Cherubの「つれづれ寸評」



◆バックナンバー◆


5月13日

  労働者と事業主の個別労働紛争が増えている。労働条件の引き下げ、配置転換、出向、解雇理由、セクハラ(性的嫌がらせ)、いじめなど職場でのトラブルが増えているからだ。

◆これらの個別労働紛争の迅速な解決を図るために4月から「労働審判制度」が導入された。紛争解決の手段が増えたことになる。労使の力関係のバランスをとる意味でも、公的な解決の枠組みを充実させていくことは必要であると思う。

◆民事訴訟では、期間が長くかかるうえ、弁護士費用もかさむなど、訴える側の負担が大きい。また、都道府県労働局による個別労働紛争解決では、両当事者の参加は強制されていないため、片方が出席せず、あっせんを打ち切らざるを得ない場合も多い。 労働審判制度では、労働紛争当事者の一方から審判の申し立てがあれば、相手方の同意などなくとも手続きを進められ、原則3回までの審理で解決策が示されることとなっている。それに異議があれば裁判にそのまま移行する。

◆労働審判は全国の地方裁判所で開かれ、労働審判官(裁判官)1人と労働審判員2人で構成される。そこで労働審判員は労使の立場を離れ、中立公平な視点から、労働実態を踏まえた適切な解決案をまとめていかなければならない。さまざまな判断が示されることで、各職場で起こり得るトラブルを未然に回避する可能性も高まる。スムーズに審理が進み定着していくことを期待したい。

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5月20日

 政府の少子化社会対策推進会議の専門委員会が今後の育児支援策の骨子となる報告書をまとめ、発表した。報告書は、まず基本的な考え方として「初めての子どもを妊娠したときに特に手厚い支援が必要」と明記し、支援策の柱に(1)地域や家族の多様な子育て支援(2)働き方にかかわる施策(3)経済的支援―の3点を掲げている。

◆育児支援から経済的支援策を提言しているが、財源をどう確保するのか具体案を明示してはいないので、その施策の実現性が危惧(きぐ)される。財源の手段として、「育児保険」や「子育て基金」の創設にとどまっている。見送られた出産の無料化は実現させたいものである。

◆経済的な支援だけでは、子育ての安心感の保障にはつながらない、と思う。核家族化した社会では、仕事と家庭の両立が難しく、第一子を出産した女性の7割が仕事をやめている。少なくとも3歳までは母親の手で育てることができるよう、働き方の見直しは不可欠だ。安心して子どもを産み、育てることのできる社会とすることこそが、政治の責務といえよう。

少子化社会対策推進専門委員会報告書「これからの少子化対策について」(PDF:336KB)

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5月27日

 各地の社会保険事務局・同事務所が納付率を上げるために、被保険者本人の意思を十分に確認せず勝手に徴収を免除・猶予していた。年金制度の根幹をぐらつかせかねないだけに、法令順守の徹底を図らなければならない。

◆膨大な年金保険料を投入した年金福祉施設の赤字垂れ流し、保険料の私的流用、年金記録のぞき見…等々、相次ぐ社会保険庁の不祥事に開いた口がふさがらない。

◆国民年金の保険料は一律月額13,860円であり、不況などで保険料を払えない人が増え、納付率は2002年度に過去最低の62.8%であり、2005年度も目標の69.5%に届かない状況にある。

◆納付率にノルマを課し人事考課と連動させた結果が今回の不祥事を招いたともいえるが、免除・猶予者を“偽装”して納付率を増やすとはとんでもない発想である。国民の信頼がなければ公的年金制度は成り立たない。管理職や職員の意識改革をいっそう進めて信頼回復に努めてもらいたい、と思う。

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5月30日

 29日から、「ポジティブリスト制度」がスタートした。これは、農薬、飼料添加物、動物用医薬品の残留成分について新基準を設けたもので、対象は農産物から加工品まですべての食品である。食品ごとに使用農薬を指定し残留基準を決める。基準値を超えたり、指定外の農薬が0.01ppm以上検出されると農産物、加工品の販売ができなくなった。

◆生産農家は農薬、肥料も含め生産履歴を記録しておくなど農薬散布に相当きめ細かな対応が求められることとなった。規制の対象となる農薬はこれまでの283品目から799品目に増え、現在世界で使われている農薬をほぼ網羅している。

◆ポジティブリスト制度導入の背景には、輸入食品の増大、食品の残留農薬など食に対する消費者の不安があるということ理解し、生産農家は新基準を乗り切ってほしい、と思う。

残留農薬等のポジティブリスト制度

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