茶道を楽しむ    表千家不白流 清風会師範 石原宗牛

目  次

  A ようこそ    B 抹茶を頂こう C 動機不純な入門 D 美味しい水 E 茶道徒然草

 


E 茶道徒然草

花結界(hanakekkai)

 「今度のお茶席、秋の七草で花結界をしつらえてお席に飾ります」「材料探しのお手伝いして下さいますか」と我が師のお言葉。


 お伴致しますと出向けば、丹沢山麓に分け入ること深し。秋の気配も充分なり。先ず湧き水をいただきに製茶工場へ出向き、タンクに詰め車のトランクに運ぶ。湧き水を頂いたお礼に煎茶を求めて、ここを後に。

 このお隣に入り込んで、孟宗竹を切り出し、さあ戻りましょうと思いきや、「ありました」と車を止め、尾花、萩、を刈り込みされる。また「ありました」と車が止まり、崖上から身を乗り出し葛花の蔓を
引かれる。我が師は女性である。

「危ないです、先生」と口にすれども我が身はすくみ眺めるばかり。


 斯くして半日、結界材、花材を揃えられたものです。ふうっ。


 「結界」とは、ある空間が「結界」の置かれることで二つの空間に仕切られていることを感じさせる物。仕切ると言えども、屏風の様に視線をも切ってしまう物ではありません。 わかたれた互いの空間は見通せて物理的には一つの空間ですが 、区分された二つの空間であることを感じさせる為の茶道具です。私はこれが、大変好きです。


 かように、招く人をもてなすに多くの労を成す事を楽しむ心根をあらためて感じ入る次第。他方、招くことの労多し事を推し量り喜ぶことが招かれた客の心得と納得。

 これぞ一座建立の概念ぞと感銘しきりでありました。(宗牛 2010/12/12)

 
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