茶道を楽しむ 表千家不白流 清風会師範 石原宗牛
千年の杜
奇麗で、不思議な花を見つけました。つぼみがコンペイ糖の様で、開くと時計の文字盤の様な模様があります。ホワーンとした白い花の肌合いは、何とも美しい。
これ、「カルミア」といって北米に分布するツツジの仲間で、だから樹木で、別名「アメリカシャクナゲ」と云うものでした。
見つけたのは神社の境内。双子で男の子、二歳半になる孫に私の「千年の杜」を見せてやろうと保育遠足し、一休みしたベンチの後ろにあったのです。
この神社には、2007年の夏に宮脇 昭先生のご指導で「千年の杜」育樹祭があって、私も二十本程植樹したのです。
あれから五年、既に樹高 五〜六 mもある。この勢いなら残り二十年後には、樹高二十五mの常緑広葉樹の杜に成長している事だろう。そして、美味しい水を醸してくれる事と思う。
また、密植・混植は、強い生命力の森に成る、と言われる。
農業の畑の様な、生育生理に充分な環境よりも、幾分は窮屈な環境の方が強い生命力が持てるのです、人間社会も同じでしょう、イエスマンばかりのチームは障害に脆いでしょう、と。
私の「千年の杜」 の 鬱蒼とした葉陰を覗きこむと、活き活きとした別の宇宙を見る様な感があります。
そして更にもう一つ、昨年の東日本大震災。
「宮脇さんに言わせると、津波で何万本も根こそぎ倒れたのに一本だけ残って有名になった陸前高田の奇跡の一本松は、健気どころか失敗の象徴である」
というウェブサイト「伊達の眼鏡」を見つけました。
混植・密植の常緑広葉樹は、根が六mの深さまで達するという深根・直根であるから、松や杉といった針葉樹の様にはなぎ倒されないのです。
だから宮脇 昭先生は今、東北の海岸線に震災瓦礫を埋め立てて丘を作り混植・密植するなら、二十年もすれば、津波から里を守る長さ300kmの防潮林、万里の長城ならぬ「森の長城」が完成すると、提案されています。
森は、命の水を醸すのみならず、物理的な力も大いに発揮するものなのです。
だってそうでしょうなあ、人間より遥か昔から 森は津波と戦って来ているのだから。(2012/5/31 宗牛)
D 美味しい水
上;2007年7月 下;2012年5月