトリエ ビアトリス 2003/06/01 18:27
何と21年前の初演をみているのです。当時のステージ円は北新宿にありました。材料をよく吟味し、一切の手抜きをせずに丁寧に作られた家庭料理、しかも「食べる人に喜んでもらいたい」という温かい思いやりのこもった食卓のような味わいがあって、静かに心が満たされる不思議な感覚を体験しました。『アトリエ』は上京してまだ二ヶ月もたっていないわたしが初めてみた大人のお芝居でした。再演の舞台をみるときは、とかく前回との比較に終始してしまいがちなのですが、懐かしさとともに新鮮さも味わい、まことに幸せなときを過ごせました。今のステージ円は田原町にあります。終演後の浅草の町は三社祭の真っ最中。東京でお芝居をみるようになってから20年あまりの月日が流れたのですね。たくさんの出会い、失ったもの、与えられたもの、さまざまなことを思い出しました。

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127 あの川に遠い窓 ビアトリス 2003/06/01 18:09
長谷川孝治の作・演出による 弘前劇場の公演には何度か足を運んだことがあります。ゆったりとした弘前弁で、日常の出来事を温かくみつめる舞台といったイメージがあったのですが、今回の山田辰夫・村田雄浩の二人芝居にはぶっとばされました。七年前、山田が長谷川に戯曲執筆の直談判に行き、二人で一晩飲み明かした末に生まれた作品だそう。わたしは幸いにも人を殺したことも人を殺したという人と話したこともないのですが、山田辰夫をみていると、「こんな顔をしているのかな・・・?」と思えてきます。お二方ともテレビでみる機会の多い俳優さんですが、いやもう、びっくりしました。観客に一切媚びず、ぶつかりあう男たち。こういう舞台をみたときこそ、劇評を書きたいのですが、自分の力不足、勉強不足に打ちのめされる思いです。何とか負けずに食らいついていきたいものですが。

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126 13号UPしました。 コン(管理人) 2003/05/18 02:19
「えびす組劇場見聞録」第13号をアップしました。
新聞版は、ゴールデンウィーク明けに各劇場へ発送したのですが、多忙にかまけて更新作業を先延ばしにし、メンバーにも迷惑をかけました。この2-3ヶ月、「仕事をする」ことと「芝居を見る」ことだけで精一杯な日々が続いています。じっくりと「書く」余裕がないのが歯がゆいです。でも、時間は自分で作るもの、要はやる気次第のはず…。ちゃんと前を向いて、がんばらねば♪

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125 『ホームバディ/カブール』 『オイル』 C・スペンサー 2003/04/24 01:52
前者を文学座のアトリエ公演で、後者をNODA・MAPで観た。
両者とも、状況の違いこそあれ、戦争がテーマになっている。
これらの作品を今、上演するということは、『ホームバディ・・・』の訳者、名和由理さんが文学座通信に掲載している言葉を借りると、「芸術家は沈黙してはならない」、ここに全てが凝縮されているように思う。
それにしても『オイル』は野田秀樹が一年半前に思いついたそうだが、「オイル=老いる」という巧みな言葉の読み替えだけでなく、アメリカがイラクを制圧し、オイル=石油が注目されている今、なんとも不思議なタイミングで始まった芝居ではないか。
機会があれば、是非、両方ご覧になることをオススメします。

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124 Re2: 「桜の園」(蜷川演出)感想について ryu 2003/04/13 17:02
>きっとryuさまご本人の目に触れることはないのでしょうね〜。

いやはやこういう偶然もあるもので、レスポンスが書かれた二時間後に僕はすっかり忘れていたこのページに迷い込んできたのです。
いつだったかマイケル・フレインの「コペンハーゲン」ロンドン初演を見たという演劇評論家(匿名だが、英国に行ってまで観劇する人は原稿料をいただいているはずです。)の批評をWeb上で読んだことがあるのですが、それがどこだったか思い出せないで、さまよっているところでした。
実は反論を思い立ったのです。しかし、そのページにはたどり着けないでいます。知っている人がいたら教えて下さい。
ぼくは、Webサイトについてほとんど初心者なのですが、なぜ皆さん匿名で書くのでしょう?

