茶道を楽しむ 表千家不白流 清風会師範 石原宗牛
無濾過
今、うまい、と思う日本酒があります。一昨年(2010年)の大幅なタバコ値上げに、喫煙者への軽蔑を感じ心が冷え、代わりに酒をと眺めるうち出くわしたものです。
東京、石川酒造(株)の「たまじまん 純米 無濾過」とある酒です。
ラベルの「無濾過」とは何だろう、から始まりました。
酒造工程は、活性炭による濾過工程を経るものなのだ。透明感を出す為に。にごり酒は別として一般に、絞り出した酒は本来、やや黄色味を帯びた色をしているものらしい。
さて、医学士 秋月辰一郎という長崎で原爆被爆した医者の不思議な話があります。
原爆爆心地から1.4kmの浦上病院(現 聖フランシスコ病院)で、職員 患者ともども被爆した約70人は、原爆症にならず生き長らえたという。これを成し得たのは、秋月医長が浦上病院着任以来続けていた秋月式食事法があったからというもの。
秋月式食事法とは、病気で悩む人のために勧めた食事法で、
①玄米、野菜と海藻、味噌、が食事の基本。
②塩を摂り、砂糖は、摂らない。
というものでありました。これが放射線で壊された細胞を修復する力を高めると。
さらに細かくいえば、玄米は良いのだが、これを精米した白米は細胞修復力が消えている、
塩といっても海水から天日で作った塩が良いのであって、精製した塩NaClでは駄目、
味噌も昔ながらの醸造のままの味噌が良いのであって、大量生産方式味噌は駄目、
砂糖といっても黒砂糖は良いのだが、精製した白砂糖は駄目で、駄目以上に毒であるから摂取しない、
と。
この奥には、計測不能な微量元素(ミネラル)の栄養あるいは醸造物の栄養がある様です。これらが、放射線で破壊された細胞の修復能力を高めるからだ、というものです。
今私は、定年になって通う歯科医院の掲示ポスターの「ジュースが歯をとかしています」を見るに「そういえば、秋月式」と思い起こされるような事例が改めてそこかしこに見いだされます。
かの中世ヨーロッパでも十字軍は、兵士に赤葡萄酒を持たせたと云います。野の泥水を、赤葡萄酒を注いで飲み水に変え進軍させたと云います。醸造物に力ありというお話です。あ、これも、現代の赤葡萄酒では駄目だと、その農学博士はおっしゃっておりました。
森が作り出す美味しい命の水にしてもこれを、消毒、精製、濾過、してしまった真水(H2O)では、美味しくも栄養も無く細胞修復力も無いのでありましょう。
そこで、私が楽しむ無濾過の酒です。醸造して絞り出したままの酒は、確かに幾分黄味がかった色をしていますが、味が豊かで、悪酔いもしないのです。
きっと、これぞ、私の百薬の長でありましょう。
ふふ。(2012/ 1/ 9 宗牛)
D 美味しい水