◆注目されていた柔道女子48キロ級の谷亮子選手の「ママでも金」は成らなかった。残念ながら三連覇を逃し銅メダルで終わったが、五大会連続のメダルはとてつもない記録だ。ひとつの時代が終わったのだという感慨を覚える。谷選手には「ご苦労さま」と言いたい。これまでの努力に敬意を表した夫の「僕には(メダルが)金色に輝いて見える」の言葉は、何よりの激励と慰めになろうと思う。
◆ところで、柔道男子66キロ級で2連覇した内柴正人選手の「これが僕の仕事なんで」とのコメントが心憎い。また、競泳の男子100メートル平泳ぎ決勝で世界新で2連覇を達成した北島康介選手。感極まって涙を流しながら、「超気持ちいいっす。最高っすね」という。アテネではいい泳ぎができなかった。北京ではいい泳ぎをしたいとの思いを成し遂げた、本当に満足な様子をみて、こちらも口もとがほころんでしまう。
◆28競技302種目。24日まで繰り広げられる今後の展開が楽しみだ。4年に一度のチャンスである。選手は気持ちを引き締めて、本来の力を出し切って、歴史に名を刻んでほしい。この北京五輪でたくさんの日の丸が揚がることを期待し、一緒に感動を味わいたいと思う。
◆先ごろ、厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会は、都道府県ごとに改定される今年度の地域別最低賃金の引き上げ額の「目安」を、全国平均で時給額を15円程度アップするとした。これにより全国平均で初めて700円を突破する見通しだ。しかし、これでは、働く貧困層の生活が改善されるのかどうか、甚だ疑問である。
◆働く貧困層は、今、物価高にあえいでいる。国は、中小零細企業の支援にも十分配慮しながら、貧困解消、格差是正にもっと力を入れなければならないと思う。 賃金を支払う側の経営者は会社の存続を危うくしかねないと危惧するけれども、本来、社会的な制約の基で自由に事業経営をするのが経営者であろう。
◆7月に施行された改正最低賃金法は生活保護を下回る「逆転現象」の解消を求めている。おととしまで労使の代表が1円、2円の上げ幅をめぐって攻防を繰り広げてきた結果、最低賃金が生活保護を下回る状況を生んだのであり、この状況を放置してきたのは行政である。政府はもとより政治家も公正な社会づくりに目覚めて欲しい。
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