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123 Re: 「桜の園」(蜷川演出)感想について コン(管理人) 2003/04/12 03:10
ryuさま、書き込みありがとうございました。HP拝見しました。自分が見た舞台も幾つかあったので、とても興味深く読ませていただきました。
…と余りにも遅すぎるレスで申し訳ありません。きっとryuさまご本人の目に触れることはないのでしょうね〜。深く反省しております…。

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122 「桜の園」(蜷川演出)感想について ryu 2003/03/24 16:29
「私の演劇時評」に少し長めの批評を書いています。ヒマなときにお立ち寄り下さい。
http://www3.zero.ad.jp/ryunakamura/

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121 ラジオドラマ『神様』 ビアトリス 2003/03/04 22:58
朝日新聞朝刊にNHKチーフディレクター松本順(まつもとすなお)さんの訃報が掲載されていました。ラジオドラマの演出を手がけ、昨年放送のFMシアター『神様』(この年の文化庁芸術祭ラジオ部門大賞を受賞)も松本さんの手による作品。『神様』は川上弘美の同名の短編集で、「くまにさそわれて散歩に出る。」という書き出しで始まる(アパートにくまが、あの動物のくまが引っ越してきて、そのくまと一緒に散歩に出る)不思議な物語です。ラジオを聴きながら、夢をみているようなふわふわした、けれど少し悲しい気分になったことを思い出しました。松本さんはまだ50歳の若さ、肺がんだとのことです。また『神様』を聴きたい。再放送希望します。

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120 AMERIKA ビアトリス 2003/03/02 21:41
年末にみた『恋のメモランダム』で好演していた佐藤淳が出演するからという実に軽薄な理由で足を運びました。カフカの未完の小説を松本修がオーディションとワークショップを経て一昨年に初演され、更に練り上げられて再演の運びになったものです。20人の俳優が延べ200人以上の役を演じるので、一人平均10役、男女が入れ替わる役もあるし、主人公のカールも5人の俳優が次々に演じ継いでいきます。3時間半の長丁場でしたが、舞台から発せられる力強いエネルギーをびんびん伝わって、疲れを感じませんでした。日常の些末な出来事を静かに切り取ってみせる演劇もありますが、単に切り取っただけで演劇的な何かや、板にのせる必然性を実感できない舞台に物足りない思いをしていたので、今回の『AMERIKA』は演劇の可能性を考えるいい体験になりました。いつもなら日曜夜は『武蔵』と『グッドラック』の二本立てですが、舞台の余韻がからだにも心にも残っているので、今夜はテレビをつけないことにします。16日までシアタートラムで上演。おすすめです。

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119 ヒトガタ ビアトリス 2003/02/24 00:01
2週続けてスズナリです。今週もこれが初見のグリング公演『ヒトガタ』(青木豪作・演出)。若手もベテランも自分の持ち場をよく理解してきちんとした演技をしているなと思いました。井出みな子の耳の遠い大叔母など新境地。杉山文雄は口下手でどもってしまう癖のある人形問屋の若旦那役を、あれが演技?というくらいの好演。さて、わたしのお目当ては高橋理恵子嬢でした。数年ぶりにみる高橋はやはり少し老けており、『赤い階段の家』や『月下』のときのような伸び盛りのキラキラした印象はありませんでした。顔も声も(いい意味で)少女のようなので(かといって子どもっぽいということではない)、今は難しい時期なのかもしれません。どうか新しい魅力を発揮してほしいと思います。こういう女優さんのためにもやっぱりいいホンが欲しい。先週の『火花みたいに』と同じく、ホンが弱いと感じました。

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118 火花みたいに ビアトリス 2003/02/23 23:37
京都の劇団八時半初見。久々に若い俳優の絶叫芝居をみました。千秋楽というのにこれだけ叫んで声も枯れず、そのままぶっとばしてしまえるのはやはり若さ?スズナリの舞台に少し高めの台を組まれており、その上がお弁当屋の事務所兼休憩室で、物語はここで展開されます。台はぐるぐる回る仕掛けで(人力)台の奥や手前に真っ赤な彼岸花が咲き、不思議な雰囲気を醸し出しています。細かい台詞のやりとりにはおもしろいものを感じましたが、ラストはあれでよかったのかな?もう一押し期待していたのですが。

