ALCは凍害に弱い?


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ALCの欠点として、凍害を挙げる方もいらっしゃいます。

 凍害とはコンクリート中の水分が凍結することに伴い、その体積膨張(水は凍結するとき9%ほど体積が増えます。)の圧力でコンクリートの組織が破壊され、ひび割れたり、表面が剥離したりして、全体の強度が劣化する現象です。

もともと、凍害は、寒冷地における普通コンクリートの建築物で問題となった現象です。現在では、凍害を緩和するために、AE剤とよばれる添加剤を加えて、コンクリート中に微細気泡を導入することで、凍結時の圧力を逃がす方法がとられています。

 では、ALCはどうでしょうか。ALCは、もともと多量の気泡と細孔を含んでいますので、AE剤を加えた普通コンクリートよりもはるかに凍結時の圧力を緩和しやすい構造なのです。したがって、通常の使用条件では普通コンクリートよりもはるかに凍害を受けにくいといえるでしょう。

しかし、ALCは吸水性が高いので、万一、湿潤状態となった場合が気になります。実験によると、ALCを水中に40日間沈めても含水率は55%を超えないそうです。ALCの体積の約80%が気泡及び細孔の空気領域だそうですから、完全に吸水させても25%程度の空気領域が残るわけです。したがって、この部分が凍結時の圧力を緩和し、容易には凍害を生じないと考えられます。湿潤状態における凍結−解凍を、数十年に渡って何百回も繰り返せば、経年劣化などとの複合効果で全く凍害が起きないと断言はできませんが、通常、ALCは湿潤状態にならないように使用されるので、実質的にはALCの凍害を気にする必要はないと思います。

また、「ヘーベルハウスは凍害に弱いため北日本では建築できない。その証拠に、ヘーベルハウスの営業所は北日本にはない。」ということを得意げに説いている方もいらっしゃいます。上記の検討結果からは、これが事実だとは考えにくいと思います。そこで、旭化成のYさんに北日本にヘーベルハウスがない理由を教えていただきました。その理由とは、

@       ヘーベルハウスは北日本にはないが、ALC(ヘーベル)工場は北海道の白老にあり、北海道の建物の建材として販売をしている。したがって、凍害を理由とするのは的外れである。

A       ヘーベルハウスは特殊な建て方をするので、一般の大工さんが簡単に施工できないことから、少しずつ教育をしながら十分な技術レベルを保ちつつ徐々に建築エリアを広げている。したがって、ヘーベルハウスは、北日本にないだけではなく、四国や九州等の南日本にもごく一部を除いてない。(旭化成の本拠地である宮崎県にもない。)

B       ヘーベルハウスは、耐震性、耐火性、遮音性や敷地の有効利用を重視した都市型住宅としての販売戦略をとっているため、地方にいくほど、ニーズが低くなり、受注が上がりにくくなる。このため、利益の出にくい地方部への展開は難しい面がある。

ということだそうです。非常に明快で正直な理由だと思いますが、皆さんはどうですか?前述の噂とどちらを信じますか?