Cherubの「つれづれ寸評」



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12月5日

 いよいよわが国の景気後退が鮮明になってきた。米国のサブプライムローンが直接の引き金となって、世界的な金融危機が生じたあおりだ。その影響で世界経済は減速し、未だに回復に向けた兆しは見えない。「百年に一度」という世界同時不況といわれるが、一体どこまで冷え込むのか。今や世界の景況は暗澹たる状況にある。ものづくりで稼ぐしかない日本。ここしばらくはうろたえず、世界の景気が上向くまで、じっと我慢するしか道はないのかもしれない。

◆世界経済の減速⇒輸出の減少⇒企業の生産活動鈍化⇒企業の業績悪化⇒人件費の抑制⇒人員削減(リストラ)⇒個人消費の冷え込み⇒企業の生産/販売活動鈍化⇒企業の業績悪化⇒人件費の抑制⇒人員削減(リストラ)⇒さらに個人消費が冷え込む、といった景気悪化スパイラルの流れ。

◆こんな流れは分っても、こうした悪循環の歯止め策の一つとして、非正規労働者のリストラや大学生の採用内定取り消しに助成金の支給、個人消費の浮揚を狙った給付金の支給などが打ち出された。これらはセーフティ対策や景気対策として、果たして有効なものなのであろうか。むしろ、セーフティネットとしての策、例えば失業給付の期間延長などを速やかに行った方が効果的ではないか。

◆助成金や給付金の支給が有効な策であるとは、凡人には理解できない。助成金や給付金というものは特定の限られた企業や人を対象としたものであり、未来に借金して行われる「ばら撒き」である。ばら撒きはいっときいい思いをさせてくれるかもしれないが、景気浮揚策としてききめのある誘い水ではないと思う。

◆政府には、「国を守る。国民の生活を守る」といった大局からみた対応を求めたい。新規事業や新分野進出に対する政府保証を強化するなどの環境づくりを進め、新たな雇用創出を図るような対策に取り組んでもらいたいものだ。小手先の景気対策として、ばら撒きのようなことをするなら、何もしない方がましということもある。悪しき策よりも無策だ。兎にも角にも、インフレの流れにならないよう心して経済運営をしてもらいたい、と強く願う。

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