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117 エリザベート(東京宝塚劇場) コン(管理人) 2003/02/09 01:21
宝塚との出会いは「昭和のベルばら」だから、随分と長い付き合いになる。その後、見たり見なかったりを繰り返しているが、ついに「舞台姿を全く知らない男役トップ」が出てきた。花組の春野寿美礼サン(なんて宝塚らしい芸名だ…)。
まぁ、なまじ若い頃を知っているというのも問題で、「あんなに頼りなかった○○チャンが、立派になりすぎてつまらない」という失礼な感想を持ってしまったりする。その点、春野サンは先入観なし(VISAのCMには困ったが。)に見ることができて、良かったのかも…。
「エリザベート」観劇は雪組の初演以来、約7年ぶり。一昨年のウィーン旅行で巡ったハプスブルグ家関係の名所旧跡を思い出しながら、とても楽しく見た。
春野サンは想像していたよりずっと歌が上手かった。「この人なら…」という納得のトートだ。歌える人にありがちな嫌味もなく、個人的には好印象。(こってり系が好きな人には物足りないかも?)今回の舞台ではダンスのウマヘタを判断しずらいが、体の表現力も豊かそうだ。手の指(特に親指)が長く、手の動きから目が離せなくなってしまった。チラシの死神メークは非常に怖いが、舞台のメークは意外とシンプル。普通の男役姿は果たして美しいのだろうか?(そこは重要。)
でも、やっぱりこの作品を好きになれない。エリザベートは究極の「無い物ねだり」。私だったら、彼女が持っている物どれか一つをもらえれば、前向きに生きられそうな気がするのに…。(美貌?強い意志?財力?地位と権力?旦那?子供?)自分の持ち物を何も捨てずに、ひとの物を欲しい欲しいと大騒ぎした挙句、結局若返って「黄泉の女王」におさまるんかい!ちょっとムカツク。年老いてまで拒否されるフランツに同情しまくった私、「夜のボート」でちょっと泣けた(年寄りネタに弱いのだ)。
宝塚は、甘い作りの(色んな意味で、甘い)お芝居とショー、そのスタイルがいい…と思う。
もう1人、「舞台姿を全く知らない男役トップ」がいる。雪組の朝海ひかるサン。彼女のお披露目公演も見ようかな…二本立てだし。チケットが取れれば。

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116 亜門版『ファンタスティックス』、ステージの上から C・スペンサー 2003/02/02 23:52
2/2昼に、ビアトリスが取ってくれたステージベンチという席で一緒に観劇。舞台上に左右三列ずつの席があって、背もたれもなく、クッションのきいた本当にベンチでした。
こういう舞台上にある席の体験は、劇団四季の『エクウス』以来でしたが、今回はミュージカルです。目の前で役者が歌って踊るのでしょうか・・・もし、ご指名で踊らされたらどうしよう・・・なんて、これも亜門さんの企みの一つかなぁ。あんまり言うと、これから沖縄まで全国公演があるのでネタバレしたら大変!これくらいにしておきましょう。
さて、マット役の井上芳雄は、派手な衣装のモーツァルトとはうって変わって、等身大の青年の役です。一昨年の梅田コマで見た『エリザベート』のルドルフは、オペラグラスで眺めるぐらい遠かったのに、手が届くほど近くにいます。それであの歌声が、生でも聞こえてきます。私は歌声に惚れていたのですが、これも亜門さんの企みでしょうか、同じ舞台で演じる姿を見せられたら、心底ファンになってしまいそうです。ステージにセットが無いのも、この勘違いの原因かもしれません。景色も全て、観客の想像力に任されています。
亜門さん、お願いです。大舞台もいいけど、井上さんにはこういうシンプルなミュージカルで観客を魅了して欲しいです。しばらく一緒にコンビを組んではいただけないでしょうか。

