茶道を楽しむ 表千家不白流 清風会師範 石原宗牛
E 茶道徒然草
左官(sakan)
茶室は庭で囲われています。
茶室の庭を露地 (roji) と言います。
至った蹲踞
(tsukubai)の清水で身を清め、茶室に入ります。この道中に、「腰掛け」という招かれた客が待機する場がしつらえてあります。
で、我が道場のお茶室にはその「外腰掛け」があります。この外腰壁の土壁が経年劣化により傷み剥落して来たので、奮起、私に修理させて下さいと申し出た次第。
日頃、師曰く、お招きするお茶事では露地も清め、踏み石や植え込みの葉一枚一枚に至るまで拭き清めるものです、と。ならば腰掛けの土壁修理も修行の内と自惚れたのが大きな間違いでありました。ころは七月なかのころ、気温35度が続く猛暑の中の作業は辛く、我が身の老体を思い知ったものです。
まあそれは良し。いけないのは、奇麗になった壁が直にひび割れした事。もう一度やり直しましょうと申し出て、はや三年。これ以上の先延ばしは破門の憂き目ぞと再び奮起。
五月の作業日、曇り又は雨のお天気は涼しくて体には良い。何とか仕上げました。
これを眺めていると私の亡き父を思い出す。
父は百姓の身でありながら建築営繕仕事が本業と見まごう程に好きで、村の頼まれ仕事をいつも楽しそうに受けていたものです。(宗牛 2011/5/12)