茶道を楽しむ 表千家不白流 清風会師範 石原宗牛
E 茶道徒然草
紅葉
「席に紅葉を敷き詰めたい」と師が口にされる。素晴らしい。
だが、日程からしてこの辺りではこの茶会の時期、未だ思う様な紅葉が集められない。北海道の友人から送ってもらおうかとも思うがと、師も思案顔。
あらかじめ集め置いたものを運び込むと仮定して、私の団地の公園に落ち始めている桜の紅葉を拾い集め置き、紅葉の様子を見てみると、日に日に、色が褪せヒカラビて葉の形さえ見えなくなってしまう。紅葉の美しさを保つ事は難しいものと分かった。
どうしたものかと思案していると、明日ぞ茶会という雨嵐の中、山田さんが軽トラックでお稽古場に紅葉を運び入れた。荷台の覆いをはがした折りの光る紅葉の美しさ。師が、泣かんばかりに喜ばれた。
前日の嵐が、一転して快晴。
さあ、席の設営だ。紅葉を床に散らす。
そして、外からの視線を遮る幔幕を張る。
張りたいが、張る綱の拠り所が無い。
時間もないから焦る心の後ろで眺める荒井さんの
「あの隙間に紅葉の枝を差し留め、
その枝に幔幕の綱を止めたらどぉ?」
から作業が突進。幔幕を奇麗に張りつめ外からの視線をふさぎ、更に、枝紅葉を天井のそこかしこに挿し飾って、紅葉の席が完成。
晴れ着を着たままの作業である事もあり、余計に疲れました。ふうっ。
(宗牛 2012/11/20)