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115 Re:Re: 桜の園 C・スペンサー 2003/02/01 22:47
ビアトリスとコンスタンツェに刺激され、遅ればせながら私も蜷川幸雄演出『桜の園』について。1月12日(日)にビアトリスと観劇。私の動機は「蜷川演出の翻訳劇だから」というのは表向きで、やはり高橋洋出演の舞台だからです。
彼との出会い(?)は、一昨年の1月に『真情あふるる軽薄さ2001』で、病気で降板した萩原聖人の代役として主演していた舞台でした。私は参加型の席ということで、一般の観客とは別に通路で待機していました。そこにトタン板を背負った一見フツーの青年も、私たちと一緒にスタンバイしていたのです。その彼が舞台では、スター女優の鶴田真由を相手に、きらきらと輝いているではないですか!自然な物言いと、時折見せる憂いを秘めた表情を見逃しませんでした。
次なる舞台は4月の『マクベス』にマルコムとして。寝そべりながら、策略あって悪ぶった態度をとる姿がなんとも妖艶であったことをえびす組のメンバーに話したところ、数日後の舞台では彼の代役が演じていたというではありませんか。マルコムが不在のまま進行した日もあったという噂もありました。
劇場で、8月に『卒塔婆小町』の詩人を演じるというポスターを見かけてチケットを購入したのに・・・結局はそれも代役でした。
あれから一年以上も舞台での消息がなく、そんなところへ『桜の園』への出演と聞いたのですから、コンスタンツェの「降板理由と復帰の経緯を提示して欲しい」という発言にも納得いただけると思います。
なんだかんだいっても、私たちは高橋洋の演技をこれからも観たいのです。独特の解釈を表現できるいい役者だと思います。主役でなくとも出演者で見たい舞台もあるのですから、観客の期待を裏切る時には、それなりの説明が欲しいものです。

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114 Re:文学座・勉強会 C・スペンサー 2003/02/01 20:04
毎年、文学座が行っている入場無料の勉強会。勉強会といっても芝居の上演です。勉強会の意図するところは知りませんが、2001年4月の勉強会で上演の『龍の伝説』は、本年の文学座本公演のラインナップとして登場しているので、さしずめ実験演劇というところでしょうか。
今回の題材は、久保田万太郎作『蛍』と樋口一葉作・久保田万太郎脚色『十三夜』。舞台上にはきちんと日本間が作られ、役者は全員座員(準座員含む)。本当に毎回、入場無料で見せていただいて・・・。
どちらも日本髪の女性が美しかった。特に『十三夜』の二幕で、人力車に乗ったせき(清水馨)と車夫の録之助(鈴木弘秋)との構図には、息を呑むほどでした。人通りの少ない夜道という設定なので、背景には黒幕しかなかったのですが、それが一層絵画の一場面のように彼らを引き立てていました。
第二稽古場というアトリエより小さめのスペースのため、舞台と客席は一メートルも離れていません。そんな間近で見る人力車の大きさに圧倒されつつ、リアルな舞台に感激しました。
今後もこの勉強会という舞台で、どんどん作品を追求していって欲しいものです。無料なので、もちろん不平は申しません。

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113 文学座・勉強会 ビアトリス 2003/01/31 00:35
仕事を終え、横浜からぶっとばして信濃町のアトリエ手前の第二稽古場へ行きました。久保田万太郎『蛍』と樋口一葉の小説を万太郎が脚色した『十三夜』の二本立てです。美しい日本髪、着物を着替える手際のよさ、実の両親に対して、畳に手をついて挨拶する姿。どれもいまのわたしたちの日常では見られない立ち振る舞いの数々に見惚れる思いでした。鬘も衣裳も舞台装置も本格的で、これを無料でみられるなんてありがたいというか、申し訳ないというか。二本とも悲しく辛い話ですが、いい夜になりました。今夜はテレビはつけず、久保田万太郎の句集をめくって過ごすとしましょう。ご案内いただいたスペンサー嬢に感謝。

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112 1月の映画 コン(管理人) 2003/01/30 21:47
今年1本目の映画は「ゴジラ」。何となく毎年恒例になっている。「ガメラ」や「モスラ」も合わせて、今までに怪獣映画を何本見て、それぞれどんな内容だったか、余り覚えていないが、「映画館で見ることに意義がある」という感じ。今回の「ゴジラ」で一番記憶に残りそうなのは、加納幸和。出ていることを知らなかったので、スーツ姿で登場したときはかなりビックリした。
2本目は「T.R.Y.」。「日本映画もここまでできるようになりました!」という売文句を、話半分どころか話五分の一程度に聞いていたので、意外と楽しめた。まぁよろしいんじゃないでしょうか。これを見に行った動機は「渡辺謙」。暴走するかな?という予想に反して、こちらも意外と(あくまでも、意外と)押さえ気味。よろしいんじゃないでしょうか。ただ、渡辺謙サイドから見ると、もう一度反撃して欲しかった。上映時間は104分で短めだし、エピソードを加える余地があったのでは・・・?いや、まぁ、どうでもいいか。渡辺謙が帝国陸軍軍服を身にまとい、マントを翻して歩く短いシーンに、入場料を全部払った気分の私だから。(そこだけ巻き戻して見たい。)
1月の映画は以上2本。この調子だと、年間本数が去年と同じ12本になってしまう。もうちょっと、ペースを上げねば…。

