(K11)KP6 SSB/CW 6バンド HFトランシーバー 

UP dated 2016.04.13 Updd2017.07.13

● (K11)KP6 SSB/CW 6バンド HFトランシーバー

HF帯7M, 10M, 14M, 18M, 21M, 24M, 28Mの 6Band+αマルチバンドトランシーバ(CW/SSB)10W機です。
タカチYM-300(300Wx200Dx50H)に組み込みました。

前面パネル左にはお決まりのAF、RF Power Gain VR、LSB/USB/CW切替、Mic、Key Jack等。
バンド毎のRF BPFは、VRによるバリキャプチューニングで 7MHzバンド〜28MHzバンドの全バンドをカバーしています。 右側には、RIT VR、Sメータ(この試作機では10ポイントLEDバー表示器使用)。

バンドの切り替えは、LCD下側の Band SWを押すごとに 7M→10M→ 14M→ 18M→ 21M→ 24M→ 28M→ 50MHz→3.5MHzを循環します。局発は、全バンドに対応のPLL-VCOとしていますが、本試作機ではRF BPFが、7MHzバンド〜28MHzバンドのみの 7バンド対応となっています。

・(K11)KP6 SSB/CW 6バンド HFトランシーバー KITをご入用の方は、以下ページをご覧ください。
◇PICの頒布 (K11)KP6 SSB/CW 6バンド HFトランシーバー=KPT
出力1Wですが、OPTION-9/リニアアンプ10Wを追加して、出力16/10Wとなります。



下の写真;
5つの主要PCB基板より構成され、
一番左が、SSB/CW Generator部100x75mm。その右に隣接してRF Coverter部 (IF;12MHz⇔各ハムバンド変換1W出力)100x100mm。
隠れているが、中シャーシのその下側には、局発PLL-VCO部100x100mm。

その右側のスペース(幅120mx奥行150mmx高50mm)には、LPF基板100x75mm とヒンジ式中シャーシ下側には、リニアアンプ10W基板 100x67mm。

これで 立派な SSB/CW HF7バンド 10Wトランシーバー。 


基板への配線は、ヒンジ左側支点に集中させており、解線せずに、ヒンジを跳ね上げてメンテナンスができる。


左側;RF Conv部BPFのバリキャップチューニング用VR

右側;高さ50mmのケースパネルには、アナログSメータを組込むことが出来なかったのでLM3615の10連LED Sメーターとした。RITつまみもある。10連LEDの6個目は、黄色LEDとなっており、この位置がS9信号を受信すると光る。

 

●KP6 HF6バンドSSB/CWトランシーバーの概要と性能

HF 7M, 10M, 14M, 18M, 21M, 24M, 28Mの 6Band+αマルチバンドトランシーバ(CW/SSB) RF出力10Wを試作しました。KP6と名付けました。

主な仕様は以下のとおり。
1.PCBは、Generator部(100mmx75mm)、PLL局発部(100mmx100mm)、RF Converter部1W(100mmx100mm)、LPF(100x75mm)の4つの基板 +RD16HHF1プッシュプル終段リニアアンプ(100mmx67mm)より構成される。

2.IF=12MHz。局発は、4つのVCO-PLLにより、15.5MHz〜42MHzをカバーし、HF3.5MHz〜28MHzの全バンド(Upper Heterodyne)および 50MHz帯(Lower Heterodyne)に対応する。

3.Generator部は、DBMにSN16913P(送受兼用)を使用し、IFフィルターは、12MHz X'tal x7段のラダー型。RX IF増幅は、2SK241x3段Ampにより、IF部感度-130dBm程度。TX IFは、J310x1段Ampにより、出力 -5dBmPeak to Peakレベル。
プロダクト検波部局発は、12MHz Xtalの発振周波数を可変して、USB/LSB/CWに対応する。

4.RF Converter部は、BPFを3回路(3 Band)組み込むことができ、それぞれの回路をバリキャップ(可変容量ダイオード)により、「7,10MHz」、「14,18MHz」、「21,24,28MHz」の7バンドに対応する(28M帯は、28.0-29.0MHzが上限)。  バリキャップを使用せず、個別の固定BPF回路、例えば7MHz、21MHz、50MHzとすれば、3バンド・トランシーバーとなる。そのほうが、調整は、バリキャップ式7バンドよりもはるかに容易になる。

周波数変換は、DBM(ADE-1)、送信RF部は、2SK241+ J310x2 Amp+ RD00HVS1-PPで 1W(+30dBm) を出力し、これで1Wトランシーバーとなる。LPF通過後の出力実測値は、下図のdBm(LPF負荷)となった。
 7MHzで+32.1dBm=1620mW、21MHzで +31.8dBm=1510mW。

5.RFリニアアンプ基板を追加すると、 RD16HHF1x2 Push-Pull で10〜16Wに増幅する。
下図は、CWモードで Generator出力一定 ≒-5dBmでの各バンドの実測値。RD00HVS1の出力(ピンク)は、AD8307dBm計で計測し、例えば7MHz 32.5dBm=1778mWであった。 RD16HHF1x2の出力(黒線)は、LPF通過後に終端型ダミーロードで計測した。


