|
一般的な通説として、「ALCは水に弱い。」といわれます。では、この「水に弱い」とはどういう意味で、ALCは水にぬれるとどうなってしまうのでしょうか? まず、ALCの吸水性が高いのは事実です。ALCは非常に多くの微細気泡とそれをつなぐ細孔を含んでいるので、毛細管現象により表面から細孔中に水が浸透しやすいのです。このため、水中に浸漬した場合は10〜40%(容積)もの吸水率を示すそうです。このように吸水してしまったALCは、相対強度(絶対強度はあまり変わらないようですが、水分を含んで重くなる分、重量当りの強度が落ちます。)、断熱性、調湿性が低下し、ALC本来の長所を生かすことができなくなります。 しかし、ALCは吸水性が高い代わりに、乾燥もしやすい素材です。したがって、吸水したALCも空気中に放置すれば容易に乾燥してもとの状態に戻ります。 一方、ALCと外見上よく似た現場打ち気泡コンクリートは、「吸水→乾燥」に伴う乾燥収縮率が0.2〜0.5%と大きいため、吸水乾燥後にひび割れを起こしやすいという欠点を持ちます。これに対し、ALCは乾燥収縮率が0.025〜0.05%(飽水→気乾)と非常に低いので、ひび割れを起こす可能性も低いのです。どうも、世間で「ALCは水に弱い。」といった場合、現場打ち気泡コンクリートとALCを混同している面があるのではないではないかと思います。 ALCと水の関係をまとめると以下のようになります。 @ ALCは吸水性が高いが、乾燥もしやすい素材である。 A 吸水してしまったALCは相対強度、断熱性、調湿性等が低下し、その長所を十分生かせなくなる。したがって、ALCを使用する場合には、十分な防水処理を行うことが重要となる。 B 建築中などにALCが吸水してしまった場合にも、空気中で自然乾燥すれば、もとの性能にもどる。 実際、このような特性を考慮して、旭化成さんでは、ヘーベルハウスの外壁に3重の防水塗装を行うとともに、ALCと断熱材の間に空気層を設けてALC中の過剰な水分が抜けるように配慮しています。 しかし、防水塗装は10〜15年程度で寿命がくるので、定期的な再塗装が必要となります。他の家屋の外壁塗装が主に美観上の問題であるのに対して、ヘーベルハウスの再塗装は性能上の重要なメンテナンスなのです。このため、旭化成さんでは十分なメンテナンス計画を立て、アフターケアに力を入れているようです。以上のことから、メンテナンス費用をある程度かけることがヘーベルハウス建築後の必須条件となるわけで、これがヘーベルハウス最大の欠点という人もいます。しかし、このため、外壁以外の部分も定期的なチェックを受けることができ、必要なメンテナンスを受けやすいことから、結局は家の寿命が延び、トータルコストが安くなるのでは、、、と我が家では考えており、これもヘーベルさんを選んだ理由の一つなのです。 |