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111 ルネッサンス(紀伊国屋ホール) コン(管理人) 2003/01/30 01:09
何かの象徴として「ルネッサンス」というタイトルが付いているのかと思っていたら、本当にダビンチやらミケランジェロやらラファエロが出てきた。(しかし…長野里美が「モナリザのモデル」で「巨匠達のミューズ」というのは…少々無理が…?まぁ、作・演出の上杉祥三夫人だからね。)私はイタリアへ旅行もしたし、その時代の美術についてわずかながらも知識があるが、全く興味がない人が見たら、よくわからないかも。
モナリザと広隆寺・弥勒菩薩半跏思惟像との関係や、ヘブライ人と秦氏の関係とか、一番面白そうに感じた部分がさらっと流れてしまったのが残念。
「半跏思惟像」の正しい表記を確認するためにネット検索していたら、「モナリザ・弥勒菩薩像・スフィンクスが『世界の三つの微笑像』と呼ばれているらしい」と出てきた。スフィンクスが笑っているとは知らなかった!

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110 ピルグリム(新国立劇場中劇場) コン(管理人) 2003/01/30 01:05
退屈したわけでもなく、面白かったわけでもない。特に古臭くはないが、今だからこそ上演されるべき!とも思えない。「ふぅぅぅ…ん」という感じで終わってしまった。劇団での上演時に、誰がどの役をどんな風にやっていたのかちょっと知りたいが、流石にDVDボックスセットを買う気にはならない…。
市川右近は、彼がメンバーになっている二十一世紀歌舞伎組と共に、とても気になる存在。そのせいか「ピルグリム」にとって右近がどうだったか、ということより、右近にとって「ピルグリム」はどういう意味を持つのか、ということの方を考えてしまう。昨年9月の「残菊物語」(未見)、そして今回と、歌舞伎以外の公演が続いたのは、たまたまなのだろうか?
<蛇足>右近の体型、憎めないけど…現代劇をやるならもう少し絞って…。

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109 Broken Heart 2003(博品館劇場) コン(管理人) 2003/01/30 00:56
昨年6月に見た「Letter - bring to light」と同じく、友澤晃一 脚本・演出、玉麻尚一 作詞・作曲のミュージカル。今回が再演だが、私は初見。
病院を舞台に、心や体に傷を持つ人々が触れあい、影響を与えあい、少しずつ変わってゆく姿が描かれている。伝えたい、という気持ちはわかる。そして、伝えようとしているものが、とても大切なものであることもわかる。わかるのだが、体全体で感じることができない。「見せ方」に問題がありそうだ。
役者(殆どが患者役)達が出て来ては歌い、また引っ込んで…の繰り返しは単調すぎるし、遺跡のような装置も今ひとつそぐわない。演出プランを再考してほしい。
出演者は10人で歌のレベルは高い。今回のお目当て・主演の渡辺健は歌手だが、「Letter…」にも主演しており、続けて出るということは役者業にも力を入れるつもりなのだろう。今後も楽しみにしている。
ちなみに「Letter…」のもう一人の主演者・坂本真綾が、「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ役に決まった。歌のパンチ力や、演技面で不安が残るが…稽古次第か。(稽古の成果を確認できるのかは不明…「レ・ミゼ」、キャスト多すぎないか?高いから何回も見られないぞ!)

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108 Re: 桜の園 コン(管理人) 2003/01/26 15:01
ビアトリスより数日前に私も観劇。
「桜の園」は二度目。前回も麻実れい主演だったが、「麻実れいを見た」ということ以外は何も覚えていないので、気分は初見。当然、他の「桜の園」と比較することはできないが、単純に一つの舞台として楽しく見た。チェーホフって、結構面白いんだ…と今更思ってしまうあたり、チェーホフ作品に対する勉強不足を露呈して情けない。まぁ、でも、知ったかぶりするのも同じ位情けない。せめて「桜の園」だけでも消化できるよう努力せねば。
とは言え、今回のメインイベント(?)は高橋洋の復帰。以前と変わらない舞台姿を自分の目で確かめて、とても嬉しかった。しかし、しつこいようだが、彼が何故「マクベス」と「卒塔婆小町」を降板したのかを知りたい。舞台と俳優と観客は、ある意味でビジネスパートナーだ。相手に生じた問題を「うやむや」にしたまま、先へは進めない。100%真実でなくても構わないから、降板理由と復帰の経緯を提示して欲しい。