6. 3次混変調歪み IMD3の特性は、下図の実測値を参照ください。ピーク10Wで-40dBcの目標は、達成できなかったが、対+34dBmx2Tone信号で -36dBc (対尖塔値-42dBc)で市販機器並です。

上段2つのFFT画像。左;IF Generator出口2tone信号。右;Generator出口CW単信号。
中段のFFT画像。左;RD00尖塔値出力1Wの2tone信号。右;RD16尖塔値出力10Wの2tone信号。
下段のFFT画像。左;RD00尖塔値出力0.5Wの2tone信号。右;RD16尖塔値出力5Wの2tone信号。

●全体ブロックダイアグラム

全体の構成は、下図のとおり
送信部は、2SC1815マイクアンプ+SN16913P+ FET J310構成のGenerator出力(12MHz -5dBm)を RF Conveter基板へ入れ、ダイオードDBMでハムバンドへ変換(シングルコンバージョン)し、2SK241アンプ+J310 アンプ+RD00HVS1プッシュプルアンプで1W出力を得ている。
 その後ろに リニアアンプ RD16HHF1x2を追加すると10Wとなる。LPF基板は許容通過電力は35Wあるのでそのまま使用できる。
受信部は、J310x2 GG RFAmp+ DBM+ 2SK241 3段アンプ+SN16913Pのシングルコンバージョン高1中3で、信号強度S0に相当する-127dBmの感度を得ている。 RF GG Ampは、+10dBのゲインがあるが、BPF損失とDBM変換損失(-5dB)により、RF Converter基板部分での利得はほとんどない。

PLL局発部は、上述2のとおり、4つの VCO_A[3.5M,7M]、VCO_B[10M,14M]、VCO_C[18M,21M]、VCO_D[24M,28M,50M]から構成される。PLL-ICは、TC9256Pを採用し、その制御は、 PIC16F819で、Band select button を押すたびに、7⇒10・・・28⇒50⇒3.5⇒7というように全バンドを循環する。バンドメモリー機能もあるので、50MHzシングルトランシーバーとする場合には、50MHzバンドで メモリーボタンを押すと、以降の電源投入では、50MHzで起動する。
PICロジックに RIT機能も組み込んである。表示器は、LCD16文字x2列(SC1602)。
◇KP6 ブロック系統図、RX系統図及び TX系統図のpdfダウンロード

●KP6製作に使用した測定器類

1. テスター;50年前に購入した指針式アナログ式テスター、および 秋月で購入したデジタルマルチテスターP10。テスターを2台同時に使うこともあり、また指針式とデジタル式は得意用途が異なるので 是非2台持ちたい。

2. AD8307dBm計 ;□ ◇製作記事へ
 RF微小電力、微小電圧が定量的に計測でき、一度使い始めると、手放すことができなくなる。2台あれば、 RF Ampの入出力に接続し、Ampの入・出力がdB数値で読み取れるので、暗算でゲインが計算できる。
 微小電圧は、測定した微小電力(@50Ω)より 関数電卓で 微小電圧に換算することができる。1mVrmsの微小電圧も測定できる。
数値は、デジタル表示であるが、数値の上下変化により、BPFのピーク同調調整もできる。 定量的に読み取れるので、慣れると、回路の異常動作増幅箇所も、探し出せる。
 ついでに 3dB分配器も製作しておくと重宝する(IMD3と電力測定が同時に可。同一Antで 自作リグと 市販リグの鳴き合わせが可)

3. 標準信号源SG; 自作したものを使っている。□◇製作記事へ
 本機KP6のように バリキャップチューニングBPFを採用している機器製作には、HF帯の何らかのSGが必要になると思う。上記製作記事のものは、手前みそになるが、大変重宝している。ぜひ1台お持ちになることをお勧めします。該当webに掲載している低速オッシロも製作すると 便利。

4. 周波数カウンター; どのようなものでもよいが、もしお持ちでなかったら、自作はいかがでしょうか。
   □◇7SegLED製作記事へ または、□◇LCD製作記事へ 

5. 50Ωダミーロード 20W; 金属皮膜抵抗5W 200Ωx4本、電流計100uA、ダイオード等で容易に製作することができます。  ATT -10dB、-3dB等のATTパッドも 小さなPCB片に数個製作しておけば、重宝する。抵抗W数は、使用電力に合わせて。

6. PCによるFFT; IMD3を測定する場合は、;□●RFアンプ各種FETのIMD3特性の実験記事へ

7. ジェネカバ受信機; 最も役に立つ測定器です。 X'talやVCO等、各部の発振信号の確認、実際の音を耳で聞いて確認したり、信号強度をSメーターで確認したりする。 Sメータは、できれば、大きな指針式のメータがついているものがよく、理想を言えば、S9目盛り=-73dBm(50uV@50Ω)、Sメモリ一つあたり 6dBステップになっているものが良い。 目盛特性は、リグによって大きく異なるものと思うが、当局が使用したIC750Aは経験的に、かなり正確であると感じる。 

●各部PCBの詳細

各基板の詳細は、以下のページへ。
◇Genrator基板のページへ

◇RF Coverter基板のページへ

◇PLL VCO基板のページへ

◇OPTION-9/リニアアンプ10Wのページへ

◇LPFのページへ

◇KP6トランシーバの改善点、追加データ、Hint、アクセサリーetc. 2017.09.20


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