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107 初芝居・さぶ(その2) コン(管理人) 2003/01/26 03:21
今年の初書き込みだというのに、↓はタイトルを間違えてしまった・・・。
気を取り直して。
家へ着いてすぐに原作を手に取った。母の蔵書「山本周五郎小説全集Qさぶ」、昭和46年版。読みながらちょっと驚いた。想像以上に「人足寄場」の記述が長かったのだ。栄二の周囲で起こる出来事や、関わってくる人々の姿が綿密に綴られ、栄二の心の描写も精緻で深い。舞台に載せるとなるとエピソードを取捨選択しなければならないが、全てが不可欠に思えてしまう。「気分が変わるから…」程度の理由で、中途半端に使えるようなものではない。
ジェームス三木は、作品の一部分を借りるのではなく、作品の精神を読み解いた上で、別の形で表現しようとしたのだろうか。もしそうなら、目的はおおむね達成できたと思う。しかし、2・3部は実質的にはジェームス三木のオリジナルに近い。二つの「さぶ」は別物、と感じた。優劣を付ける気はない。小説には小説の、芝居には芝居の魅力がある。根底に流れているものが同じでも、芝居の方はタイトルを変え、「山本周五郎作『さぶ』より」とした方が良かったのではないだろうか…。
私が読んだ本には、全集のオマケ(?)で小冊子「山本周五郎ノート」が付いている。そこに掲載された野村喬という評論家の文章に、次のようなくだりがある。「(前略)小説が東宝劇団の手で劇化(菊田一夫脚色)されたとき、観客もそうだったが劇場の従業員たちが泣いて、こんな芝居がいつもかかるのだったらほんとに働きがいがある、と言った(後略)。」年代は書かれていないが、この時の栄二役は、六代目市川染五郎(現・松本幸四郎、現・染五郎の父)の筈だ。菊田本には「人足寄場」のシーンがある。従業員も泣かせた芝居の脚本、是非読んでみたい。

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106 初はじめ・さぶ(その1) コン(管理人) 2003/01/26 03:14
初書き込みがすっかり遅くなってしまいました。本年もよろしくお願い申し上げます。
さて。
2003年の初芝居は、新橋演舞場の「さぶ」。
昨年放映された藤原竜也主演のドラマは見たが、原作は読まずに客席に座った。今回の脚本(ジェームス三木)の特徴は、作品の中で大きなウエイトを占める「人足寄場」のシーンをまるまるカットしていること。果たして、それを抜きにして栄二(市川染五郎)の「再生」を描けるのか、がポイントになっている。
結果から言うと「YES」。さぶ(萩原聖人)、おすえ(寺島しのぶ)、おのぶ(雛形あきこ)の、どこか不器用だけどまっすぐな想いに触れて、栄二は変わってゆく。ひとの心は、ひとの心によって浄化される…そんなことを感じさせる幕切れだった。話の運びはやや定番めいたものの、それが安心感にも繋がり、いい意味で、いわゆる「商業演劇」らしい芝居になった。
しかし私は、場面構成上、「人足寄場」があった方が良いのでは、と思った。「さぶ」は2回の休憩を挟む3幕から成り、室内の場面が多いので、ずっと同じ様な雰囲気が続く。退屈した訳ではない。台詞はきっちり聞かせるし、適度に動きもあり、笑いもあり(時々クドイ)、なかなか鮮やかなお手並みなのだが、2幕目に「人足寄場」を加えれば、気分も変わり、全体的にもっとメリハリがつくような気がしたのだ。ただ、そうすると栄二以外の役の出番が減るし、役者の数の問題もあるだろう。ドラマを見ていなければ何も感じなかった筈だから、「ないものねだり」か…と考えながら、劇場を後にした。

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105 新春浅草歌舞伎 ビアトリス 2003/01/20 00:00
中村獅童の源九郎狐の大当たり!映画『ピンポン』や三谷ドラマ『HR』の出演の影響か、彼は今回の座組でいちばん人気のようです。ロビーの祝い花もすごいし、観客の喝采を独り占めの印象。七之助の『奴道成寺』は懸命な踊りに拍手。もう少ししたら『娘道成寺』を踊ってください。夜の終演時間を早めにして、観客がそのあとの食事も楽しめるようにとの配慮もありがたいし、パンフレットも歌舞伎にしては斬新。若者の懸命な気持ちがびんびん伝わってくる公演でした。でも、芝居のあいだじゅう、大向こうがまったく(だったと思います)なかったのはなぜ?

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104 桜の園 ビアトリス 2003/01/14 23:27
舞台奥の黒い壁、窓や扉の形に漏れてくる光の美しさに息を呑みました。渋谷にいる日常がロシアの古い屋敷に変わる瞬間です。しかし残念ながらお芝居ぜんたいからあまり新鮮味は感じられませんでした。麻実れいはいつもながら圧倒的な美しさで、西欧人を演じて見事に決まる女優であることを再認識しましたが、これってコスプレじゃないし。ロパーヒン役の香川照之は「ロシア版木下藤吉郎」の頑張り。もっと舞台に出てほしいですね。そして今回最も喜ばしいのは高橋洋の復帰です。若禿げ(あの鬘はあんまりではないかと)で風采の上がらない万年大学生役。麻実れいとのからみはいささかおかしくしすぎだと思いましたが、彼をたっぷり見られて満足です。ブランクを感じさせないいい演技でした。これからも頑張れ!

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103 芝居おさめ・七芒星 コン(管理人) 2002/12/31 02:27
12月28日、新感線の「七芒星」が2002年の芝居おさめ。
一週間ほど前に、ぴあでまあまあの席が出ていたので、急遽観劇することに。
赤坂ACTシアターは音が悪いので有名だが、耳の上につけるマイクが拾う台詞を大きなボリュームで流したためか、意外と聞き取れた。印象は、「爽やかな青春物」。いつまでも少年っぽさを失わない佐藤アツヒロのカラーだろうか。20分の休憩を入れて3時間弱、年忘れにさらっと見られる程よいエンターテイメントということで。
それでは、「えびす組」に関わる全ての皆様、今年1年、色々お世話になりました!よいお年をお迎え下さい!来年も楽しい芝居に出会えますように!

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102 Re: 佐倉義民伝 コン(管理人) 2002/12/31 02:24
歌舞伎座昼の部、一本目の「小栗栖の長兵衛」から見たためか、「佐倉義民伝」の頃には疲れてしまい、又五郎さんのお姿は一目おがんだだけで、睡魔の虜となってしまいました…悔まれる…。
目が覚めたのは、宗吾が家に帰ってくるあたり。子供がらみでは泣かないタチの私め、クールに「ビアトリスだったら号泣だろうなぁ〜」と思いながら見ていました。(ホントに大泣きしたのね〜。)
長男役の清水大希クンは、夜の「椿説弓張月」にも出ていたし、9月松竹座の「三国一夜物語」、10月国立劇場の「霊験亀山鉾」でも大活躍で、(ちゃんと学校へ行けているのか不安ではありますが)注目株の役者さんです。ガンバッテね!

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101 恋のメモランダム ビアトリス 2002/12/29 22:36
「もう一本」の欲が出て、小竹向原のアトリエMODEに足を運びました。「私的な勉強会が面白い舞台になってきたので急きょ公開することにした」のだそう。夏の文学座アトリエ公演『ロベルト・ズッコ』で光っていた佐藤淳と、これが初見の裕木奈江の顔合わせです。知り合いや業界人の多い客席は一般ピープルのわたしにはあまり居心地のよいものではありませんでしたが、おもしろい舞台でした。場面ごとに変化していく二人の関係は先が読めず、スリリングでちょっぴりもの悲しく、楽しめました。佐藤淳は『ロベルト』よりもさらによくなっていて、さすが文学座、次々に若手を輩出しているのはやっぱりすごいですね。今井朋彦のつぎは彼かな?佐藤は相手(裕木奈江。迷惑キャラぴったり)をうまく流すというか、戯曲のエネルギーに飲み込まれない柔軟さ(未消化表現ですが)があると感じました。これからが楽しみです。アトリエを出ると日はとっぷりと暮れておりました。これでほんとうに芝居納め。楽しく刺激的だったこの一年に感謝です。


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